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妖怪と神話とミステリと甘いものが好き。腐った話とか平気でします。ネタバレに配慮できません。

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2024/04/27 (Sat)

映画『うちの執事が言うことには』

(ネタバレあります)

10年以上前に初めて薬屋探偵シリーズを読んだときからの高里先生のファンです。
薬屋もフェンネルも天青国もドルチェもラボも、もちろんうち執も読んでいるし、濃淡に差はあれどすごく大好きです。
多感な時期に好きになったから、高里作品は私の価値観や世界観を規定したところが少なからずあるというか、私という人間の根幹の一部はきっと高里先生の小説で読んだ考え方でできていると思っている。

だから、それだけ大好きな作家さんの作品が映画化されることが不安でした。
ファンの方には申し訳ないけれども、主演がジャニーズで映画初主演というのもその一因だった。
作品を映画化したいんじゃなくて、そのアイドルを輝かせるために適当に選んだんでしょう、みたいな。

ことあるごとに高里先生が原作ファンに向けてメッセージを発信してくださっていて、あれは本当にありがたかった。
先生が嬉しいと言ってらっしゃるから映画化して良かったと思えたし、映画の世界はコミカライズとも原作とも違うから読者ひとりひとりが思い描いた世界を否定しないと言ってくださって救われました。
一方で、大好きな作家さんにここまで気を遣わせてしまうのってどうなんだろうということも気になってしまいました。
1年前に発表されてから映画公開まで、情報が多すぎて溺れそうで、演者さんのインタビューや撮影風景は見ないようにしていました。
っていうかなんで同じ内容が切り取られたり編集されたりしてたくさんの記事になって拡散されてるんだろう。追いきれないというか何見ても同じなのに数だけはあって疲弊していく。
演者さんたちも、本人として出ているときはキャラクターではないので、テレビで見てイメージ影響されても嫌だなと思ってほとんど見てなかったです。
小説ジャンルのオタクだと普段そんなに動きや露出がないから、追う情報が多いとすぐ疲れてしまう。

楽しかったって思ってもらいたいと言われたら、楽しめなかったらどうしようって思ってしまうし。
でもそうやって呪われるのはきっと本意ではないのだろうし。

という感じで見るまで本当に不安いっぱいでした。

結果的には、いい映画でした。
何よりも、エンドロールで「高里椎奈」の名前が流れたのが感無量だった。
あの一瞬のためだけでも見る価値はあったと言えます。

映画自体の出来はというと、連作短編をうまく長編の映画に落とし込んでいたな、と思いました。
エピソードを削ったりくっつけたりして、花穎と衣更月が信頼を形成していく過程と赤目さんとの関係を軸にひとつのストーリーにまとめていた。
そして構図や演出や台詞がそのテーマが過不足なく伝わるように練られたものだと感じました。
正直、売り出し中のジャニーズが初主演って時点で、その人を魅せるためだけに作品が使われるだけだろうみたいな、要は原作レイプでしょみたいな、穿ったことを考えていたので、思っていたよりもずっと高里先生の小説の空気感やキャラクター解釈を大切にして作ってくれた感じがして、安心しました。

とはいえ、映画としてうまくまとまっていたなというのと、やっぱり原作と違うところを悲しく思ってしまうというのが両方気持ちとしてある。
あの台詞削られちゃったんだな……とか。衣更月に「クソガキ」って言ってほしかった。

そしてその最たるものが双子だった。
早苗と橘が存在を消されて、リサが「沢鷹」になっていたのは寂しい。
2時間の映画に収める上で、その方がすっきりして分かりやすいというのは理解も納得もできる。
設定も台詞もキャラクターも、小説と映画では全く同じにしてもうまくいかないのだろうと思いますが。それでも寂しい。

オリジナルキャラクターの美優も、説明役として必要なのは分かるが、そして18歳の女の子だからということもわかるが、煩い……と思っちゃった。
衣更月は使用人として彼女の振る舞いを許容するのか。私が思う彼は許さないだろう。みたいな。
あそこで気持ちを伝えさせるキャラクターがいると良いのも分かるんですけどねー。
異物だ、という気持ちが消えなかったです。

逆に小さい頃の赤目と花穎のエピソードは良かったです。好きな絵を見せたかっただけなのに。
子役がやたら説明的に泣くなぁとは思ったけど(笑)
あとラストシーンも良かった。
グッズの辞令メモパッド買いました!
クリアファイルの辞令とはバージョン違いなのが細かい!

