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2024/05/08 (Wed)

映画『うちの執事が言うことには』

(ネタバレあります)

10年以上前に初めて薬屋探偵シリーズを読んだときからの高里先生のファンです。
薬屋もフェンネルも天青国もドルチェもラボも、もちろんうち執も読んでいるし、濃淡に差はあれどすごく大好きです。
多感な時期に好きになったから、高里作品は私の価値観や世界観を規定したところが少なからずあるというか、私という人間の根幹の一部はきっと高里先生の小説で読んだ考え方でできていると思っている。

だから、それだけ大好きな作家さんの作品が映画化されることが不安でした。
ファンの方には申し訳ないけれども、主演がジャニーズで映画初主演というのもその一因だった。
作品を映画化したいんじゃなくて、そのアイドルを輝かせるために適当に選んだんでしょう、みたいな。

ことあるごとに高里先生が原作ファンに向けてメッセージを発信してくださっていて、あれは本当にありがたかった。
先生が嬉しいと言ってらっしゃるから映画化して良かったと思えたし、映画の世界はコミカライズとも原作とも違うから読者ひとりひとりが思い描いた世界を否定しないと言ってくださって救われました。
一方で、大好きな作家さんにここまで気を遣わせてしまうのってどうなんだろうということも気になってしまいました。
1年前に発表されてから映画公開まで、情報が多すぎて溺れそうで、演者さんのインタビューや撮影風景は見ないようにしていました。
っていうかなんで同じ内容が切り取られたり編集されたりしてたくさんの記事になって拡散されてるんだろう。追いきれないというか何見ても同じなのに数だけはあって疲弊していく。
演者さんたちも、本人として出ているときはキャラクターではないので、テレビで見てイメージ影響されても嫌だなと思ってほとんど見てなかったです。
小説ジャンルのオタクだと普段そんなに動きや露出がないから、追う情報が多いとすぐ疲れてしまう。

楽しかったって思ってもらいたいと言われたら、楽しめなかったらどうしようって思ってしまうし。
でもそうやって呪われるのはきっと本意ではないのだろうし。

という感じで見るまで本当に不安いっぱいでした。

結果的には、いい映画でした。
何よりも、エンドロールで「高里椎奈」の名前が流れたのが感無量だった。
あの一瞬のためだけでも見る価値はあったと言えます。

映画自体の出来はというと、連作短編をうまく長編の映画に落とし込んでいたな、と思いました。
エピソードを削ったりくっつけたりして、花穎と衣更月が信頼を形成していく過程と赤目さんとの関係を軸にひとつのストーリーにまとめていた。
そして構図や演出や台詞がそのテーマが過不足なく伝わるように練られたものだと感じました。
正直、売り出し中のジャニーズが初主演って時点で、その人を魅せるためだけに作品が使われるだけだろうみたいな、要は原作レイプでしょみたいな、穿ったことを考えていたので、思っていたよりもずっと高里先生の小説の空気感やキャラクター解釈を大切にして作ってくれた感じがして、安心しました。

とはいえ、映画としてうまくまとまっていたなというのと、やっぱり原作と違うところを悲しく思ってしまうというのが両方気持ちとしてある。
あの台詞削られちゃったんだな……とか。衣更月に「クソガキ」って言ってほしかった。

そしてその最たるものが双子だった。
早苗と橘が存在を消されて、リサが「沢鷹」になっていたのは寂しい。
2時間の映画に収める上で、その方がすっきりして分かりやすいというのは理解も納得もできる。
設定も台詞もキャラクターも、小説と映画では全く同じにしてもうまくいかないのだろうと思いますが。それでも寂しい。

オリジナルキャラクターの美優も、説明役として必要なのは分かるが、そして18歳の女の子だからということもわかるが、煩い……と思っちゃった。
衣更月は使用人として彼女の振る舞いを許容するのか。私が思う彼は許さないだろう。みたいな。
あそこで気持ちを伝えさせるキャラクターがいると良いのも分かるんですけどねー。
異物だ、という気持ちが消えなかったです。

逆に小さい頃の赤目と花穎のエピソードは良かったです。好きな絵を見せたかっただけなのに。
子役がやたら説明的に泣くなぁとは思ったけど(笑)
あとラストシーンも良かった。
グッズの辞令メモパッド買いました!
クリアファイルの辞令とはバージョン違いなのが細かい!

高里先生もコメントで仰ってましたが、美術が本当にすごかった!
お屋敷もそこにある小道具たちも、本当にある「烏丸家」を見せていただいている感じでした。
今回の映画では語られなかったけど原作ではあったエピソードに基づいたものなどもお家の中にあって、原作を読み込んで尊重してくださったんだなって嬉しくなる。
空間がすごく良かったので、セットだけ360度公開とかしてくれないかな。

あと、うち執に限らず、高里先生の小説って美味しそうな食べ物が出てくる印象があるのですが、映画がそこのところを推している感じでとても良かったです。
シズル感といいますか、大変美味しそうでした。
アントルメ・アカメのケーキは監修とかモデルとかあったのかな。どこかのパティスリーやホテルでコラボしてくれないかな。
あと衣更月がパンケーキ食べるところ!かわいい!

今回びっくりしたのが、清原翔が思った以上に衣更月だった。
ミルクティー色じゃなくなって正直どうなんだろうって思ってた部分もあったけど、そんなことが気にならないくらい完璧に執事だったし、演じている感がなく衣更月として存在していた感じがします。
ほか二人とかはどうしても台詞が台詞として聞こえてしまうときがあって、それは演技経験とかによるのではないかと思うのだけど、清原さんは台詞と感じさせず衣更月として喋っていた。
すごく執事として世界に溶け込んでいたなと思いました。
軽蔑した目がすごく良かった。

永瀬さんの花穎は、前述のとおり台詞が浮いている感じが気になりました。発声なのかなー。
花穎の無邪気さや純粋さというか、愛されて育ったことからくる育ちのよさが自然に出ているシーンが見受けられ、とても良かったです。
仕草やマナーはもうちょっと……というのもあったけど。

何よりも特筆すべきは、花穎の視界の表現だったと思います。
あれは本当に良かった。
実際に花穎に見えている視界がああいう見え方なのではないと思うんですけど、色彩関知能力の高さによって花穎が違和感を覚えたり気持ち悪くなることが、滲んでいく色の粒でわかりやすく表現されていたと思います。

あと、トイレに駆けつけたときのネクタイに濡れ跡があったのも伏線としてよかった。
花穎にしか見えない色の違いは客観的証拠にはなり得ないので、伏線として濡れて一部変色している状態が映されることで、視聴者も推測できるようになってるんですよね。


エンディングのメイキング映像もすごく楽しかったです。
そこにいたのは花穎と衣更月と赤目というよりも、永瀬さんと清原さんと神宮寺さんだったのだと思うけれども、楽しそうなところがかわいかった。
封蝋はコミカライズのあれを思い出しました。



全体的には好印象だったけれども、それでも、やっぱり、映像化されたのが薬屋探偵シリーズじゃなくてよかった……

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2019/05/18 (Sat) 感想 CM(0)
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