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2024/05/08 (Wed)

『ほうらいの海翡翠』

友達に勧められて。
とはいえ薦めてもらってから読み終わるまで1ヶ月以上経ってしまって申し訳ない(私信)

薦めてもらっておいて何ですが、序盤がなかなか興が乗らなくてページをめくる指が重くなってしまい、電車移動中とか昼休みとかに細切れで読んでいるので前読んだ分までの記憶も遠くなって余計読みにくく……って感じだったのですが、終盤はおもしろかったので続きも読んでみるつもり。

なぜ序盤が読み進みにくかったかというと、主にふたつ理由があります。
ひとつめ、キャラクターに愛着がもてなかった。特に萌絵が、ある種のミステリー(ドラマ)によくいるうざいヒロインにしか思えなくて、ほかのキャラクターも設定はあるけど距離感が遠くて、この人たちの話をもっと読みたいという気持ちになれなかった。
読み進んでいくにつれて、多少は思い入れができてきたので、まぁいいんですが。第一印象がこちらの色眼鏡もあり、かなり悪かったです。

もうひとつの理由も、それと多少関連するのだけれども、情報の出し方がなんとなく好きじゃなく、うざったく感じてしまった。
私はもともと古代史とか好きなので、常識じゃんってことをくどくどと説明されるのが好きじゃない。で、そういう常識的な知識に対して必要以上に驚いているキャラクターが、実際そうである以上に馬鹿に見えるので、余計嫌いになるというか。
詳しくない読者には必要なのはわかる。私も全部を知っているわけではないし、史実の説明もあるからフィクションもうまく溶け込めるわけで。
だから、単純に説明の書き方が好きではなかったのかな。と、反応も。
具体的にどの辺がというのはなんとも言いがたいけど。

拐われてからは普通に展開が楽しかったです。

ゴッドハンド事件は、私はあったということくらいしかしらないけれども実際日本の考古学というか先史学の研究を遅らせた大事件だったらしいので、それをこういう風に話にいれるんだって思った。
だって想起するじゃないですか、知ってたらどうしたって。
名前も違うし、研究対象の時代も変えているとはいえ。
ウィキペディアによるとご本人もご存命らしいので風化するほど昔じゃない事件を、登場人物の過去と関わる感じで、そしておそらく実際よりひどい人物として描くことに違和感を覚えた。
不謹慎というより、フィクションと現実ののりしろを感じてしまう。
現実にあった事件と似て非なるものなので、この世界と作品世界は違うのだということをつきつけられるというか。
でも扱っているのが超古代史的なものだから、明確にしておいたほうがいいのかもしれない。
作品世界ではそーゆー遺物が出てきて邪馬台国とか天皇の祖先とかが書いてあるようなことだったけど、それが現実にはそうではないと示しておくのは必要な措置なのかも。混同する人もいないとは思うけど、超古代史の本とか、小説ならいいけど……みたいなことがさも事実かのように書いてあるし。

ところで、考古学と古生物学の発掘を同じ人が担うのは実際あることなんだろうか。
出てきたものをもとに研究するところからしか見えないので、実際に現場で掘っている人たちがどんな人かというのはあまり考えたことなかった。
もちろん研究者や学生やアマチュア愛好家も掘るんだろうけど、大規模な発掘になったときにどうやって人を集めるんだろう、とか。
派遣事務所というのはフィクションかもしれないけど、今まで考えたこともなかった隙間を想像するきっかけになったのは良かったです。

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『魔眼の匣の殺人』

屍人荘の続編。

「魔眼の匣」って建物名だったんだ!?

つていうのが、見取り図を見た感想です。何と思っていたわけでもないけど、まさか建物名とは思わなかったよ……。いや、推理小説で「○○の殺人」みたいなタイトルって地名とか建物名とか入ること多いけど、あまりに建物名っぽくないじゃん。


喪失が色濃く残る第一章冒頭。ひとりでお昼ご飯当てをする葉村君はあまりに悲しい。
正直、安心しました。
よかった。もっと葉村君の傷になって、そこにいた証を見せてほしい。明智先輩が好きだったんです。俺のホームズ……。
こう、最後まで読んで思ったんですが、「俺のホームズ」は明智先輩だけにして、比留子とはホームズワトソンじゃない関係性にしたほうが互いに(この互いというのはキャラクターと私ですがw)平和ではないかと思いました。
俺のポアロとか俺の金田一とか、そういう感じで。「あなたはピーター卿で、わたしはハリエットね(by ヴェリティ)」みたいな。
私はあまり古い時代のものとか読んでないのでわからないけど、今回ラストで示したような在り方の探偵助手コンビもいるんじゃないですかね、知らんけど。


