- 2025/03/17 [PR]
- 2014/03/10 とびきりのメニューでおもてなし
- 2014/02/17 ニュートラルなモットー
- 2014/02/07 螺旋のように 蠢く果てに
- 2013/12/26 ルッルッルールルラファララララ
- 2013/11/27 『書楼弔堂 破暁』
とびきりのメニューでおもてなし
こんにちは。少し間が空いてしまいました。
この数週間何をしてたか思い出せない……。
あ、東京に行きました。説明会がてら観光して、合羽橋と国際子ども図書館とかQpot cafeに行きました。
国際子ども図書館すごくよかった!あそこ住みたい!近代建築の建物をリノベーションしていて、建物自体もすごく素敵だし、蔵書の多さはもちろんですが、書架の作り方がいいなあと思いました。
住める可能性大きくできるように勉強頑張るよ……。
Qpot cafeはとにかくかわいくて、建物のデコレーションも店員さんの制服もお菓子っぽくて憧れでした。いつか、Qpotのアクセサリー身につけるのが夢。ケーキやマカロンもおいしかったですし。
弟が春から関東に住むことが決まったので、もうちょっと行きやすくなるかなと目論みつつ。今回時間なくてあまりちゃんと見てまわれなかったので、また機会あるしそのときに他のところも行きたいなと思います。
読んだ本。
『すべてがFになる』
好きでも嫌いでもないし、面白かったのかどうかも分らない。なんか感想を言いにくい。ひたすら物語世界と自分との距離が遠くて、淡々としていて、無関心になる。
謎が解決されても驚けなくて、だから驚きによる感情的高揚も感動もなくて、ただ、そうなんだとしか思えない。犯人自体は意外なもののはずなので、たぶん見せ方というか、作者に驚かせてやろうという意識がなかったんじゃないかと思う。
あと、キャラクター小説っぽいてキャラキャラいのにキャラクターにもあまり魅力を感じられなかった。
全体的に、何がしたいのかよく分からない小説だった。
文章の言葉選びやタイトルセンスや、時々あらわれる思想っぽいもの(それも積極的に主張しようとしているわけではないと思うのでますます何がしたかったかよく分からないけど)はおもしろいというか、わりと好きでした。
あと、真賀田博士も犀川先生も西之園さんも、それぞれ天才とか頭がいい人にちゃんと見えるところはすごいと思う。この人は天才です、って書くだけじゃなくて、その思考や行動が頭良さそう。ただ、主要登場人物がみんな頭良さそうなので、そこで会話してる内容が理解できないという……。いや、私が馬鹿なだけなんでしょうけど。コンピュータやプログラミングの専門用語出されてもついていけない。でも読者向けに説明があったら、それもまた違うと思う気もする。
これまでのメフィスト賞作品に挑戦キャンペーンの中では一番つまらなかった。とはいえ、これが一番ちゃんとミステリっぽいけど。といってもまだ三作目なんですけどね、挑戦キャンペーン。
『世界は密室でできている』
読んだ順番間違えたかも?
文庫ではこれが2冊目だけど、ノベルス刊行順は3冊目なんですね。
そんなわけで、なんかよく分からないままに読んだんですが、これは三郎の書いた「ルンババ12」シリーズの一作っていう体の話でいいのかしら。たぶんそうだと思うんだけど確証はない。「三郎」という名前の赤ん坊とか、突然出てくる「奈津川」
の名前とか、ルンババ家の両親の性格とか、あとハーケンクロイツのトリックとかがすごく作者である三郎の存在を感じさせたんだけども。なんていうか、三郎のいる「現実世界」で起こったことを小説として昇華している感じ。
ミステリなのかは分からないけど(たぶん違うとは思うけど)とても楽しいジュブナイルだと思います。それか青春文学。
殺人の動機とかトリックとか、それ使ってやってることとかはすごくしょうもなくて脱力してしまうことなんだけど、実際の人の死ってそんなもんかもしれないとも思う。呆気なく人は死ぬし、そこには特別な意味なんてないのかも。
『首折り男のための協奏曲』
私の好きな「伊坂らしい作品」でした。
首折り男と黒澤さん、それと「時空のゆがみ」、バランス、「神も仏もいやしない」といったキーワードがそれぞれの作品をゆるくつなげていて、その結果初出時点で短編それぞれを読んだときとは別の印象を抱いた。そういう短編集っていいなと思う。特に「僕の舟」は、この夫婦の話だったのかと思った。
あのクワガタ飼ってる作家の人は今までに出てきたっけ。あんまり覚えてない。というか黒澤さんが以前にあった話をしてるそれぞれの場面で、その「以前」の話それぞれは今までに書かれていた話なのかが思い出せなくて気になる。
クワガタの話から、神様の存在に対する感覚がすごく私自身のものとしっくりきてて、読むのが楽しかった。
あとテレビの話の構成がすごくすき。というかそれを成り立たせている文章がうまいなと思うし、作中でチャップリンの映画の話してるのもいいよね。
あと祟りの話はとても好みです。呪いってそういうことだよねとも思いつつ、幽霊の存在が小気味いい。
『Jの神話』
こういう話、成人向けフィクションにありそう。個人的に女性同士の性的な描写が苦手なので何度か投げたくなりましたが。
ネタがあれなのに、その上作者がおっさんくさい。なんか少女や女性性の描写が
気持ち悪い。現実には女性に見向きもされないようなおっさんが書く「(男性の理想に)都合のいい女」って感じがしてしまう。
物語の導入部はわりと好みなんだけどなぁ。外界から隔離された全寮制キリスト教系女子校。美少女ばかりの生徒会。擬似姉妹関係と、どことなく香る百合の雰囲気。生徒会長の死と、友人との確執。そういうのは本当にいいのに、何故こういう展開になるのか。百合は肉体関係がないのがいいのに!(個人的嗜好ですが)
悪魔とか失楽園の蛇とかヒルコとか持ってきたのは、そういう趣向は好きだけど、それが好きだからこそこの話でやるのはやめてくれ、って思った。
あと、ときどき擬音がおもしろかった。
『オリエント急行の殺人』
実は初読。しかし、コナンのミステリーエクスプレスの話でネタバレをくらってたため、あまり楽しめなかった。基本的にはネタバレされてても、倒叙ものみたいに、探偵がどのようにその真相にたどりつくかというところを楽しむことはできると思う。ただ、これはそこのところの説明が分かりにくかった。探偵にはプレゼンテーション能力高い人と低い人がいると思うんだけど、ポアロは後者だろうと思うの。(ちなみに後者には小市民の小鳩くんとかがいて、前者の代表格は京極堂だと思う)
なんというか、その犯人は誰かというところの論理は理解できるけど、それ自体をすごいと思えるものではなかったのです。何か証拠があって、そこに目をつけるとは吃驚!みたいなのでもないし。所与の事実から、どう推理するかというだけで、残念ながら私はそれを楽しむことはできない。あとその前提として乗客たちの過去が明かされるところも、最初の数人はともかく、後の方は結論ありきでカマかけただけに思えて、小説の構成上そちらの方が犯人が明かされるより先だったので、その後も全体的に結論ありきという感じがして納得できないまま話が進んでしまった。でも、首謀者的な人の正体明かすのはドラマチックでいいと思いました。
あと、全体的に地味なんですよね。話が動かないというか、事件起きて証言聞いて所持品検査して推理して解決、というだけの話で。途中に何かドラマがあるわけでもなく。そう考えるとよくある推理もので無意味にヒロイン出てきてラブロマンスするのも意味あるのかと思いました。
そして翻訳があまりよくないやつで読んだのじゃないかと思う。古いからかな。「鉱泉」と約出されてたのはミネラルウォーターだと思うんだ。そういう単語レベルの話は何とでもなるけど、何らかの言語を使えた人や慣用句を知ってたかが限定条件になってたのに、言語はともかく慣用句も意味だけが日本語になってて、推理するにはこの版を日本語で読むのでは無理だろうと思えてしまったので。
『たんぽぽ娘』
とても好みの作品が多かったです。
それぞれの作品が面白いのはそうなんだけど、そのうえ前編通して所謂「管理者」というかより上位の存在が意識されていて、その考えが私自身の世界観と似ているから読んでいてしっくりくる。「管理者」はあの、クワガタの飼い主みたいな存在ですね。
そしてボーイミーツガール物語が素敵。表題作かずば抜けてときめくけど、河の話も切ないし、ジャンヌの弓もハッピーエンドにホッとする。基本的にだいたい全部ハッピーエンドなのがいいですよね。読んでて安心できるというか。先が読める話もそれはそれで予定調和としておもしろく感じるし、途中で落とされてハラハラしても、最後は幸せなおとぎ話の様で安心する。
一方で女性の書き方には何かしらの意図を感じたのだけど。神風とか、スターファインダーとかは特に。女性が強くて男性が虐げられているというか現実の男女の社会的役割がほぼ逆転させられている。この辺はよく分からないんで、スターファインダーの長編読んでみたいなと思う。
そしてSF短編集とは思えないほど文章が詩的で文学的だった。たぶん作者の趣味なんだろうな。作中のいろいろなところで詩や文学作品やその作者のことが言及されていたし。
『河原町ルヴォワール』
面白かった!
