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2024/05/20 (Mon)

『魔眼の匣の殺人』

屍人荘の続編。

「魔眼の匣」って建物名だったんだ!?

つていうのが、見取り図を見た感想です。何と思っていたわけでもないけど、まさか建物名とは思わなかったよ……。いや、推理小説で「○○の殺人」みたいなタイトルって地名とか建物名とか入ること多いけど、あまりに建物名っぽくないじゃん。


喪失が色濃く残る第一章冒頭。ひとりでお昼ご飯当てをする葉村君はあまりに悲しい。
正直、安心しました。
よかった。もっと葉村君の傷になって、そこにいた証を見せてほしい。明智先輩が好きだったんです。俺のホームズ……。
こう、最後まで読んで思ったんですが、「俺のホームズ」は明智先輩だけにして、比留子とはホームズワトソンじゃない関係性にしたほうが互いに(この互いというのはキャラクターと私ですがw)平和ではないかと思いました。
俺のポアロとか俺の金田一とか、そういう感じで。「あなたはピーター卿で、わたしはハリエットね(by ヴェリティ)」みたいな。
私はあまり古い時代のものとか読んでないのでわからないけど、今回ラストで示したような在り方の探偵助手コンビもいるんじゃないですかね、知らんけど。


さて。

斑目機関の手がかりを求めて、比留子と葉村は超能力者研究所を訪れる。そこで「この2日間で男女2人ずつ、4人死ぬ」という予言を告げられる。唯一の通路である橋を焼かれ、陸の孤島と化した「魔眼の匣」で、偶然居合わせた人々が予言通り死んでいく――という舞台設定。


情報の出し方がすごく犯人当てっぽかった。
駒に属性で目鼻つけてとりあえずのキャラクターにする感じとか、情報の出し方とか、大学生の頃にやっていたのとあまりにも似ていて、読者への挑戦がないのが不思議なくらい。もう少し物語が読みたかったかなと思いました。
こういう書き方だと、情報がでた瞬間に、あ、これ使うんだなとわかってしまうので、後々の伏線回収に驚きにくい。


前作に比べて、パンチ力が弱いなと思いました。
前作はほら、クローズドサークルの状況の異様さがまず魅力的で、そこでなぜ殺人が起きたのかというワイダニットや、語り手自身が○○○だったという驚きやらがおもしろかった記憶があります。

今回は予言がある状況でのクローズドサークルだけど、こういうかたちの予言だったら、こうなるよねという論理をひたすら丁寧にやった印象。
ロジックも着眼点や飛躍がおもしろいというより、そう言われてたらそう思うよねでしかなかったので……。
○○○○を組み合わせていたのは一捻りあったけど、トリックのためのトリックかなぁって思ってしまいました。
時計のあれはちょっと飛躍が大きい印象だった。
パンチ力の強い印象的なシーンも特になく。
強いていえば、犯人の動機について想像すると、残穢のとあるシーンを思い出して楽しかったくらい。
犯人を追い詰める一言もよかった。狂人の論理ですね。
あと、何人かの意図がぶつかって行動を制約された感じとかはおもしろかったです。希望をいえばもっと、予言を恐れて/予言に乗じて動こうとする犯人が多いと好みだったかなと思います。

リーダビリティは思ったより高かったです。さくさくと読み進められた。
前作みたいに、明らかにアレな倫理観の人もいないですし。とはいえ、メタ/リアル感覚がかなり違うなというのは強く感じた。

なんか、この状況だったらもうちょっとこの辺深く掘ったらおもしろそうっていうポイントが違うんですよね。
悪い未来を予言し続ける人が恐れられるのとか、カサンドラの昔からそうだよなぁって思ったのでその辺の心理や経験をもう少し読んでみたかった。
この予言の設定なら絶対男女取り違えとかあるよなーって思ったら、あんな感じだったり。
過去だってもっと何か、と思うものの、シリーズ続けてくにあたってあまり機関に関しても多くは語れないんでしょうね。

あとびっくりしたのは、人が死ぬのが遅い!
残りページ数これだけなのに、まだこれだけしか死んでない……みたいな。
紙の本は残り量がわかりやすいから、こういうリミットある系のものだと、このペア数であとこれだけあってどう収集つけるんだろうって気になります。

また登場人物の覚え方を解説しはじめてて脱力した……。これシリーズ毎回やるってこと?
あまりにいたたまれない気分になる。
こういうところです、ダメなメタ感。

なので今回作中で、子供にヒルコと名をつけるなんて……みたいな話があってちょっとほっとしました。しかし、産まれてすぐではまだ体質が明らかになってないのではという気もし、やっぱり何を思って名づけたんだ……と思います。
そういえば社会学の教授という立場というか役割がすごく便利に扱われていましたね。


ところでサキミが神服を泰子と呼んでいるところがあり、伏線かと思ったけど回収されなかったので単なる誤植かな?

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