さて。

斑目機関の手がかりを求めて、比留子と葉村は超能力者研究所を訪れる。そこで「この2日間で男女2人ずつ、4人死ぬ」という予言を告げられる。唯一の通路である橋を焼かれ、陸の孤島と化した「魔眼の匣」で、偶然居合わせた人々が予言通り死んでいく――という舞台設定。


情報の出し方がすごく犯人当てっぽかった。
駒に属性で目鼻つけてとりあえずのキャラクターにする感じとか、情報の出し方とか、大学生の頃にやっていたのとあまりにも似ていて、読者への挑戦がないのが不思議なくらい。もう少し物語が読みたかったかなと思いました。
こういう書き方だと、情報がでた瞬間に、あ、これ使うんだなとわかってしまうので、後々の伏線回収に驚きにくい。


前作に比べて、パンチ力が弱いなと思いました。
前作はほら、クローズドサークルの状況の異様さがまず魅力的で、そこでなぜ殺人が起きたのかというワイダニットや、語り手自身が○○○だったという驚きやらがおもしろかった記憶があります。

今回は予言がある状況でのクローズドサークルだけど、こういうかたちの予言だったら、こうなるよねという論理をひたすら丁寧にやった印象。
ロジックも着眼点や飛躍がおもしろいというより、そう言われてたらそう思うよねでしかなかったので……。
○○○○を組み合わせていたのは一捻りあったけど、トリックのためのトリックかなぁって思ってしまいました。
時計のあれはちょっと飛躍が大きい印象だった。
パンチ力の強い印象的なシーンも特になく。
強いていえば、犯人の動機について想像すると、残穢のとあるシーンを思い出して楽しかったくらい。
犯人を追い詰める一言もよかった。狂人の論理ですね。
あと、何人かの意図がぶつかって行動を制約された感じとかはおもしろかったです。希望をいえばもっと、予言を恐れて/予言に乗じて動こうとする犯人が多いと好みだったかなと思います。

リーダビリティは思ったより高かったです。さくさくと読み進められた。
前作みたいに、明らかにアレな倫理観の人もいないですし。とはいえ、メタ/リアル感覚がかなり違うなというのは強く感じた。

なんか、この状況だったらもうちょっとこの辺深く掘ったらおもしろそうっていうポイントが違うんですよね。
悪い未来を予言し続ける人が恐れられるのとか、カサンドラの昔からそうだよなぁって思ったのでその辺の心理や経験をもう少し読んでみたかった。
この予言の設定なら絶対男女取り違えとかあるよなーって思ったら、あんな感じだったり。
過去だってもっと何か、と思うものの、シリーズ続けてくにあたってあまり機関に関しても多くは語れないんでしょうね。

あとびっくりしたのは、人が死ぬのが遅い!
残りページ数これだけなのに、まだこれだけしか死んでない……みたいな。
紙の本は残り量がわかりやすいから、こういうリミットある系のものだと、このペア数であとこれだけあってどう収集つけるんだろうって気になります。

また登場人物の覚え方を解説しはじめてて脱力した……。これシリーズ毎回やるってこと?
あまりにいたたまれない気分になる。
こういうところです、ダメなメタ感。

なので今回作中で、子供にヒルコと名をつけるなんて……みたいな話があってちょっとほっとしました。しかし、産まれてすぐではまだ体質が明らかになってないのではという気もし、やっぱり何を思って名づけたんだ……と思います。
そういえば社会学の教授という立場というか役割がすごく便利に扱われていましたね。


ところでサキミが神服を泰子と呼んでいるところがあり、伏線かと思ったけど回収されなかったので単なる誤植かな?

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ミステリーウェディングをしました(準備編1)

私事で恐縮ですが、かねてよりお付き合いしておりました方と入籍し、先月パーティーを行いました。
個人ブログに私事以外なにを書くんだという突っ込みは置いておいて、いろいろがんばったのでまとめておきたいです。どうぞお付き合いください。