四部作中でこれが一番好きです。
物語の構造自体がすごく良くて、作者の仕掛けているトリックが作中でのキャラクターの心情とうまく絡んでいる。「選ばれなかった選択肢」の話かと思いきや、そのネタばらしがされるところがすごくこのシリーズらしかった。
ただその「選ばれなかった選択肢」に入るところの突然のナレーション?のお前誰だよ感は少しいただけなかったですが。いや黄昏卿なんでしょうが、そういうことではなくて、ああいう書き方が個人的に好きじゃないということです。ただその不満を忘れさせるくらいにその仕掛けが楽しかった。
そして、これまでの三作での話もいれながらうまくまとめていたのが最終巻として綺麗だった。けど、前作読んだのだいぶ前で記憶が曖昧になってて少し残念だった。
論語と撫子の物語が素敵な結末を迎えていてそれだけで満足した。双龍会の中でも言われてたけど、ある意味でこれは『丸太町』の再現というか、撫子から見た『丸太町』なんでしょうね。うまく言えないけど。実際の通りがそうであるように河原町は丸太町に戻るんですよね。……でも御所結界なら寺町ではないのかしら。
論語と撫子の裏で、流と達也もなんだかうまくいってるみたいだし、龍樹家のきょうだいの関係も、他のもろもろ合わせてハッピーエンドですごくよかったです。
この世界の話、このキャラクターたちの話をもっと読んでいたい、というのが読み終わって最初に思ったことでした。なんだかんだで好きだったんだろうと思います。円居先生のネーミングセンスわりと好き。元ネタあるのもあるんだろうとは思うけど分からないから。
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この数週間何をしてたか思い出せない……。
あ、東京に行きました。説明会がてら観光して、合羽橋と国際子ども図書館とかQpot cafeに行きました。
国際子ども図書館すごくよかった!あそこ住みたい!近代建築の建物をリノベーションしていて、建物自体もすごく素敵だし、蔵書の多さはもちろんですが、書架の作り方がいいなあと思いました。
住める可能性大きくできるように勉強頑張るよ……。
Qpot cafeはとにかくかわいくて、建物のデコレーションも店員さんの制服もお菓子っぽくて憧れでした。いつか、Qpotのアクセサリー身につけるのが夢。ケーキやマカロンもおいしかったですし。
弟が春から関東に住むことが決まったので、もうちょっと行きやすくなるかなと目論みつつ。今回時間なくてあまりちゃんと見てまわれなかったので、また機会あるしそのときに他のところも行きたいなと思います。
読んだ本。
『すべてがFになる』
好きでも嫌いでもないし、面白かったのかどうかも分らない。なんか感想を言いにくい。ひたすら物語世界と自分との距離が遠くて、淡々としていて、無関心になる。
謎が解決されても驚けなくて、だから驚きによる感情的高揚も感動もなくて、ただ、そうなんだとしか思えない。犯人自体は意外なもののはずなので、たぶん見せ方というか、作者に驚かせてやろうという意識がなかったんじゃないかと思う。
あと、キャラクター小説っぽいてキャラキャラいのにキャラクターにもあまり魅力を感じられなかった。
全体的に、何がしたいのかよく分からない小説だった。
文章の言葉選びやタイトルセンスや、時々あらわれる思想っぽいもの(それも積極的に主張しようとしているわけではないと思うのでますます何がしたかったかよく分からないけど)はおもしろいというか、わりと好きでした。
あと、真賀田博士も犀川先生も西之園さんも、それぞれ天才とか頭がいい人にちゃんと見えるところはすごいと思う。この人は天才です、って書くだけじゃなくて、その思考や行動が頭良さそう。ただ、主要登場人物がみんな頭良さそうなので、そこで会話してる内容が理解できないという……。いや、私が馬鹿なだけなんでしょうけど。コンピュータやプログラミングの専門用語出されてもついていけない。でも読者向けに説明があったら、それもまた違うと思う気もする。
これまでのメフィスト賞作品に挑戦キャンペーンの中では一番つまらなかった。とはいえ、これが一番ちゃんとミステリっぽいけど。といってもまだ三作目なんですけどね、挑戦キャンペーン。
『世界は密室でできている』
読んだ順番間違えたかも?
文庫ではこれが2冊目だけど、ノベルス刊行順は3冊目なんですね。
そんなわけで、なんかよく分からないままに読んだんですが、これは三郎の書いた「ルンババ12」シリーズの一作っていう体の話でいいのかしら。たぶんそうだと思うんだけど確証はない。「三郎」という名前の赤ん坊とか、突然出てくる「奈津川」
の名前とか、ルンババ家の両親の性格とか、あとハーケンクロイツのトリックとかがすごく作者である三郎の存在を感じさせたんだけども。なんていうか、三郎のいる「現実世界」で起こったことを小説として昇華している感じ。
ミステリなのかは分からないけど(たぶん違うとは思うけど)とても楽しいジュブナイルだと思います。それか青春文学。
殺人の動機とかトリックとか、それ使ってやってることとかはすごくしょうもなくて脱力してしまうことなんだけど、実際の人の死ってそんなもんかもしれないとも思う。呆気なく人は死ぬし、そこには特別な意味なんてないのかも。
『首折り男のための協奏曲』
私の好きな「伊坂らしい作品」でした。
首折り男と黒澤さん、それと「時空のゆがみ」、バランス、「神も仏もいやしない」といったキーワードがそれぞれの作品をゆるくつなげていて、その結果初出時点で短編それぞれを読んだときとは別の印象を抱いた。そういう短編集っていいなと思う。特に「僕の舟」は、この夫婦の話だったのかと思った。
あのクワガタ飼ってる作家の人は今までに出てきたっけ。あんまり覚えてない。というか黒澤さんが以前にあった話をしてるそれぞれの場面で、その「以前」の話それぞれは今までに書かれていた話なのかが思い出せなくて気になる。
クワガタの話から、神様の存在に対する感覚がすごく私自身のものとしっくりきてて、読むのが楽しかった。
あとテレビの話の構成がすごくすき。というかそれを成り立たせている文章がうまいなと思うし、作中でチャップリンの映画の話してるのもいいよね。
あと祟りの話はとても好みです。呪いってそういうことだよねとも思いつつ、幽霊の存在が小気味いい。
『Jの神話』
こういう話、成人向けフィクションにありそう。個人的に女性同士の性的な描写が苦手なので何度か投げたくなりましたが。
ネタがあれなのに、その上作者がおっさんくさい。なんか少女や女性性の描写が
気持ち悪い。現実には女性に見向きもされないようなおっさんが書く「(男性の理想に)都合のいい女」って感じがしてしまう。
物語の導入部はわりと好みなんだけどなぁ。外界から隔離された全寮制キリスト教系女子校。美少女ばかりの生徒会。擬似姉妹関係と、どことなく香る百合の雰囲気。生徒会長の死と、友人との確執。そういうのは本当にいいのに、何故こういう展開になるのか。百合は肉体関係がないのがいいのに!(個人的嗜好ですが)
悪魔とか失楽園の蛇とかヒルコとか持ってきたのは、そういう趣向は好きだけど、それが好きだからこそこの話でやるのはやめてくれ、って思った。
あと、ときどき擬音がおもしろかった。
『オリエント急行の殺人』
実は初読。しかし、コナンのミステリーエクスプレスの話でネタバレをくらってたため、あまり楽しめなかった。基本的にはネタバレされてても、倒叙ものみたいに、探偵がどのようにその真相にたどりつくかというところを楽しむことはできると思う。ただ、これはそこのところの説明が分かりにくかった。探偵にはプレゼンテーション能力高い人と低い人がいると思うんだけど、ポアロは後者だろうと思うの。(ちなみに後者には小市民の小鳩くんとかがいて、前者の代表格は京極堂だと思う)
なんというか、その犯人は誰かというところの論理は理解できるけど、それ自体をすごいと思えるものではなかったのです。何か証拠があって、そこに目をつけるとは吃驚!みたいなのでもないし。所与の事実から、どう推理するかというだけで、残念ながら私はそれを楽しむことはできない。あとその前提として乗客たちの過去が明かされるところも、最初の数人はともかく、後の方は結論ありきでカマかけただけに思えて、小説の構成上そちらの方が犯人が明かされるより先だったので、その後も全体的に結論ありきという感じがして納得できないまま話が進んでしまった。でも、首謀者的な人の正体明かすのはドラマチックでいいと思いました。
あと、全体的に地味なんですよね。話が動かないというか、事件起きて証言聞いて所持品検査して推理して解決、というだけの話で。途中に何かドラマがあるわけでもなく。そう考えるとよくある推理もので無意味にヒロイン出てきてラブロマンスするのも意味あるのかと思いました。
そして翻訳があまりよくないやつで読んだのじゃないかと思う。古いからかな。「鉱泉」と約出されてたのはミネラルウォーターだと思うんだ。そういう単語レベルの話は何とでもなるけど、何らかの言語を使えた人や慣用句を知ってたかが限定条件になってたのに、言語はともかく慣用句も意味だけが日本語になってて、推理するにはこの版を日本語で読むのでは無理だろうと思えてしまったので。
『たんぽぽ娘』
とても好みの作品が多かったです。
それぞれの作品が面白いのはそうなんだけど、そのうえ前編通して所謂「管理者」というかより上位の存在が意識されていて、その考えが私自身の世界観と似ているから読んでいてしっくりくる。「管理者」はあの、クワガタの飼い主みたいな存在ですね。
そしてボーイミーツガール物語が素敵。表題作かずば抜けてときめくけど、河の話も切ないし、ジャンヌの弓もハッピーエンドにホッとする。基本的にだいたい全部ハッピーエンドなのがいいですよね。読んでて安心できるというか。先が読める話もそれはそれで予定調和としておもしろく感じるし、途中で落とされてハラハラしても、最後は幸せなおとぎ話の様で安心する。
一方で女性の書き方には何かしらの意図を感じたのだけど。神風とか、スターファインダーとかは特に。女性が強くて男性が虐げられているというか現実の男女の社会的役割がほぼ逆転させられている。この辺はよく分からないんで、スターファインダーの長編読んでみたいなと思う。
そしてSF短編集とは思えないほど文章が詩的で文学的だった。たぶん作者の趣味なんだろうな。作中のいろいろなところで詩や文学作品やその作者のことが言及されていたし。
『河原町ルヴォワール』
面白かった!