高里先生もコメントで仰ってましたが、美術が本当にすごかった!
お屋敷もそこにある小道具たちも、本当にある「烏丸家」を見せていただいている感じでした。
今回の映画では語られなかったけど原作ではあったエピソードに基づいたものなどもお家の中にあって、原作を読み込んで尊重してくださったんだなって嬉しくなる。
空間がすごく良かったので、セットだけ360度公開とかしてくれないかな。

あと、うち執に限らず、高里先生の小説って美味しそうな食べ物が出てくる印象があるのですが、映画がそこのところを推している感じでとても良かったです。
シズル感といいますか、大変美味しそうでした。
アントルメ・アカメのケーキは監修とかモデルとかあったのかな。どこかのパティスリーやホテルでコラボしてくれないかな。
あと衣更月がパンケーキ食べるところ!かわいい!

今回びっくりしたのが、清原翔が思った以上に衣更月だった。
ミルクティー色じゃなくなって正直どうなんだろうって思ってた部分もあったけど、そんなことが気にならないくらい完璧に執事だったし、演じている感がなく衣更月として存在していた感じがします。
ほか二人とかはどうしても台詞が台詞として聞こえてしまうときがあって、それは演技経験とかによるのではないかと思うのだけど、清原さんは台詞と感じさせず衣更月として喋っていた。
すごく執事として世界に溶け込んでいたなと思いました。
軽蔑した目がすごく良かった。

永瀬さんの花穎は、前述のとおり台詞が浮いている感じが気になりました。発声なのかなー。
花穎の無邪気さや純粋さというか、愛されて育ったことからくる育ちのよさが自然に出ているシーンが見受けられ、とても良かったです。
仕草やマナーはもうちょっと……というのもあったけど。

何よりも特筆すべきは、花穎の視界の表現だったと思います。
あれは本当に良かった。
実際に花穎に見えている視界がああいう見え方なのではないと思うんですけど、色彩関知能力の高さによって花穎が違和感を覚えたり気持ち悪くなることが、滲んでいく色の粒でわかりやすく表現されていたと思います。

あと、トイレに駆けつけたときのネクタイに濡れ跡があったのも伏線としてよかった。
花穎にしか見えない色の違いは客観的証拠にはなり得ないので、伏線として濡れて一部変色している状態が映されることで、視聴者も推測できるようになってるんですよね。


エンディングのメイキング映像もすごく楽しかったです。
そこにいたのは花穎と衣更月と赤目というよりも、永瀬さんと清原さんと神宮寺さんだったのだと思うけれども、楽しそうなところがかわいかった。
封蝋はコミカライズのあれを思い出しました。



全体的には好印象だったけれども、それでも、やっぱり、映像化されたのが薬屋探偵シリーズじゃなくてよかった……

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2019/05/18 (Sat) 感想 CM(0)

紺青の拳

今年の映画、私はかなり好きでした!
怪盗キッドが好きなので、彼が出ている時点で甘く評価してしまう部分はなきにしもあらずですが、普通におもしろかったと思う。
近年の中では上位……というか、歴代でもわりと出来がいいほうなんじゃないかな。
アクションに関してはもはやギャグだし、コメディっぽい感じが強かったかなーと思うんですけど、楽しかったので。


公開後間もないのでワンクッション。
これ意味あるのかよくわからないんですけど。


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つづきはこちら








シンガポールで開かれる空手大会を観戦するため、蘭と園子は現地を訪れていた。海外渡航できないコナンは留守番のはずだったが、蘭の姿をした何者かに襲われ、目が覚めたら、シンガポールにいた。
新一に変装した怪盗キッドにスーツケースに閉じ込めて連れてこられ、キッドに従わなければ日本に帰ることができないコナンは、道具をすべて奪われ変装することに。
正体に気づいていない蘭に名を訊かれ、とっさに「アーサー・平井」と名乗り、現地人の少年として一行に同行する。
というシチュエーションだけでもうおもしろい。
作中でも解説ありましたけど、平井太郎から持ってくるのが推理オタクだなって微笑ましい。