まず結婚式をやろうとなったときに、はじめにやりたいことやりたくないことを整理していきました。
結婚式自体には憧れがあったので、できればやりたい。私のほうの祖父母は存命なので、花嫁姿を見せたい。でも仕事関係の人は呼びたくない。結婚相手とは大学時代のサークルで出会ったので、そこでの共通の知人をたくさん呼びたい。ウェディングドレス着たい。好きな神様の祀られている神社で挙式をしたい。美味しいもの食べたい。……などなど。
たがいに矛盾する希望もありつつも、この辺の方向性はわりとすぐに合意にいたり、
①親族のみでの神前式プラス会食
②友達のみでのパーティー(1.5次会)
の二部構成で結婚式を行うことになりました。
便宜上、以降①を式、②をパーティーと呼びます。かつ、主に②の話をします。

①の式に関しては、とにかくこの神社で挙げたい!ってのがあったので、直接資料請求→提携している会社をいくつか紹介されるので話を聞きに行く→見学の際に羽織らせてもらった衣装に一目惚れ&価格やプランがちょうどよかったので契約
ちょっとプランナーさん信用できないなとか思いながらも、基本お任せで進めていきました。
当日はすごく楽しかったです。
ミッキーマウスが好きな人がディズニーランドで挙式するくらいのノリで、この神社でやりたい!って思っていたので、それが叶って大満足でした。
普段は入れないような場所で写真を撮ってもらったり、名前を読み込んでいただいた祝詞にテンションがあがったり(もっと勉強しておけばよかった!)、巫女舞に見とれたり、三々九度と親族固めの杯でお酒の味が違うんだなと思ったり、全部が楽しかったです。
会食でも、話に聞いていたよりも全然食べられました。天ぷらはきつかったけど……。美味しかった。
衣装も、上記の一目惚れした色打掛がミントブルーの地に白で百合や薔薇など洋風のお花の模様というちょっと他にはない色柄で、とても好みだったので、暑くて重かったことを除けば本当に良かった。

②のパーティーについて。
初めは「友達だけ呼ぶ」「自分たちらしいことをしたい」「余興で謎解きとかできたらいいなぁ」くらいの気持ちで、こちらもプランニングの会社をいくつか調べて連絡して話を聞きに。
この時点で開催予定日からちょうど半年くらい前で、たぶん少し遅め。
1.5次会のプロデュース会社自体はそんなに多くないし、パックプランではなくある程度やりたいことができて、値段がそこまで高すぎなくて……で絞って資料請求して、話を聞きに行ったのは2社でした。たぶん少なかったのではと思う。
片方は若干のごり押しが気になったのと料金が不透明だったのがネックで、あと応対してくれたプランナーさんが教養低そうだったので、そうではないほうの会社に決めました。
……というのも後付けに過ぎなくて、結局は決めた会社に話を聞きに行ったときに過去の事例の写真とかペーパーアイテムとか見せてもらったのが、本当に自由で楽しそうだったのでここにしたいってなったんだと思う。
あと、決めたほうの会社は最初の日は絶対に契約をしないというシステムだったのも好印象でした。いったん家に帰って考えて、それでも弊社が良ければ契約をしてくださいみたいな。今決めればお得みたいなのが蔓延るなかで、誠実さを感じた。
謎解きがあるパーティーもやったことあります!って言っていたし。
謎解きは某脱出ゲームの会社に頼もうかと思っていたのですが、予算に見合わず断念。自分たちで作ることになりました。このときは、まさかあんなに大変だとは思ってもいなかったのです……。

そんな感じでプロデュース会社を決めました。
流れとしては、初回打ち合わせ前にメールで質問事項が送られ、それに答える。2人の出身、職業、出会いからの経緯、趣味、パーティーでのこだわりたいことなどなど。それをもとにコンセプトとテーマ、大枠の進行を決めるのが初回~2回目の打ち合わせ。次にそれが実現できる会場を紹介してもらう。
テーマは二人共通の趣味である小説(推理小説)、タイトルが「MはミステリのM?」に決まる。
タイトルは容疑者Xをもじった感じのとかXの悲劇をもじった感じのとかいろいろ提案していただいたのですが、どれもピンとこず、こちらから提案したものになりました。
たぶん推理小説とかあんまり詳しくないだろうに、調べて提案してくださったのはすごいなと思った。
会場も2か所くらい見学に行き、どちらも雰囲気がアンティーク調でとても素敵でした…。決めてになったのは料理の味。といっても試食したのは片方だけだったのだけれども、デザート含めて試食できたこと自体が決めてだったかもしれないw
会場決定が1月頭くらいでした。
日取りは式と同じ日にする手もあったのですが、別々の会社に頼んだのと、式のほうを実家周辺の私の親族が日帰りできそうな時間帯に設定していたため、その後だと時間が遅めになりそうだったので別日に。翌日は疲れて大変ですよ、と言われて2週間後にしましたが結果的に間をあけてよかったです。実際、式の翌日は疲れ果てて転がっていた。

式と日取りが決まったので、次は招待状!