四部作中でこれが一番好きです。
物語の構造自体がすごく良くて、作者の仕掛けているトリックが作中でのキャラクターの心情とうまく絡んでいる。「選ばれなかった選択肢」の話かと思いきや、そのネタばらしがされるところがすごくこのシリーズらしかった。
ただその「選ばれなかった選択肢」に入るところの突然のナレーション?のお前誰だよ感は少しいただけなかったですが。いや黄昏卿なんでしょうが、そういうことではなくて、ああいう書き方が個人的に好きじゃないということです。ただその不満を忘れさせるくらいにその仕掛けが楽しかった。
そして、これまでの三作での話もいれながらうまくまとめていたのが最終巻として綺麗だった。けど、前作読んだのだいぶ前で記憶が曖昧になってて少し残念だった。
論語と撫子の物語が素敵な結末を迎えていてそれだけで満足した。双龍会の中でも言われてたけど、ある意味でこれは『丸太町』の再現というか、撫子から見た『丸太町』なんでしょうね。うまく言えないけど。実際の通りがそうであるように河原町は丸太町に戻るんですよね。……でも御所結界なら寺町ではないのかしら。
論語と撫子の裏で、流と達也もなんだかうまくいってるみたいだし、龍樹家のきょうだいの関係も、他のもろもろ合わせてハッピーエンドですごくよかったです。
この世界の話、このキャラクターたちの話をもっと読んでいたい、というのが読み終わって最初に思ったことでした。なんだかんだで好きだったんだろうと思います。円居先生のネーミングセンスわりと好き。元ネタあるのもあるんだろうとは思うけど分からないから。
ニュートラルなモットー
G9 ROCK SHOW@大阪城ホール、見てきました!
前行ったのがG6なので、2年と少しぶりの生ロデオでした。楽しかった。ライブ行くと、相変わらず、好きだなぁ、と思います。飛んで跳ねて腕振って叫んで歌って、エネルギー全部使って楽しめるのがライブのいいところ。
でも席は下手側2階後ろの方で、全体見えるけど細かいとことか見えなくて、少し残念でした。
2年ぶりなので、初めてライブで聞いた曲とかもたくさんあって楽しかった。先週でたばっかりの新曲も、カップリング含めて聞けましたし。物販でCD買ったので、カップリングの方はちゃんと聞いたのこれが初めてだったけど楽しかった。なんか楽しかったばっかり言ってますが(笑)
物販といえば、今回のTシャツ(黒)の柄がすごく好みでした。もちろん買ったのですが。表が紋章っぽくて裏が羽で、中二心くすぐる。でもトートバッグが30分くらい前に売り切れてたの残念だった。すごく並んでたから仕方ないんでしょうけどね。
まあとにかく、スノパレ踊れたし、タオル振り回したし、IGPX叫んだし、一通り楽しめました。そういやまだサマーGT踊ったことないんですよね……。夏場に行ったことないので。あと、扇子回すのも今回なかったから今度したい。
でも今回一番面白かったのは、アンコールのR&R SHOWで、KISHOWが途中退出してたことですね……。お腹壊してたらしくて、今日はMCがずっとその話題だったのですが。1番の途中でのっぴきならない状況になったらしいですね。ストッパ効かなかったんだ……。
GRAN!RODEO!コールしてるときからピアノ準備してて、めっちゃ期待してたのにー。歌うのも楽しかったし、すごく貴重な体験だったとは思うんですが。
ライブって、中毒性あるというか、一度行くとまた行きたくなりますね。ただ、今度のツアーがなぁ……。大阪だと6月中旬で、就職の試験とかぶりそうなんですよね。どうしたものか。
まぁ、その辺りのことはいずれ考えるとして、とにかく楽しかったし、また行きたい。このDVDもほしいな。というか、アンコールがメイキングに使われるらしいって言ってたけど、何のだろう。
読んだ本。
『煙か土か食い物』
何となく苦手なタイプの気がして敬遠してたけど、読んでみたらすごく面白かった。びっくりした。
文体がすごく特徴的で、スピード感と質量を持って迫ってくる感じ。語り手である四郎のキャラに合ってるから受け入れられるんだろうな。地の文もだけど、会話が福井弁で口語体で、でも自然なのがすごかった。
構成とかトリックとかよくわからないですけど、読んでるとなんか全体を俯瞰するというか、文体の影響もあって物語の大きな流れの中で流されてる感じがする。何重にも暗号の込められた事件現場とか、何それってなる。いや、面白いんだけど。解かせるとか推理魅せるよりもやっぱり読者を翻弄して押し流すような方向に思える。
あと、あの絵すごいアウトサイダーアートっぽくてそれっぽかった。
そして、キャラクターが魅力的ですね。そこまで好きじゃないけどこれはこれでアリですね。
最終的にハッピーエンドで救いがあってよかった。それがあったから、すごくいい「家族の話」になってる。途中どんなに殺し合いしてても、家族愛的なものを感じる。
『火蛾』
すごく面白かった!
私の目指したいものはこれだったんだ、と思った。
イスラム教の話。授業で少し聞いたことあるだけで、教義とかあんまりよく知らないのですが、ちゃんと説明があってよかったです。それでも、抽象的な話で、あと何回か読まないと完全には理解できないだろうと思われますが。
この話に出てくるウワイス派が実在したかも、その教派が本当にここに出てくるような教義を持って、こういうことしてたのかも、判別できないのですが、作者の圧倒的なイスラム知識が垣間見えて、信じさせられてしまう。イスラム教は、特に日本ではあまり知られてないであろう宗教ですし。
そういう圧倒的知識の上にあるフィクションって、すごく面白いと思うんです。
あと、その辺りの捉え方とか書き方とか、なんか京極っぽい気がしました。
それよりも何よりも、この話ですごいのは、殺人という形而下の事件が物語の中で起きて、普通にミステリらしい推理をしていても、更に作中で語られていた《物語》が解体されても、物語を覆っている不思議のヴェールが取り去られることがないということだと思うんです。そこが、私がこの小説を読んで一番好きなことかもしれない。『火刑法廷』みたいに、幻想か現実かの二者択一(どちらともとれるけど)ではなく、現実すらも幻想の中にある感じ。舞台が12世紀の中東で、明らかに(読者にとっての)現実とは異なる異国情緒あふれる世界だからかもしれませんが。西南アジアっていいよね。ロマン膨らむ世界です。
あと、言葉に対する考え方がすごいというか考えさせられるというか。人間は言葉でしか理解しえないし、伝えられないけれども、言葉は変質して憎むべき偶像と化してしまう。
それでも、言葉で伝える。その覚悟がいいなぁ、と。作中の導師たちについても、作者についても。
特にイスラム教でこの話するのが興味深い。コーランは確か「言う」という動詞がその名称の由来らしいし、預言や預言者の言行録といった言葉を重視して崇拝する宗教だからね。だからこその偶像崇拝なのでしょうが。
あ、そういえば、この読了本の並びから分かるかもしれませんが、今メフィスト賞作品強化期間してます。個人的に。こないだ数えてみたら、一桁しか読んでなかったのが地味にショックだったので。順番関係なく、とりあえず気になるの読んでみようと思いまして。
『QED〜flumen〜 ホームズの真実』
これで最後と思うとなかなか読めなかったのですが、読んでみて本当にこれが最後なの?と。
奈々ちゃんとタタルさんの結婚は、まぁそのうちどうにかなりそうなので別にここで幕切れでも構わないですけど。小松崎さんがバツイチ子持ち女性とどうにかなるとかの話はどこ行ったの? 他の話とかに載ってるのかしら。気になります。
とりあえず、内容に関して。
ドイルやホームズの両親に関しての話は、もともとそんなに知識もないので、ほうほうと思って読んでました。
言葉にした時点で全部フィクションというのは分からなくもないけど、現実とフィクションが混ざって混乱した。え、ホームズって実在するの?え?