園子と京極さんカップルはかわいくて良いですね~。
京極さんが呪いをかけられたときはどうしようかと思った。というか彼はそれで揺らぐ人じゃないだろうと思ってたので意外だったんですけど、レオンは心を読むのがうまいんだろうと納得させている。
そしてトランプ銃をそう使うかーという。
事件の中での園子の立ち位置的なものが、ジョリー・ロジャーのときよりもこっちのほうが好きだったなと思います。背中合わせで闘うのって信頼の証だけど、その信頼は相手の攻撃力防御力の実績に対するものでしょっていうあれだったのでジョリー・ロジャー。
守る存在がいるからこそ強くなれるし、守られるだけではなくて精神的に守ってるんだよ、というオチもとても良い。
大倉崇裕のキャラ解釈はから紅のときのもすごく好きだったので、今回も期待以上のラブコメをやってくれて本当に良かったです。

園子と京極さんのすれ違いに関してもだし、新一に変装しているキッドのちょっとした動きとかも、今回の映画は台詞でなく視線や仕草で感情を表現していたシーンが多かった印象でした。
今までのコナンでそういうのあまり感じなかったので、監督さんによるものなのかな。
そういうのがあると、何度も見たくなる。
最後のニュース画面でシンガポールの都市再建は鈴木財閥が支援というテロップがあり、芸が細かいなと思った。
なんだろう、丸儲けというか一人勝ちというか……。


ミステリ部分に関して。
大倉崇裕、こういうプロット好きなんですかね。
基本的に2年前の「から紅の恋歌」と同じ構造ですよね。
倒叙じゃないけど視聴者には犯人が最初からわかってて、ハウとかワイとかが焦点になってるのかな~でも話が広がりすぎてて謎が何なのかピンとこないな~と思ってたらあっさり謎解きがされ、最初からわかっていた犯人の裏に黒幕というか別の意図をもった別の犯人がいたという構成。
真犯人はおいといて、最初からわかってたほうの犯人は、徹頭徹尾金のために自作自演をしていて、これはこれで潔くて良い犯人像だったなと思いました。
なんとなく「13・67」に出てきそうな印象。
リシさんは開眼しそうな顔をしてて、実際開眼したけどなんか思ってたのと違う顔だった。
あと今回はちゃんと声の演技のできるひとを両犯人の声優にもってきていてよかったです、本当に。

上にも書いたけど、何が謎なのかピンとこないままに話の展開を追うのに精いっぱいだったので、もっと謎の見せ方を丁寧にしてほしかったかなという感じはあります。
オープニングに入るまでも長かったし。
34階で乗り換えないといけないので~というトリックだったなら、園子たちも同じホテル使ってたのだから伏線を前もって丁寧にみせてほしかったかなと思った。
後からそのことも言ってましたけど。

純粋推理空間演出がおもしろかった。
シャーロックを意識している感じ?
わかりやすいのはいいと思います。

結局なんでキッドのマークを殺害現場に残したのかよくわからなかった。
というか、なぜキッドをスケープゴートに選んだのか。
怪盗キッドや毛利小五郎はシンガポールにまで知れ渡ってるの?ってところがあんまりピンとこなかったんですよね。都合よすぎないか、と。
や、でも盗一さんの頃は世界で活躍してたので、知れ渡ってるの自体はおかしくないか……。
キッドを選んだ理由が物語の展開上の理由以上のものがあればもっとよかったんですけど。

あのホテルは実在するんですね。
最初に出てきたときにてっきり、上の3つのビルに渡された部分がそれぞれの間で分割されるのかなって思ってたんですが、そのままスライドしましたね。
こう、観覧車を転がすのと同レベルのとんちきインパクトでおもしろかったです。
あれで怪我人・死人が出ないのが奇跡っていうかウソだろって感じ。
着水させて水がばーってなって鎮火するアイデアはおもしろいんだけど、コナンなら人が避難してからあれをやってほしかったです。
タンカーを止めたのがコナンとキッドではなかったのも若干の寂しさがありますが、まあ国家権力を介入させないと無理なのはわかるので……。
日本なら警視庁にも各地の警察にも公安・FBIにも伝手があるので、コナンの指示で国家権力を動かすことができたと思うんですけど、シンガポールでは無名だからね。
ところで人工衛星の次はタンカーかって思いました。