字数が多くなってきたので続きは後日。

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2019/06/19 (Wed) 日々の徒然 CM(0)

映画『うちの執事が言うことには』

(ネタバレあります)

10年以上前に初めて薬屋探偵シリーズを読んだときからの高里先生のファンです。
薬屋もフェンネルも天青国もドルチェもラボも、もちろんうち執も読んでいるし、濃淡に差はあれどすごく大好きです。
多感な時期に好きになったから、高里作品は私の価値観や世界観を規定したところが少なからずあるというか、私という人間の根幹の一部はきっと高里先生の小説で読んだ考え方でできていると思っている。

だから、それだけ大好きな作家さんの作品が映画化されることが不安でした。
ファンの方には申し訳ないけれども、主演がジャニーズで映画初主演というのもその一因だった。
作品を映画化したいんじゃなくて、そのアイドルを輝かせるために適当に選んだんでしょう、みたいな。

ことあるごとに高里先生が原作ファンに向けてメッセージを発信してくださっていて、あれは本当にありがたかった。
先生が嬉しいと言ってらっしゃるから映画化して良かったと思えたし、映画の世界はコミカライズとも原作とも違うから読者ひとりひとりが思い描いた世界を否定しないと言ってくださって救われました。
一方で、大好きな作家さんにここまで気を遣わせてしまうのってどうなんだろうということも気になってしまいました。
1年前に発表されてから映画公開まで、情報が多すぎて溺れそうで、演者さんのインタビューや撮影風景は見ないようにしていました。
っていうかなんで同じ内容が切り取られたり編集されたりしてたくさんの記事になって拡散されてるんだろう。追いきれないというか何見ても同じなのに数だけはあって疲弊していく。
演者さんたちも、本人として出ているときはキャラクターではないので、テレビで見てイメージ影響されても嫌だなと思ってほとんど見てなかったです。
小説ジャンルのオタクだと普段そんなに動きや露出がないから、追う情報が多いとすぐ疲れてしまう。

楽しかったって思ってもらいたいと言われたら、楽しめなかったらどうしようって思ってしまうし。
でもそうやって呪われるのはきっと本意ではないのだろうし。

という感じで見るまで本当に不安いっぱいでした。

結果的には、いい映画でした。
何よりも、エンドロールで「高里椎奈」の名前が流れたのが感無量だった。
あの一瞬のためだけでも見る価値はあったと言えます。

映画自体の出来はというと、連作短編をうまく長編の映画に落とし込んでいたな、と思いました。
エピソードを削ったりくっつけたりして、花穎と衣更月が信頼を形成していく過程と赤目さんとの関係を軸にひとつのストーリーにまとめていた。
そして構図や演出や台詞がそのテーマが過不足なく伝わるように練られたものだと感じました。
正直、売り出し中のジャニーズが初主演って時点で、その人を魅せるためだけに作品が使われるだけだろうみたいな、要は原作レイプでしょみたいな、穿ったことを考えていたので、思っていたよりもずっと高里先生の小説の空気感やキャラクター解釈を大切にして作ってくれた感じがして、安心しました。

とはいえ、映画としてうまくまとまっていたなというのと、やっぱり原作と違うところを悲しく思ってしまうというのが両方気持ちとしてある。
あの台詞削られちゃったんだな……とか。衣更月に「クソガキ」って言ってほしかった。

そしてその最たるものが双子だった。
早苗と橘が存在を消されて、リサが「沢鷹」になっていたのは寂しい。
2時間の映画に収める上で、その方がすっきりして分かりやすいというのは理解も納得もできる。
設定も台詞もキャラクターも、小説と映画では全く同じにしてもうまくいかないのだろうと思いますが。それでも寂しい。

オリジナルキャラクターの美優も、説明役として必要なのは分かるが、そして18歳の女の子だからということもわかるが、煩い……と思っちゃった。
衣更月は使用人として彼女の振る舞いを許容するのか。私が思う彼は許さないだろう。みたいな。
あそこで気持ちを伝えさせるキャラクターがいると良いのも分かるんですけどねー。
異物だ、という気持ちが消えなかったです。

逆に小さい頃の赤目と花穎のエピソードは良かったです。好きな絵を見せたかっただけなのに。
子役がやたら説明的に泣くなぁとは思ったけど(笑)
あとラストシーンも良かった。
グッズの辞令メモパッド買いました!
クリアファイルの辞令とはバージョン違いなのが細かい!