源氏物語とホームズの関連は、なんていうかこの二つが直接関係するんじゃなくて、「紫(ヴァイオレット)」という要素をどちらも持ってるだけですよね。それぞれの話は面白かったけど、帯のアオリから、もっと有機的に繋がるものだと思ってたので、少し予想が外れて残念だった。
そういえば最後に奈々ちゃんが飲んだブルームーンは、「出来ない相談」ってわけじゃないよね? たぶんその意味知ってての、「崇はどんな顔をするだろう」っていういたずらだよね。
『怪盗グリフィン絶体絶命』
純粋にわくわくどきどきする感じで面白かった。ミステリーランドで、こんな素直な作品も出てたんですね。なんかあのレーベルはひねくれた推理作家が、子供向けということであえて毒のある話書いてるイメージで……。そんなに読んでないし、その中でも普段からそんな作風の人も多いけど。
ペンタゴンとかカンパニーとか出てきて、すごく子供心に憧れるスパイ物っぽい。七つ道具とかもあったりして。でも、謎というか土偶の入れ替えトリックの辺りの論理とかはやっぱり法月さんらしい感じで。
あと、法月さんにしては(失礼)文章が読みやすかったですね。子供向け意識してたからかしら。
なんか雰囲気が怪盗ニックみたいだった。たぶん意識してるんだろうとは思うんだけど。合言葉が「ニック・ヴェルベット」だったし。
そういえば参考文献に、幻獣辞典的なものがあったのは怪盗「グリフィン」で「フェニックス」作戦だからなんですかね。何の参考にしたのか謎。面白い。
前行ったのがG6なので、2年と少しぶりの生ロデオでした。楽しかった。ライブ行くと、相変わらず、好きだなぁ、と思います。飛んで跳ねて腕振って叫んで歌って、エネルギー全部使って楽しめるのがライブのいいところ。
でも席は下手側2階後ろの方で、全体見えるけど細かいとことか見えなくて、少し残念でした。
2年ぶりなので、初めてライブで聞いた曲とかもたくさんあって楽しかった。先週でたばっかりの新曲も、カップリング含めて聞けましたし。物販でCD買ったので、カップリングの方はちゃんと聞いたのこれが初めてだったけど楽しかった。なんか楽しかったばっかり言ってますが(笑)
物販といえば、今回のTシャツ(黒)の柄がすごく好みでした。もちろん買ったのですが。表が紋章っぽくて裏が羽で、中二心くすぐる。でもトートバッグが30分くらい前に売り切れてたの残念だった。すごく並んでたから仕方ないんでしょうけどね。
まあとにかく、スノパレ踊れたし、タオル振り回したし、IGPX叫んだし、一通り楽しめました。そういやまだサマーGT踊ったことないんですよね……。夏場に行ったことないので。あと、扇子回すのも今回なかったから今度したい。
でも今回一番面白かったのは、アンコールのR&R SHOWで、KISHOWが途中退出してたことですね……。お腹壊してたらしくて、今日はMCがずっとその話題だったのですが。1番の途中でのっぴきならない状況になったらしいですね。ストッパ効かなかったんだ……。
GRAN!RODEO!コールしてるときからピアノ準備してて、めっちゃ期待してたのにー。歌うのも楽しかったし、すごく貴重な体験だったとは思うんですが。
ライブって、中毒性あるというか、一度行くとまた行きたくなりますね。ただ、今度のツアーがなぁ……。大阪だと6月中旬で、就職の試験とかぶりそうなんですよね。どうしたものか。
まぁ、その辺りのことはいずれ考えるとして、とにかく楽しかったし、また行きたい。このDVDもほしいな。というか、アンコールがメイキングに使われるらしいって言ってたけど、何のだろう。
読んだ本。
『煙か土か食い物』
何となく苦手なタイプの気がして敬遠してたけど、読んでみたらすごく面白かった。びっくりした。
文体がすごく特徴的で、スピード感と質量を持って迫ってくる感じ。語り手である四郎のキャラに合ってるから受け入れられるんだろうな。地の文もだけど、会話が福井弁で口語体で、でも自然なのがすごかった。
構成とかトリックとかよくわからないですけど、読んでるとなんか全体を俯瞰するというか、文体の影響もあって物語の大きな流れの中で流されてる感じがする。何重にも暗号の込められた事件現場とか、何それってなる。いや、面白いんだけど。解かせるとか推理魅せるよりもやっぱり読者を翻弄して押し流すような方向に思える。
あと、あの絵すごいアウトサイダーアートっぽくてそれっぽかった。
そして、キャラクターが魅力的ですね。そこまで好きじゃないけどこれはこれでアリですね。
最終的にハッピーエンドで救いがあってよかった。それがあったから、すごくいい「家族の話」になってる。途中どんなに殺し合いしてても、家族愛的なものを感じる。
『火蛾』
すごく面白かった!
私の目指したいものはこれだったんだ、と思った。
イスラム教の話。授業で少し聞いたことあるだけで、教義とかあんまりよく知らないのですが、ちゃんと説明があってよかったです。それでも、抽象的な話で、あと何回か読まないと完全には理解できないだろうと思われますが。
この話に出てくるウワイス派が実在したかも、その教派が本当にここに出てくるような教義を持って、こういうことしてたのかも、判別できないのですが、作者の圧倒的なイスラム知識が垣間見えて、信じさせられてしまう。イスラム教は、特に日本ではあまり知られてないであろう宗教ですし。
そういう圧倒的知識の上にあるフィクションって、すごく面白いと思うんです。
あと、その辺りの捉え方とか書き方とか、なんか京極っぽい気がしました。
それよりも何よりも、この話ですごいのは、殺人という形而下の事件が物語の中で起きて、普通にミステリらしい推理をしていても、更に作中で語られていた《物語》が解体されても、物語を覆っている不思議のヴェールが取り去られることがないということだと思うんです。そこが、私がこの小説を読んで一番好きなことかもしれない。『火刑法廷』みたいに、幻想か現実かの二者択一(どちらともとれるけど)ではなく、現実すらも幻想の中にある感じ。舞台が12世紀の中東で、明らかに(読者にとっての)現実とは異なる異国情緒あふれる世界だからかもしれませんが。西南アジアっていいよね。ロマン膨らむ世界です。
あと、言葉に対する考え方がすごいというか考えさせられるというか。人間は言葉でしか理解しえないし、伝えられないけれども、言葉は変質して憎むべき偶像と化してしまう。
それでも、言葉で伝える。その覚悟がいいなぁ、と。作中の導師たちについても、作者についても。
特にイスラム教でこの話するのが興味深い。コーランは確か「言う」という動詞がその名称の由来らしいし、預言や預言者の言行録といった言葉を重視して崇拝する宗教だからね。だからこその偶像崇拝なのでしょうが。
あ、そういえば、この読了本の並びから分かるかもしれませんが、今メフィスト賞作品強化期間してます。個人的に。こないだ数えてみたら、一桁しか読んでなかったのが地味にショックだったので。順番関係なく、とりあえず気になるの読んでみようと思いまして。
『QED〜flumen〜 ホームズの真実』
これで最後と思うとなかなか読めなかったのですが、読んでみて本当にこれが最後なの?と。
奈々ちゃんとタタルさんの結婚は、まぁそのうちどうにかなりそうなので別にここで幕切れでも構わないですけど。小松崎さんがバツイチ子持ち女性とどうにかなるとかの話はどこ行ったの? 他の話とかに載ってるのかしら。気になります。
とりあえず、内容に関して。
ドイルやホームズの両親に関しての話は、もともとそんなに知識もないので、ほうほうと思って読んでました。
言葉にした時点で全部フィクションというのは分からなくもないけど、現実とフィクションが混ざって混乱した。え、ホームズって実在するの?え?
