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2024/04/27 (Sat)

『十三髑髏』

いざ感想をメモにまとめて投稿しようとしたら、まさかのサーバーダウンと長期メンテ……。
復旧しつつあるようでよかったけど、こうも長くかかるとは思わなかったよ。
というわけで以下は1週間くらい前に書いたものです。

オーパーツ鑑定士とそのそっくりさんが探偵役のこのミス大賞受賞作。
以前、ひょんなことから大森望の選評を目にして、気になったので今回読んでみました。
率直な感想をいえば、最後まで読み通した自分を褒めたい。
ひどかった。
大幅改稿をしてこれなのか……。


……よくよく読み返してみたら、選評の大意は「強烈」「個性的」であって、良い作品とかおもしろいとは直接言ってないんですよね。こういうレトリックを使う人なのは知っているけれども。
というか本人が良い作品と思ったかどうかは関係なく、読みたいと思わせる文章を書くのってそれはそれですごい技術ですよね。


確かに、1話目のトリックはおもしろかった。
バカバカしすぎて清々しいレベル。
4話目もまぁ、好きでした。
こう、方向性でいうなら斜め屋敷を思わせる……と言いかけて彼我の差に躊躇する感じなんですけど。
トリックだけ取り出して比較したら似たような傾向のものであっても、小説である以上、それを成り立たせて説得力を持たせるためにはたくさんのものが必要だと思うんですよね。文章力とか。雰囲気とか。伏線とか。この犯人/この状況ならこの方法を使うしかない、と読者に思わせるためのものが。


トリックだけならおもしろいんですけど、探偵役の推理を待たず、すぐ分かってしまうんですよね。
私は1話目だけは分からなかったので素直に驚けたし、確かに伏線張られてた!と納得できて、わりといい犯人あてだったのではないかとさえ思えたんですけど。
2話目以降は、普通に読んでいたら推測できてしまうネタだったのでミステリとしては正直全然おもしろくないと思う。
密室とか、一瞬不思議な状況に感じるけど本当に一瞬だけで、捜査シーンを読んでいくとあぁそういうことねって分かる。
よくいえば伏線がしっかりしている……なのかもしれないですけど、あからさますぎる。
読者が簡単に推測できてしまうのもあまりよくないと思うんですけど、作中の登場人物も、その現場にいて順当に捜査してちょっと頭はたらかせたら発想できるんじゃないか、と思えてしまうので余計に印象が悪かった。
見えない死角から凶器が飛んでくるほどの奇想でもないですし。
助手を筆頭として周囲の人間の知能レベルを落とすことで相対的に探偵役を賢く見せる手法はあるけれども、たいがい限度があるでしょう、と思うんですよね。五十歩百歩っていうか。
その辺が読んでいて苦痛でした。
3話目が推測できたのはあるいは時期が悪いからかもしれないけれども(笑)




何より、文章含め雰囲気がチープすぎて嫌いでした。
読みながら感想をメモしていたんですけど、ちょっとそれを箇条書きのまま貼ります。


傍点がうざい
悪い意味でテレビドラマっぽい 決め台詞とかキャラクターとか
わざとらしいオーバーリアクション
吃りがうざい 「ちょ、ちょっと!?」的な台詞が続きすぎ
傍点がうざい
罵声を伏せ字で表現するのが安っぽい


以上。
まぁ、そんな感じでした。
会話のノリのサムさとかから、おじさんが書いてるのかと思ってたら、同年代っぽくてびっくりした。
今月頭に、『刀と傘』読んだんですよね。すごく良かった。
あれもこれも作者がだいたい同世代なんですけど、なんていうか年齢って関係ないんだなって思いました。


あとたぶん校閲がちゃんとしてないんじゃないかと思うんですけど、「厚顔無恥」の使い方間違ってて、すごくむずむずした。「無知」という意味で使ってて、台詞だから敢えてその発言をした人が勘違いしてるみたいなことかと思いきや、特に回収されずに流れていったので。
やっぱり馬鹿しかいない世界……。




オーパーツをネタにしている意味があんまりなかった気がしました。
いっそ、もう少し蘊蓄多くするとかしたほうがよかったのではないか。
自称鑑定士のくせに、しゃべってる内容がコンビニに売ってるあんちょこ本に書いてありそうなレベルに感じられてしまった。
あるいはそれこそ宝島社からも出てるような、ムック本とか。
ウィキペディア丸写しなんじゃないって思ってしまうほうがまだマシなくらい。
突然の恐竜知識もさぁ……。
トリックも、まぁ別のもので全然代用できるよねって感じで。(4話目は厳しいかもしれないが)
オカルトチックな雰囲気を出すことで殺害現場の謎っぽさを演出したり、見立てではないけどトリックが使われた痕跡を誤魔化したりというほども特にしていなかったんですよね。
デビュー作なのだし、もっとオーパーツに対する情熱を感じたかった。
ただの奇人の奇行にしか思えないのは残念でした。




あと普通に未成年飲酒描写あって、最近の出版物はその辺厳しそうなのにってびっくりした。
4月から大学生なら18歳か19歳ですよね? いや、浪人したともしてないとも書いていないけどさ。


それと、主役二人がそっくりなのが何か理由とかが明かされるかと思ったら、それもオーパーツかもって感じで終わってしまったのが拍子抜けしました。
鳳は天涯孤独って書いてあったから、てっきり生き別れの双子とかそういう血縁上のミッシングリンクがあると思ってたのに!




なんだろう、全体的に言うと、たとえば特に1話目を単独の作品として、大学のサークルとかで出したひとがいたら、私は文章とかキャラクターとかに対してさんざん文句は言うけど、でもこのトリックのバカバカしさは嫌いにはなれない、という感想を持つと思う。
でも商業出版物としてこれを読むと、粗のほうがどうしたって目についてしまうよね、という感じでした。


でもそもそもこのミス大賞ってそんなにミステリ的にしっかりしているというよりは、ある種のキャッチ―さだったり映像作品との親和性だったりが重視される賞なのかもしれない。
鮎川賞や乱歩賞に比べれば。
受賞作はバチスタとドビュッシーくらいしか読んでないのでよくは知らないですけど。

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