高里先生もコメントで仰ってましたが、美術が本当にすごかった!
お屋敷もそこにある小道具たちも、本当にある「烏丸家」を見せていただいている感じでした。
今回の映画では語られなかったけど原作ではあったエピソードに基づいたものなどもお家の中にあって、原作を読み込んで尊重してくださったんだなって嬉しくなる。
空間がすごく良かったので、セットだけ360度公開とかしてくれないかな。

あと、うち執に限らず、高里先生の小説って美味しそうな食べ物が出てくる印象があるのですが、映画がそこのところを推している感じでとても良かったです。
シズル感といいますか、大変美味しそうでした。
アントルメ・アカメのケーキは監修とかモデルとかあったのかな。どこかのパティスリーやホテルでコラボしてくれないかな。
あと衣更月がパンケーキ食べるところ!かわいい!

今回びっくりしたのが、清原翔が思った以上に衣更月だった。
ミルクティー色じゃなくなって正直どうなんだろうって思ってた部分もあったけど、そんなことが気にならないくらい完璧に執事だったし、演じている感がなく衣更月として存在していた感じがします。
ほか二人とかはどうしても台詞が台詞として聞こえてしまうときがあって、それは演技経験とかによるのではないかと思うのだけど、清原さんは台詞と感じさせず衣更月として喋っていた。
すごく執事として世界に溶け込んでいたなと思いました。
軽蔑した目がすごく良かった。

永瀬さんの花穎は、前述のとおり台詞が浮いている感じが気になりました。発声なのかなー。
花穎の無邪気さや純粋さというか、愛されて育ったことからくる育ちのよさが自然に出ているシーンが見受けられ、とても良かったです。
仕草やマナーはもうちょっと……というのもあったけど。

何よりも特筆すべきは、花穎の視界の表現だったと思います。
あれは本当に良かった。
実際に花穎に見えている視界がああいう見え方なのではないと思うんですけど、色彩関知能力の高さによって花穎が違和感を覚えたり気持ち悪くなることが、滲んでいく色の粒でわかりやすく表現されていたと思います。

あと、トイレに駆けつけたときのネクタイに濡れ跡があったのも伏線としてよかった。
花穎にしか見えない色の違いは客観的証拠にはなり得ないので、伏線として濡れて一部変色している状態が映されることで、視聴者も推測できるようになってるんですよね。


エンディングのメイキング映像もすごく楽しかったです。
そこにいたのは花穎と衣更月と赤目というよりも、永瀬さんと清原さんと神宮寺さんだったのだと思うけれども、楽しそうなところがかわいかった。
封蝋はコミカライズのあれを思い出しました。



全体的には好印象だったけれども、それでも、やっぱり、映像化されたのが薬屋探偵シリーズじゃなくてよかった……

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2019/05/18 (Sat) 感想 CM(0)

『いまさら翼と言われても』

あれ、古典部シリーズってこんなにキャラクターを描いていたっけ?
っていうのが率直な感想でした(めちゃくちゃ失礼)。

『氷菓』から青春ミステリだったけど、なんていうかキャラクターは設定を身にまとっているだけだった印象で。
個人的には『遠回りする雛』でようやくキャラクターとしての生きて愛着がもてた。
それを思うと、キャラクターを描くには短編集の方が向いているシリーズなのかもしれない。

高校2年生になった古典部メンバーの、進路選択や悩みが書かれた短編集でした。
最初に読んだ頃は私も彼らと同年代だったのに、もう遠くなってしまったなぁ。なんとなく切ない。

あとは、奉太郎の過去が掘り下げられてましたね。
省エネになった由来とか。
お姉さんの言葉が良かった。
なんか発売当時に過去の話があるって情報を中途半端に見聞きしてたので、表題作を中学時代の合唱コンクールの話だと思い込んでいた。

キャラクターに深みが増した一方で、ミステリとしてはすごく軽いっていうか、謎が出てきた時点で答えが想像できてしまう感じ。
もともと日常の謎なので、何に謎を見出だすかみたいなところに主眼があったかもしれない(解き方よりも)
この短編集では特に、キャラクターの性質を描き出すための謎解きみたいな印象でした。
そういう趣向も好きだけど、答えが分かりきっていると、あー……ってなる。

それはそれとして、アニメのキャラデザが頭の斜め上くらいに浮いていて、イメージが干渉を受けた。

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