源氏物語とホームズの関連は、なんていうかこの二つが直接関係するんじゃなくて、「紫(ヴァイオレット)」という要素をどちらも持ってるだけですよね。それぞれの話は面白かったけど、帯のアオリから、もっと有機的に繋がるものだと思ってたので、少し予想が外れて残念だった。
そういえば最後に奈々ちゃんが飲んだブルームーンは、「出来ない相談」ってわけじゃないよね? たぶんその意味知ってての、「崇はどんな顔をするだろう」っていういたずらだよね。
『怪盗グリフィン絶体絶命』
純粋にわくわくどきどきする感じで面白かった。ミステリーランドで、こんな素直な作品も出てたんですね。なんかあのレーベルはひねくれた推理作家が、子供向けということであえて毒のある話書いてるイメージで……。そんなに読んでないし、その中でも普段からそんな作風の人も多いけど。
ペンタゴンとかカンパニーとか出てきて、すごく子供心に憧れるスパイ物っぽい。七つ道具とかもあったりして。でも、謎というか土偶の入れ替えトリックの辺りの論理とかはやっぱり法月さんらしい感じで。
あと、法月さんにしては(失礼)文章が読みやすかったですね。子供向け意識してたからかしら。
なんか雰囲気が怪盗ニックみたいだった。たぶん意識してるんだろうとは思うんだけど。合言葉が「ニック・ヴェルベット」だったし。
そういえば参考文献に、幻獣辞典的なものがあったのは怪盗「グリフィン」で「フェニックス」作戦だからなんですかね。何の参考にしたのか謎。面白い。
螺旋のように 蠢く果てに
お久しぶりです。睦月です。
いつの間にかあっという間に二月ですね。年々時間の進みが早くなっている気がします。一月はほぼレポートを書いて終わりました。
今年のお正月は、なんと、ついに! 某神社で臨時奉仕をしていたのですよ!
巫女服かわいい。私が着たやつは、襟のところから赤い襟が覗くようになっていて、かわいらしかったです。
お守り授与したり、絵馬授与したり、お屠蘇注いだりしてました。
でも、冬の深夜屋外にいるのは寒いし、眠いですね。寒さと眠さが限界な上に初めての巫女さん体験が嬉しくてなんかテンション何やらおかしくなってました。
友人に誘われたんですが、やっぱりああいう世界ってコネが強いんだろうなーと思いました。
今年はもうちょっとブログ更新したいなと思いつつ、こんなに間が空いてしまってます……。頑張る。感想の言語化大事。
そんなわけで、今年は年末年始に一年のまとめ的な記事アップできなかったんですが、今回去年読んで面白かった本と突っ込み入れたい本でも書いておきます。とりあえず書名と感想一言だけでも列挙しておく。需要あるかは不明ですが。
去年は冊数でいうと3桁いかなかったのですが、なかでも良作をたくさん読めて、幸せでした。自分の中のオールタイムベスト入り確実なのが多かった。
去年読んだ主な本。
『火刑法廷』 雰囲気素敵! こういうミステリ書きたいですね。
『天冥の標』シリーズ たぶんどっかに感想書いたので割愛。続きが気になります。
『スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ』 おとぎ話の換骨奪胎がうまい。前作ではあまり分からなかったけど、今回は三途川のすごさが分かりやすい。
『指輪物語』 素敵な長編ファンタジー。世界観丁寧。後半はつらかったけど、ホビットに癒される。
『犬神家の一族』 横溝おもしろいね!オチの人間ドラマ的なのも好き。
『ユージニア』 金沢小説。構成が好き。
『ハーモニー』 虐殺器官の方が好きかな。でも、これはこれで。いい感じのディストピア。
『江戸川乱歩傑作選』 短編集。人間椅子と鏡地獄好き。ミステリより幻想っぽい短編の方がうまいのでは。
『倒立する塔の殺人』 戦時中の女学校いいよね。雰囲気綺麗。死体の装飾美しい。
『幻の女』 話の入りも謎の提示もすごくうまい! オチはすこし残念だったかも。
『悪魔が来りて笛を吹く』 読んだ中では一番好きな横溝作品。雰囲気と伏線がいい。
『少年十字軍』 絶対不幸な結末になるって分かってるから読んでてつらかった。修道士二人の関係性に萌えた。
『祈りの虚月』 女子校ファンタジー。為書き付きでサインもらった! 高里先生かわいかった。
『ハサミ男』 ミートパイ食べたい。ただ巧いとしか。
『ノックス・マシン』 引き立て役クラブが好き。表題作もSFで楽しかった。
『ブラウン神父の童心』 キッドが16巻で言ってた台詞や木を隠すには森の中とか、いろいろ元ネタ発見した。
『チマチマ記』 料理おいしそう! チマキ・ノリマキかわいい! 鏡さんと桜沢くんがすごい「長野まゆみ男子の恋愛」だった。
『夏への扉』 ピートかわいい。先読めるけど面白かった。タイムパラドックス?とか考えると分からなくなる。
『死神の浮力』 千葉さんおかえり! やっぱり伏線回収いいね。
『ジム・ボタン』シリーズ すごく夢があるファンタジーだなぁ、と。背景や小道具や設定が魅力的。
『リカーシブル』 途中の民俗学的な(?)タマナヒメ伝説の背景を探る部分は好き。
『七人のおば』 他人のゴシップって楽しいよね。
『クラバート』 すごく民話っぽい。親方の存在とか、少し怖いけど、わくわくする。
『願い星、叶い星』 皮肉きいたSFっぽい短編が多くて好きだった。
『占星術殺人事件』 最初の手記の部分が一番好き。御手洗さんと石岡君仲良いですね。
『何者』 就活前に読むもんじゃなかった。「読者が犯人」ものっぽい。そこの構図の転換は巧いが、痛い。
『リバーサイド・チルドレン』 叙述の使い方は綺麗だけど、それはずるいだろう。旅人さんいらなくない?
『人魚姫 探偵グリムの手稿』 あまりに「犯人当て」すぎて、世界観と乖離してる。もうファンタジー書いとけばいいのでは。
『薔薇のマリア』17~19 アジマリ!アジマリ! 次で終わってしまうのが待ち遠しいけど寂しい。
『書楼弔堂』 たぶん感想書いてた。鵼マダー?
『虚無への供物』 雰囲気素敵。告発には考えさせられる。
『明治かげろう俥』 ドラマかと思ったフィクション満載ドキュメンタリーだった、みたいな感じ。好きなタイプの物語ではない。ナレーションのお前誰だよ感がつらい。運命視点とかいいから。
続いて、年明けてから最近読んだ本。
『翼の帰るところ』1~4
異世界ファンタジーで、隠居志望の虚弱主人公(過去が見える能力持ち)が巻を追うごとに苦労を重ね、隠居から遠のき、政変に巻き込まれたり世界を救うことになったりする話。
面白かった。ただ、構成のせいかもしれないけれども、説明が分かりにくいというか、1巻の最初でどういう世界なのかがわからなくて少しもやっとした。今でもあんまりよく分かってない。神とか恩寵とかの辺りは特に。
文化や名前があまり現実世界のものに似せていない感じがして、こういうのもいいなと思った。ちょっとおもしろい感じのこと言おうとしてるときは若干現実・現代っぽい感性が見えるところもあるけど。
それで、ヤエトはいつ皇女とくっつくのかしら。にやにや。明らかに矢印見えてるし、他の登場人物もわかってるのに、本人だけ自覚してなかったりとかよくある状況だけど楽しい。
巻を追うごとに本当にヤエトが重大なことに巻き込まれていくのが面白い。けど、世界を救う話辺りで、正直そこまでするの?ってなってしまった。
続きが楽しみです。西の帝国とか出てくるんですかね。巻数的に無理かな。でも伏線ははってるからな。
『11枚のとらんぷ』
第一部、第三部の舞台裏のどたばたした感じが読んでいて楽しかった。第二部も手品がネタ解説含めて書いてあったけど手品に驚かされて解説で納得し、そしてそれが伏線になっていたという事実にも驚いた。ただ、物語の終わり方が少し納得いかない。人間ドラマ的に。犯人は結局どうしたの?