撃たれたキッドが色気がすごくてやばかった。
快新が好きなので、あの、いろいろとおいしかったです!
公式で同じベッドで寝た実績が解除された……!
欲をいえばもうちょっと、隙あらば裏をかこうとする感じの殺気がほしかったかなと思います。
基本はライバルだからこそ、たまに協力関係になるのが萌えるってとこあるので。あるよね?
すべてが終わった後に友達同士になってほしいという妄想はありますが……。
そんなわけで、「キッドを突き出したら日本に帰れない」というエクスキューズはあったものの、コナンはもうちょっと積極的にキッドが盗もうとするのを阻止しようとしても良かったかなと思うんですよね。
っていうか京極さんが優勝したら、新一として知り合いになったんだから、折を見て月にかざさせてもらえば平和的に解決したんじゃないかしら。

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2019/04/14 (Sun) 感想 CM(0)

『AX』

伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ新刊。
1作目は雑誌掲載時に読んでたので、あれがようやく単行本になったのかと懐かしいような気持ちでした。

恐妻家の殺し屋「兜」と、彼の家族の話。

連作短編だからか、最初の方はコンパクトな話が多いなという印象で、このシリーズは長編の方がおもしろいのかなという気がしていたんだけど、最終話がすごく良かったです。
そう、これこれ。こういうのが読みたくて、私はこの本を読んでたんだって感じの。
「AX」と「BEE」は、伏線回収にしても本当にそうなの?って疑ってしまって。兜がそういう人物として描かれるのもあって、短絡的に結びつけすぎじゃないかと。
「Crayon」もその傾向があったけれども、殺したのが何者かは関係ないところに物語の軸があったので良かったですが。


1ページ目から檸檬が出てくるのが、もうずるい!
その後もちょくちょくと、見知った人の話が出てきて、1話にひとつ入れるノルマでもあるのかなとも思ったけど、やっぱりファンとしては嬉しい。
ただ鈴木さんがいなかったのが物足りなかったです。関係性は全然違うけど、夫婦という軸がかぶるからかしら。
……いや、一応一般人だから、そうそう業界の人とは遭遇しないのか。

作品間リンクとはちょっと違うけど、ラストシーンの冒頭の部分読んで、思わず周りを見まわしたくなった。私のではなく、兜の。千葉さんが近くにいるのでは、って。

恐妻家の兜については、妻の理不尽にも見える怒りに対してぺこぺこする兜にもどかしさを覚えた。なんで理不尽に屈するんだ、立ち向かえ、って。
なんでそれでも奥さんのことを好きなんだろうというのも不思議だったし。
強いていえばたぶん克己と似た立場から見ていたのかと思う。
読んでいくと、最後の方には、兜なりの人間関係の作り方なのかというか、どうしても手放したくない人生で初めてのたった一人の相手だからなのだと納得できたけど。
奥さん以外の人間関係というか、兜が友達を作ろうとするのも、この本のひとつの軸になっているところだと思う。
ひっくるめて、殺し屋のプライベートというか人間的な面にフォーカスした作品だったなと思いました。
人間的な面として、家族を守りたいとか友達を作りたいという希望を抱くけど、殺し屋であることが障害になる。ありきたりなパターンだけど、やっぱり熱いし切ない。だからこそ、クリーニング屋さん!がとても良い存在だった。
でもせっかく友達になれそうだった人の名前も忘れていた辺りはドライだなとも思いました。


あと、ひとつだけとても気になっていることがあるのだけれども。
「D」はないの?

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2017/08/08 (Tue) 感想 CM(0)

「から紅の恋歌」

今回、私はなぜかとても見る前からの期待値が低かったんです。
それは、映画で今更新キャラしかも平和の当て馬とか出たところでっていう気持ちだとか、百人一首を題材にしていてトンデモな方向のことを言い出したらどうしようだとか、所詮十字路の二番煎じにしかならないんじゃないかとか、興行収入的にはぶっちぎりだった去年の路線を継続されたらどうしようとか。
というよりも、そもそも映画自体に不信感があったんです。
なんだかここ数年、コナンの映画はスタンプラリーのようなものなんじゃないかって思えてきて。
ノルマがいくつかあって、それを全部クリアしなければならない。そのせいで物語に無理が生じてしまっても。捺すべきスタンプは、たとえば出すキャラであったり、爆発であったり、ゲスト声優であったり。
去年のは潔く推理披露シーンを省いてアクションに注力していて、その点はおもしろかったけれども結局何の説明もされなかったことだとか、組織の杜撰さとかには少しがっかりした。
でも、去年のもそうだったように、スタンプラリーのノルマを変えてきているのかもしれない、という風にも思いました。


前置きが長くなりました。すみません。
今年の映画は、危惧していたほどのことは全然なかったです。
不満はなくはないけれども、おおむね楽しんで見れました。
以下、犯人が誰とかは言いませんがネタバレあるかもです。

何が一番安心したかっていうと、外部脚本なのにキャラ解釈にずれをほとんど感じなかったこと。
え、その設定つけたしちゃうの!?とかはあったけれども、この人はこんなことしない!みたいなのはあまりなかったです。
コナン&服部チートすぎるとか警察無能すぎるとかはあるけれどもそれはキャラ解釈とかの問題じゃないしね……。それを言うと、平次とコナンを捜査会議に参加させるのは府警本部長は許さないんじゃないかというイメージはあったんですけど、あの人たちのことそんなによく知らないしな。
(追記。そこのところが気になったのは、キャラ造形云々よりも、探偵とはいえ素人の高校生と小学生を無批判に捜査に参加させてしまう警察ってどうなのということの方でした)

そういえば今回脚本やった大倉さんが脚本担当したアニメ「不思議な少年」もおおむねはキャラ解釈外れてなかったし、コナン好きな人なのだろうかと思うと親近感わきます。とりあえず小説読んでみよう。

で、キャラ解釈が基本的には好ましかったので、そのうえでラブコメメインの物語を展開していたのは楽しく見れました。
新キャラの紅葉も、基本的にはいい子なんだろうなぁ。最初っから勝ち目のない争いをしてかわいそうにという気持ちはあったけれども、けっこう高慢で勝気なんだけどかわいい。
オチはどうせそんなこったろうと思ってた。
原作にもちらっと出てたし、これからも出てきてほしいな。
かるたの練習もスポ根的で見ていて楽しかったけれども、素人の和葉が決勝戦まで行くのはさすがにご都合主義が勝ちすぎるのでは。

和葉や蘭や子供たちはずっと事件を知らずにかるたの練習なり観光なりしてたから、どうしても緊迫感が薄れちゃったなというのは残念なところのひとつでした。
去年今年続けて、蘭はピンチに陥らなくなりましたね。去年はまだあの場にはいたけど、今年は最初の爆発すら避難済みだったし、その後もずっと事件に関しては蚊帳の外で意外に思いました。
まあ今回は和葉がメインヒロインだから。
他の映画と並べると、メリハリがあってよかったです。


ラブコメ展開が物語のメインになるためにか、アクションも最初と最後に集中してましたね。
最初からクライマックスで、展開早!と思ったのも束の間、その後ずっとラブコメしてて最後にまた爆発とアクション。最後もう一爆発くらいあるかと思ったら意外とあっさりでした。
爆発の衝撃で飛距離を稼ごうとするのは天カウっぽいなとか、崖から落ちそうになるのを引っ張るのは人魚の話で見たとか、なんとなく過去作へのオマージュなのかしらあって良かったです。
回想でマンガっぽい白黒の絵が差しはさまれているのも、あのシーンだって思えて楽しかった。
エピゼロから持ってきてたのもあって、そういうところがファンとしては嬉しかったです。


ミステリ部分に関しては、犯人と目される人が次々と変わっていくところは見ていて面白かったです。
ただこの事件は最初の爆発だってけっこう大きいし、その後ももっと警戒してしかるべきと思うのに警察もコナンと平次もどこかのんびりモードに感じました。
ミステリとしては、中盤もっと捜査シーンほしかったかも。
っていうか、「犯人と目される人が次々と変わっていくところ」はおもしろかったんですけど、その変わっていくの根拠が推理というよりもただ「新しい情報を手に入れた」からというだけなところはどうなの、って思った。
2時間の映画で緻密な論理とか伏線回収とかは難しいのかもしれないけれども、もうちょっと何か推理らしきものをしてほしかったです。せめてレッドへリングまぜるとか。
「犯人は誰か」が視聴者を惹きつけているという意味では広義のミステリだけれども、狭義ではないかなあ。
犯人の顔が映っていたので、倒叙というか「名探偵が何を手がかりにどんな道筋をたどったか」を興味の主眼とする話なのかなあと思ったけれども、そういう要素はなくはないけれども、単純だったなと思いました。
いまどき、犯人じゃなければ知らない情報を証拠にするのかいやでもあれは単なる揺さぶりかにしても。みたいな。
所詮実行犯だからか。にしても雑では。