あと、殺人が起きて少し事情聴取して第一部が終わって、急に作中作が始まって、第三部になったら突然みんな事件がなかったかのように国際手品会議的なのに参加して楽しんでたのに、何故か急に推理が始まって違和感を抱いた。もっと捜査パート的なのがほしかったというか、登場人物が事件気にしてる様子があればよかった。
推理小説でよく手品の話あるけど、そういうのってたいていネタ明かされなくてフラストレーションたまってたんだけど、作中作ではトリックが推理されてるから面白かった。推理小説読んでるときは、少なくとも私は不可思議なことが起きたらそれに対する解説を求めるのだけれども、手品が出てくるとだいたい手品は種明かしをしない主義で、不思議なことをたくさんやって見せびらかしているから、謎に対する解決を求める気持ちと矛盾してもやっとするのです。
『蒼の行方』
再読です。誕生日にもらった。
やっぱりいいね、きゅんきゅんする。言葉選び好き。朝丘先生好き。
『歴史をいかに学ぶか ―ブルクハルトから現代を読む―』
レポート用に。ブルクハルトは先見の明がある歴史家なんですね。警句的文章が多くて好き。「予知された未来などというものは、意味をなさない」とか。かっこいい。彼自身がすごく未来予知的なことを言っているというか、述べていた状況が現代に当てはまっているといわれているんですけど。この言葉いってる人をそういう風に紹介するのって皮肉じゃないのか、とか。
この歴史観に100%賛同はできないけど、まあ進歩史観はもう通用しないし(むしろなぜ通用すると思っていたのか。進歩史観てすごくキリスト教的ですよね)新しい歴史観を個々人が持つべきというのはまぁ分かる。
『公立図書館の玄関に怪獣がいる:ポストモダンの消費資本主義は、どのようにして民主主義、市民教育、公益をおびやかしているか』
これもレポート用。現代アメリカの状況を書いてるんだけど、日本にも当てはまるところ多いよね。人文社会科学各学問の修士は就職難なのにMBAは引く手あまただとかね。正規職員減らして情報化と非正規職員増やして対応してるとかね。
経済学史の難しい話とかあんまりよく分からなかったけど、ソクラテスの話はなるほどと思った。そりゃ、短期的な快楽をもたらすけど後には何も残らないものの方が、一時的には不快だけど長期的にいいものより選ばれやすいよね。
現代の状況とそれに至る思想史メインで、じゃあそれに対してどうすればいいかは書いてなかったのが片手落ちっぽいけど、でもそれって教えてもらうことじゃなくて考えないといけないことだからな。難しいけど。
『古代王権の祭祀と神話』
レポート用。すごく面白かった!
古代祭祀から神話の原型を探り、神話と祭祀から古代王権の人民支配を論じる研究書でした。
古代の支配は全部宗教を媒介としていた、っていうのがすごく私にとっては魅力的な話でした。
あと、イザナギ・イザナミはもとは淡路島の固有の神だった、とか。古代に内乱があって王朝交代してて、それが神武東征でも書かれてる、とか。伊勢神宮の祭神は誰だ、とか。太陽神の話とか。
政治的に宗教をどう利用したか、というのは割と興味ある分野なので、読んでて楽しかったです。
いつの間にかあっという間に二月ですね。年々時間の進みが早くなっている気がします。一月はほぼレポートを書いて終わりました。
今年のお正月は、なんと、ついに! 某神社で臨時奉仕をしていたのですよ!
巫女服かわいい。私が着たやつは、襟のところから赤い襟が覗くようになっていて、かわいらしかったです。
お守り授与したり、絵馬授与したり、お屠蘇注いだりしてました。
でも、冬の深夜屋外にいるのは寒いし、眠いですね。寒さと眠さが限界な上に初めての巫女さん体験が嬉しくてなんかテンション何やらおかしくなってました。
友人に誘われたんですが、やっぱりああいう世界ってコネが強いんだろうなーと思いました。
今年はもうちょっとブログ更新したいなと思いつつ、こんなに間が空いてしまってます……。頑張る。感想の言語化大事。
そんなわけで、今年は年末年始に一年のまとめ的な記事アップできなかったんですが、今回去年読んで面白かった本と突っ込み入れたい本でも書いておきます。とりあえず書名と感想一言だけでも列挙しておく。需要あるかは不明ですが。
去年は冊数でいうと3桁いかなかったのですが、なかでも良作をたくさん読めて、幸せでした。自分の中のオールタイムベスト入り確実なのが多かった。
去年読んだ主な本。
『火刑法廷』 雰囲気素敵! こういうミステリ書きたいですね。
『天冥の標』シリーズ たぶんどっかに感想書いたので割愛。続きが気になります。
『スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ』 おとぎ話の換骨奪胎がうまい。前作ではあまり分からなかったけど、今回は三途川のすごさが分かりやすい。
『指輪物語』 素敵な長編ファンタジー。世界観丁寧。後半はつらかったけど、ホビットに癒される。
『犬神家の一族』 横溝おもしろいね!オチの人間ドラマ的なのも好き。
『ユージニア』 金沢小説。構成が好き。
『ハーモニー』 虐殺器官の方が好きかな。でも、これはこれで。いい感じのディストピア。
『江戸川乱歩傑作選』 短編集。人間椅子と鏡地獄好き。ミステリより幻想っぽい短編の方がうまいのでは。
『倒立する塔の殺人』 戦時中の女学校いいよね。雰囲気綺麗。死体の装飾美しい。
『幻の女』 話の入りも謎の提示もすごくうまい! オチはすこし残念だったかも。
『悪魔が来りて笛を吹く』 読んだ中では一番好きな横溝作品。雰囲気と伏線がいい。
『少年十字軍』 絶対不幸な結末になるって分かってるから読んでてつらかった。修道士二人の関係性に萌えた。
『祈りの虚月』 女子校ファンタジー。為書き付きでサインもらった! 高里先生かわいかった。
『ハサミ男』 ミートパイ食べたい。ただ巧いとしか。
『ノックス・マシン』 引き立て役クラブが好き。表題作もSFで楽しかった。
『ブラウン神父の童心』 キッドが16巻で言ってた台詞や木を隠すには森の中とか、いろいろ元ネタ発見した。
『チマチマ記』 料理おいしそう! チマキ・ノリマキかわいい! 鏡さんと桜沢くんがすごい「長野まゆみ男子の恋愛」だった。
『夏への扉』 ピートかわいい。先読めるけど面白かった。タイムパラドックス?とか考えると分からなくなる。
『死神の浮力』 千葉さんおかえり! やっぱり伏線回収いいね。
『ジム・ボタン』シリーズ すごく夢があるファンタジーだなぁ、と。背景や小道具や設定が魅力的。
『リカーシブル』 途中の民俗学的な(?)タマナヒメ伝説の背景を探る部分は好き。
『七人のおば』 他人のゴシップって楽しいよね。
『クラバート』 すごく民話っぽい。親方の存在とか、少し怖いけど、わくわくする。
『願い星、叶い星』 皮肉きいたSFっぽい短編が多くて好きだった。
『占星術殺人事件』 最初の手記の部分が一番好き。御手洗さんと石岡君仲良いですね。
『何者』 就活前に読むもんじゃなかった。「読者が犯人」ものっぽい。そこの構図の転換は巧いが、痛い。
『リバーサイド・チルドレン』 叙述の使い方は綺麗だけど、それはずるいだろう。旅人さんいらなくない?
『人魚姫 探偵グリムの手稿』 あまりに「犯人当て」すぎて、世界観と乖離してる。もうファンタジー書いとけばいいのでは。
『薔薇のマリア』17~19 アジマリ!アジマリ! 次で終わってしまうのが待ち遠しいけど寂しい。
『書楼弔堂』 たぶん感想書いてた。鵼マダー?
『虚無への供物』 雰囲気素敵。告発には考えさせられる。
『明治かげろう俥』 ドラマかと思ったフィクション満載ドキュメンタリーだった、みたいな感じ。好きなタイプの物語ではない。ナレーションのお前誰だよ感がつらい。運命視点とかいいから。
続いて、年明けてから最近読んだ本。
『翼の帰るところ』1~4
異世界ファンタジーで、隠居志望の虚弱主人公(過去が見える能力持ち)が巻を追うごとに苦労を重ね、隠居から遠のき、政変に巻き込まれたり世界を救うことになったりする話。
面白かった。ただ、構成のせいかもしれないけれども、説明が分かりにくいというか、1巻の最初でどういう世界なのかがわからなくて少しもやっとした。今でもあんまりよく分かってない。神とか恩寵とかの辺りは特に。
文化や名前があまり現実世界のものに似せていない感じがして、こういうのもいいなと思った。ちょっとおもしろい感じのこと言おうとしてるときは若干現実・現代っぽい感性が見えるところもあるけど。
それで、ヤエトはいつ皇女とくっつくのかしら。にやにや。明らかに矢印見えてるし、他の登場人物もわかってるのに、本人だけ自覚してなかったりとかよくある状況だけど楽しい。
巻を追うごとに本当にヤエトが重大なことに巻き込まれていくのが面白い。けど、世界を救う話辺りで、正直そこまでするの?ってなってしまった。
続きが楽しみです。西の帝国とか出てくるんですかね。巻数的に無理かな。でも伏線ははってるからな。
『11枚のとらんぷ』
第一部、第三部の舞台裏のどたばたした感じが読んでいて楽しかった。第二部も手品がネタ解説含めて書いてあったけど手品に驚かされて解説で納得し、そしてそれが伏線になっていたという事実にも驚いた。ただ、物語の終わり方が少し納得いかない。人間ドラマ的に。犯人は結局どうしたの?