犯人の行動も謎で。
動機はまあわかるんです。理解も納得もできる。
でも、そのためにとる行動が謎。牛刀をもって鶏を割くというか。そこまで大掛かりにする必要あったの?
爆発より確実な方法があったのではという気がしてなりません。
二つ目の爆発は完全にミスディレクションのためだけだった気もするし。
本来の目的よりも、罪をなすりつけるための行動の方がメインになっているのでは。
そもそもの原因となった人の行動もなんていうか、最初から全部打ち明けるとかもうちょっとうまいやりようあったとも思うけど、不器用な人なのかなと思えばまだ納得できる。

脚本がミステリ作家の方らしいので、ミステリ的なところはもう少し期待してたんですよね。
いつか内田けんじさんとかやってくれないかしら。テレビスペシャルやってらしたけど、ぜひ映画版も。

「名探偵コナン」という作品は、あくまでミステリ要素もあるラブコメだったなあと改めて感じた。ある意味原点回帰なのかもしれません。ラブコメやってたのは主人公ではなく平次と和葉だけど、新一と蘭はもう告白済みだし映画では動きようがないのかも。
でもミステリが好きな私はちょっと不満も抱いてしまう。コナンに期待することじゃないのかもしれないが。
ミステリという意味では十字路の方が好きでした。


百人一首について。
名前に嵩という字が入っていても、全然違うよね、そりゃあ。安心しました。
いや本気で心配してたんです。曼荼羅とか言い出したらどうしようって。
でも百人一首は単なる小道具でしかなかったですね。
送られてきた歌のメッセージはそれ自体にではなく、関係者だけが知りうるその背景にあったようですし。鹿が名前にあるからなら紅葉じゃなく鹿の歌でいいのではとは思った
せいぜい、歌の意味を恋愛要素の中で使ったくらいですね。
和葉は別に忍ぶ恋をしているわけじゃないと思うんだけどなぁ。この映画の中であのシーンでは、ものや思うと人の問うまでだったけれども。
むしろ同じ隠している恋心なら「かくとだに」の方がそれっぽいような。
蘭が「めぐりあひて」の歌に共感するみたいなこと言ったときにはめっちゃ笑った。
恋人同士(未満)で歌のやり取りするの風情があっていいですよね。

あ、どうでもいいんですけど。
紅葉の歌というくくりで流れ弾的に菅公がちらちら映ってたのでテンション上がりました。


今回、少年探偵団いらなくない?
単なるアリバイ作り(制作側の)のように感じました。子供向けなのだから、入れなきゃいけないんだろうけど、全然活躍せずピンチにもならず大阪観光してただけでしたね。
いや、引っ掻きまわされなくてよかったし、大事なシーンで無駄に見せ場作られても困るのでそれはそれでよかったんです。本当に。
ていうか文脈無視のお約束クイズも……これこそスタンプラリーなんだろうなぁ、と思いました。ノルマでしかない。
ただ灰原が遠方から科学捜査担当って感じで協力しているのはとても好きです。コナンにとって信頼のおける相棒という感じなのが良いね。
本人が近くにいなくても、だからこそできることがあるという使い方は巧いなと思った。

主題歌のアレンジは今回のわりと好きです。

あ、来年の映画も楽しみですね。零って言ってましたね。
それまでに原作(単行本)でももう少し何か判明するんでしょうか。
去年ので味をしめたんだなって気がしなくもない。

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2017/04/15 (Sat) 感想 CM(0)

BFG

自分で記事カテゴリーを感想小説と小説以外で分けておいてなんだけど、どうにもどちらとも決めがたい……。
BFGの映画を見てきました。
が、それに先立って原作を読みました。予習的な感じで。
両方の感想と比較してみてのあれこれと。
ネタバレそんなに気にするものではないけど、ネタバレもあるかもです。





まずは原作、『オ・ヤサシ巨人BFG』
1985年初版の中村妙子訳で読んだので、もしかすると新しい方とは若干訳とかが違うかもしれない。
良いファンタジーだった。
ストーリー的にはあまり起伏がないというかありがちな感じ。女の子が巨人(優しい)に攫われて、仲良くなって、悪い人食い巨人たちをやっつける、みたいな。なんとなく『魔女がいっぱい』を思い出しました。そして『魔女がいっぱい』の方が好きではある。
でも、巨人の暮らしの描写だったり、夢のコレクションの列挙だったり、そういう背景的な部分がすごくワクワクする感じで好きです。
特に、女王と一緒に食事するシーンがすごく好き。巨人用のテーブルをセットするところが、逆「床下の小人」っぽいというか。鋤と鍬をフォークとスプーンにしたり、柱時計と卓球台で高いテーブルを作ったり。そういう風に、その場にあるもので間に合わせる想像力みたいなのがすごく楽しいのです。あとなんとなくだけれど、そういう状況でも一応ちゃんとテーブルをセットするあたりがイギリス人っぽい(偏見) 脚立を使ってサーブする執事氏萌えでした。
あと、ダールの児童書では定番の、言葉遊びも楽しかったです。
BFGの言い間違いは言語ではどうなってたんだろうって興味ある。「ニンゲンマメ」はbeingとbeansをかけてるのかなってなんとなく思ったんですけど。
トルコ人は七面鳥の味がするとかのくだりも好き。
あと、巨人たちが唯一畏れているのが「ジャック」っていうのも好きです。……「マメノキ」という謎の武器を持っているらしいけど詳しいことは伝わってないという設定も含めて。


さて、映画の話。
だいたいの感想は同じ感じで、ストーリーは原作よりはダイナミズムがあるとはいえ、前半は特に話が薄かったかなーって。
でも、映像がすごく綺麗でよかった。特に、夢まわりのあれこれが!スッバラシイ! 夢の樹は藤城清治の影絵みたいで美しいし、夢の瓶詰は透明なガラス瓶の中で色鮮やかな光が動いているのが綺麗だし、瓶詰めがいっぱいあるあの部屋とかすごくときめいた。あと、夢の調合も、それぞれの夢の中身っぽい動きをしていて素敵。
原作で好きだった女王陛下のシーンも、映像だとより楽しい感じになっていて。内装とかもすごく豪華だし、料理もおいしそう。クリームがのったいちごは、巨人にとっての子供だよみたいなあれなんだろうなぁ、そういう伏線回収いいなぁ。執事は萌えキャラ。犬もかわいい。冒頭の猫もめっちゃかわいかったですね。なんでいたのかよくわからないけど。
そこだけではなくて、BFGの家も、借り暮らしっぽくてすごく好きでした。船のベッドが素敵。交通標識のトレーとかも。
走っているBFGが、トム・ボンバディルっぽくてすごく良かった。人が通ると隠れたりするところもおもしろい。
あとさぁ、これ言うのあれかなぁとも思うんだけど、おばけきゅうりから出てくるソフィーすごいえろかったですね。あの、足の辺り。
難点を言うなら、吹き替えで見たのだけれどもソフィー役の声がなんかわざとらしくて、鼻についた。古い洋画の主人公の女の子っぽいというか、舞台演劇っぽいというか。だから余計にこまっしゃくれたガキに見えて、ところどころうざかった。
BFGのいいまつがいは音で聞いた方が楽しいとは思うけど、その辺が字幕でどうなってるのかとも気にはなる。

あと、映画版の訳がところどころなんともダサいね……? 吹き替えだからとかそういう問題?
「泡立ちソーダ」が「ぷっぷくぷー(?)」だったり。それは泡立ちソーダでよくない?巨人たちの名前も変わってたし。もしかすると小説でも新しい訳がこうなっているのかもしれないのだけれども。
BFGの言葉遣いが変わってたのは活字で見ておもしろいのと耳で聞いておもしろくかつ元の単語が理解できるのとは違うだろうからいいんだけど。

原作に比べると。ブラックユーモアがなくなって、なんとなくいい話っぽくなってたのが微妙。まぁディズニーだし?何らかの規制とかあるんだろうなとは思うんだけど。そりゃ、ターキーとかほかの国の人間の味の話題はやっぱりポリティカルコレクト的に問題ありそうですし。巨人の食事も、そんなにあからさまではなかったから。まずいんだろうなぁ。
ジャックのくだりもなかったし、あと「勝手に餌を与えないでください」もすごくブラックユーモアきいてて好きなんだけどなかったですね。
っていうか、ラスト全然違ったね。
まぁ、映画のラストのほうがある意味現実的なんだろうと思う。世界を救ったとはいえ、所詮異種族は一緒には暮らしていけないんだよ……。原作ラストのほうが夢があって好きです。映画でも、物語書いてること示されてたのはいいなって。
でも巨人あの島から出てこれるのでは?周囲全部水だから無理なのかな。ってか、水苦手って話はどこからきたんだろう。

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2016/10/02 (Sun) 感想 CM(0)