あと、殺人が起きて少し事情聴取して第一部が終わって、急に作中作が始まって、第三部になったら突然みんな事件がなかったかのように国際手品会議的なのに参加して楽しんでたのに、何故か急に推理が始まって違和感を抱いた。もっと捜査パート的なのがほしかったというか、登場人物が事件気にしてる様子があればよかった。
推理小説でよく手品の話あるけど、そういうのってたいていネタ明かされなくてフラストレーションたまってたんだけど、作中作ではトリックが推理されてるから面白かった。推理小説読んでるときは、少なくとも私は不可思議なことが起きたらそれに対する解説を求めるのだけれども、手品が出てくるとだいたい手品は種明かしをしない主義で、不思議なことをたくさんやって見せびらかしているから、謎に対する解決を求める気持ちと矛盾してもやっとするのです。
『蒼の行方』
再読です。誕生日にもらった。
やっぱりいいね、きゅんきゅんする。言葉選び好き。朝丘先生好き。
『歴史をいかに学ぶか ―ブルクハルトから現代を読む―』
レポート用に。ブルクハルトは先見の明がある歴史家なんですね。警句的文章が多くて好き。「予知された未来などというものは、意味をなさない」とか。かっこいい。彼自身がすごく未来予知的なことを言っているというか、述べていた状況が現代に当てはまっているといわれているんですけど。この言葉いってる人をそういう風に紹介するのって皮肉じゃないのか、とか。
この歴史観に100%賛同はできないけど、まあ進歩史観はもう通用しないし(むしろなぜ通用すると思っていたのか。進歩史観てすごくキリスト教的ですよね)新しい歴史観を個々人が持つべきというのはまぁ分かる。
『公立図書館の玄関に怪獣がいる:ポストモダンの消費資本主義は、どのようにして民主主義、市民教育、公益をおびやかしているか』
これもレポート用。現代アメリカの状況を書いてるんだけど、日本にも当てはまるところ多いよね。人文社会科学各学問の修士は就職難なのにMBAは引く手あまただとかね。正規職員減らして情報化と非正規職員増やして対応してるとかね。
経済学史の難しい話とかあんまりよく分からなかったけど、ソクラテスの話はなるほどと思った。そりゃ、短期的な快楽をもたらすけど後には何も残らないものの方が、一時的には不快だけど長期的にいいものより選ばれやすいよね。
現代の状況とそれに至る思想史メインで、じゃあそれに対してどうすればいいかは書いてなかったのが片手落ちっぽいけど、でもそれって教えてもらうことじゃなくて考えないといけないことだからな。難しいけど。
『古代王権の祭祀と神話』
レポート用。すごく面白かった!
古代祭祀から神話の原型を探り、神話と祭祀から古代王権の人民支配を論じる研究書でした。
古代の支配は全部宗教を媒介としていた、っていうのがすごく私にとっては魅力的な話でした。
あと、イザナギ・イザナミはもとは淡路島の固有の神だった、とか。古代に内乱があって王朝交代してて、それが神武東征でも書かれてる、とか。伊勢神宮の祭神は誰だ、とか。太陽神の話とか。
政治的に宗教をどう利用したか、というのは割と興味ある分野なので、読んでて楽しかったです。
ルッルッルールルラファララララ
いつの間にか、12月が終わろうとしててびっくりです。
一応近況報告。
8日に合唱団の演奏会があって、それまでは練習ずっとしてて、そこで引退になりました。タイトルは女声で歌った曲の歌詞の一部です。小鳥の鳴き声です。ダールの短編ぽい歌だと思うのです。アポリネールの小鳥が歌うという詩をもとにした歌なんですが。戦争がテーマで、狂気を感じる。好きな歌です。無我夢中だったけど、本番で一番うまく歌えました。自分にとっては最後のステージだったけど心残りはないのでよかった。
それからは反動のように遊んで、ゼミとかの打ち上げに参加して毎日のように飲んで、授業によってはもう終わったりして、テストとかもあって、そんな感じですごしてました。
就活?したくないです。しないといけないはずなんですけど。まだ将来を確定させたくないとか甘えたことを考えてしまう。だって、今ならまだ私は何にでもなれる可能性があるのに、具体的に就職活動始めてしまったら自ら選択肢狭めてしまうみたいで。モラトリアム延長したい。
読んだ本
『凶笑面』
民俗学と本格ミステリ?を組み合わせた話。
民俗学的部分の内容は面白いし、興味深いんだけど、なんかもやっとする。『花の下にて春死なむ』でも思ったけど、文体が少し苦手なのかも。
民俗学的話も、ある特定の地域に伝わる習俗や儀式や宗教ならともかく、最後2話みたいに歴史に関わる話されると、全力で否定したくなる。作中でも否定されてはいましたけど。
あと、蓮杖那智が美人だとかできる研究者だとか賛辞されてるけど、魅力があまり伝わってこない。三国くんが那智先生好きなのは分かるけど、読んでる側にはそこまで魅力的に感じられず、それなのに美辞麗句で表現されててもやっとした。
『虚無への供物』
奇書って初めて読みました。
読んでる間、『天帝のはしたなき果実』が思い出されて少し残念な気分になった。書かれた順番逆なのに、読んだ順番のせいで主客転倒してしまっている気がして。
それはともかく。
厚さの割にすごく綺麗で読みやすい文章で、道具立ても薔薇とか館の装飾とかすごく好みで、とりあえず文章を追うのが楽しかった。目次のページとか、章題見てるだけでときめきました。
ただ、すごく雰囲気があって怪しげな謎が、捜査された途端、味気ない現実になってしまうのが残念だった。そう思うのも罪なのかもしれないけど。
途中の推理合戦のシーンでは、作中の彼らにとって死はフィクションじゃないはずなのに、ノックスの十戒だのヴァン・ダインの二十則だの持ち出してきてたのがすごく違和感あった。その後も推理したがる久生の言動とかにいらっときてたんだけど、それが最後の主張で効いてきていて、うまい構造になっているなと思いました。殊更にミステリっぽいことしてるのもそういう意図だろうと思う。
実際にあった事件を挙げてきたり、当時の世相書いてたりするのも、その主張の持つ効果を高めてるのではないかと。だって、読んでるとき自分のことかとびくっとするだろうし。実際に彼のように「犯人」となった人間がいたのではないかと思われる。
あそこで告発されてたのは当時を生き人々だけど、今日でもあの告発は意味を失わないどころか、むしろもっとそういう社会になっている気がしてならない。Twitterとか2chとかの感じとか。蒼司さんもっと言ってやって。
アンチミステリとか言われてるし、本人もそうあとがきで書いてたけど、私はむしろそういう意味で社会派的なものだと思ったのです。社会派というか、社会のあり方について何らかの主張をしている小説。アンチミステリとか分からないですし。
ところで、某青司と紅次郎の兄弟は氷沼家の二人が名前の元ネタらしいんですが、玄児さんも鴻巣玄次が元ネタなんですかね。こっちでは鴻巣氏は紅司の恋人?ですが。……別にあちらでは青司さんの恋人、とかは言いませんが。
『天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC』
久しぶりの新刊で、前どうなってたかすっかり忘れてしまってたところに、前巻のすぐ後くらいから始まってちょっとびっくりした。前巻の後からハーブCの世界ができるまでの話でした。Ⅰで感じた謎(この世界は何なのか、とか)は解明されたかな。まだ謎は残ってるし、新たに提示されたものもありますが。
今回は中盤辺り読み進めるのがすごくつらかった。だいたい4分の1くらいまで読み進めた辺りで、これがどうにかなってメニーメニーシープになるんだろうと予想されてしまって。そのどうにかなっての部分も悪い展開ばかりで、視点人物であるアイン含めてスカウトも雰囲気悪かったし、一部分読まなくても物語全体には影響なさそうだったので、読まなくてはならないことがつらかった。今まではどんなに悲惨な展開になっても、希望を持てたし、物語全体とどう関わるかというのが気になって読み進められたんだけど。今回はこれでメニーメニーシープできてもⅠで崩壊しつつあるの分かってたから、絶望しかない感じでした。とにかくつらかった。
サンドラが政権とってからようやくひと息つけました。
アインの三角関係というか女性二人の対立に巻き込まれて利用されてるのも、読んでてきつかった。恋愛関係そのものに感情移入してしまって。色恋と政治絡むと大変だね。トライアングラーの歌詞っぽい。味方だけど愛してないとか、守るけど側にいれないとか。そんな感じ。誤解とけてよかったね、って本気で思ったもん。
あと、ハーブCの建国神話が興味深かったです。彼女たちがどうしてそんな騙りをしたのか、が。そういうの好き。
提示された謎について自分で考えてみたのだけど。
セレスの地表が新たな救世群の居留地になっているのではないか、と。カルミアンの船かドロテア・ワットか何かがくっついて、牽引されたことによって地震が起きて重力が生まれたのではないかと。ノイジーラントも確か二つの星がくっついて回ることによって重力生み出してたし。で、電力の供給地もその辺ではないかと。だから地下から、というか反対側の地表から現れたんじゃないかな。それで、メニーメニーシープの存在がバレてしまって、1巻の戦いに至ったのかと。さすがにそんなに単純じゃないかな。
というか、もしかして、1巻での戦いって再び人類の存続をかけた戦い?でも地球からの二人組が来てたから、三百年経って復興してるのかしら。やっぱり疑問残る。
なにはともあれ、8巻が楽しみです。次からはたぶん29世紀のメニーメニーシープでの話の続きでしょうし。
一応近況報告。
8日に合唱団の演奏会があって、それまでは練習ずっとしてて、そこで引退になりました。タイトルは女声で歌った曲の歌詞の一部です。小鳥の鳴き声です。ダールの短編ぽい歌だと思うのです。アポリネールの小鳥が歌うという詩をもとにした歌なんですが。戦争がテーマで、狂気を感じる。好きな歌です。無我夢中だったけど、本番で一番うまく歌えました。自分にとっては最後のステージだったけど心残りはないのでよかった。
それからは反動のように遊んで、ゼミとかの打ち上げに参加して毎日のように飲んで、授業によってはもう終わったりして、テストとかもあって、そんな感じですごしてました。
就活?したくないです。しないといけないはずなんですけど。まだ将来を確定させたくないとか甘えたことを考えてしまう。だって、今ならまだ私は何にでもなれる可能性があるのに、具体的に就職活動始めてしまったら自ら選択肢狭めてしまうみたいで。モラトリアム延長したい。
読んだ本
『凶笑面』
民俗学と本格ミステリ?を組み合わせた話。
民俗学的部分の内容は面白いし、興味深いんだけど、なんかもやっとする。『花の下にて春死なむ』でも思ったけど、文体が少し苦手なのかも。
民俗学的話も、ある特定の地域に伝わる習俗や儀式や宗教ならともかく、最後2話みたいに歴史に関わる話されると、全力で否定したくなる。作中でも否定されてはいましたけど。
あと、蓮杖那智が美人だとかできる研究者だとか賛辞されてるけど、魅力があまり伝わってこない。三国くんが那智先生好きなのは分かるけど、読んでる側にはそこまで魅力的に感じられず、それなのに美辞麗句で表現されててもやっとした。
『虚無への供物』
奇書って初めて読みました。
読んでる間、『天帝のはしたなき果実』が思い出されて少し残念な気分になった。書かれた順番逆なのに、読んだ順番のせいで主客転倒してしまっている気がして。
それはともかく。
厚さの割にすごく綺麗で読みやすい文章で、道具立ても薔薇とか館の装飾とかすごく好みで、とりあえず文章を追うのが楽しかった。目次のページとか、章題見てるだけでときめきました。
ただ、すごく雰囲気があって怪しげな謎が、捜査された途端、味気ない現実になってしまうのが残念だった。そう思うのも罪なのかもしれないけど。
途中の推理合戦のシーンでは、作中の彼らにとって死はフィクションじゃないはずなのに、ノックスの十戒だのヴァン・ダインの二十則だの持ち出してきてたのがすごく違和感あった。その後も推理したがる久生の言動とかにいらっときてたんだけど、それが最後の主張で効いてきていて、うまい構造になっているなと思いました。殊更にミステリっぽいことしてるのもそういう意図だろうと思う。
実際にあった事件を挙げてきたり、当時の世相書いてたりするのも、その主張の持つ効果を高めてるのではないかと。だって、読んでるとき自分のことかとびくっとするだろうし。実際に彼のように「犯人」となった人間がいたのではないかと思われる。
あそこで告発されてたのは当時を生き人々だけど、今日でもあの告発は意味を失わないどころか、むしろもっとそういう社会になっている気がしてならない。Twitterとか2chとかの感じとか。蒼司さんもっと言ってやって。
アンチミステリとか言われてるし、本人もそうあとがきで書いてたけど、私はむしろそういう意味で社会派的なものだと思ったのです。社会派というか、社会のあり方について何らかの主張をしている小説。アンチミステリとか分からないですし。
ところで、某青司と紅次郎の兄弟は氷沼家の二人が名前の元ネタらしいんですが、玄児さんも鴻巣玄次が元ネタなんですかね。こっちでは鴻巣氏は紅司の恋人?ですが。……別にあちらでは青司さんの恋人、とかは言いませんが。
『天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC』
久しぶりの新刊で、前どうなってたかすっかり忘れてしまってたところに、前巻のすぐ後くらいから始まってちょっとびっくりした。前巻の後からハーブCの世界ができるまでの話でした。Ⅰで感じた謎(この世界は何なのか、とか)は解明されたかな。まだ謎は残ってるし、新たに提示されたものもありますが。
今回は中盤辺り読み進めるのがすごくつらかった。だいたい4分の1くらいまで読み進めた辺りで、これがどうにかなってメニーメニーシープになるんだろうと予想されてしまって。そのどうにかなっての部分も悪い展開ばかりで、視点人物であるアイン含めてスカウトも雰囲気悪かったし、一部分読まなくても物語全体には影響なさそうだったので、読まなくてはならないことがつらかった。今まではどんなに悲惨な展開になっても、希望を持てたし、物語全体とどう関わるかというのが気になって読み進められたんだけど。今回はこれでメニーメニーシープできてもⅠで崩壊しつつあるの分かってたから、絶望しかない感じでした。とにかくつらかった。
サンドラが政権とってからようやくひと息つけました。
アインの三角関係というか女性二人の対立に巻き込まれて利用されてるのも、読んでてきつかった。恋愛関係そのものに感情移入してしまって。色恋と政治絡むと大変だね。トライアングラーの歌詞っぽい。味方だけど愛してないとか、守るけど側にいれないとか。そんな感じ。誤解とけてよかったね、って本気で思ったもん。
あと、ハーブCの建国神話が興味深かったです。彼女たちがどうしてそんな騙りをしたのか、が。そういうの好き。
提示された謎について自分で考えてみたのだけど。
セレスの地表が新たな救世群の居留地になっているのではないか、と。カルミアンの船かドロテア・ワットか何かがくっついて、牽引されたことによって地震が起きて重力が生まれたのではないかと。ノイジーラントも確か二つの星がくっついて回ることによって重力生み出してたし。で、電力の供給地もその辺ではないかと。だから地下から、というか反対側の地表から現れたんじゃないかな。それで、メニーメニーシープの存在がバレてしまって、1巻の戦いに至ったのかと。さすがにそんなに単純じゃないかな。
というか、もしかして、1巻での戦いって再び人類の存続をかけた戦い?でも地球からの二人組が来てたから、三百年経って復興してるのかしら。やっぱり疑問残る。
なにはともあれ、8巻が楽しみです。次からはたぶん29世紀のメニーメニーシープでの話の続きでしょうし。
『書楼弔堂 破暁』
読みました。京極新刊。鵺じゃないのか、という恨み言はさておき。
明治20年代の古本屋に、悩める文化人が来て、本を勧めてもらうことで昇華される話かな。巷説と百鬼夜行とリンクしてました。
発売直後ですし、ネタばれになる部分についても語りたいので詳しくは続きから。
あ、そういえばすごく今更ですが、アンドロイド用のブログアプリ入れたんでまたちょくちょくブログ更新するつもりです。今更見てる人いないでしょうが、感想用に。言語化頑張る。
明治20年代の古本屋に、悩める文化人が来て、本を勧めてもらうことで昇華される話かな。巷説と百鬼夜行とリンクしてました。
発売直後ですし、ネタばれになる部分についても語りたいので詳しくは続きから。
あ、そういえばすごく今更ですが、アンドロイド用のブログアプリ入れたんでまたちょくちょくブログ更新するつもりです。今更見てる人いないでしょうが、感想用に。言語化頑張る。
ええと、まず。
実在の人物がたくさん出てくる、しかも作中の古本屋に行ったためにその後の功績があった、みたいなのはずるい。
近代クラスタでもなく、文学苦手な私でも知ってる人達ばかりで……。とりあえず、畠芋之助もとい泉鏡花は読んでみたいですね。
あとあれ。以蔵生きてるとかないわー。ずるいわー。
実際にいた人を、どんな人物像にするかってわりと難しいというか、様々になると思うのですが、これに出てくる明治の人達はすごくそれっぽくて、京極さんすごいなーってなりました。
虚実織り交ぜた(弔堂の言うには本になったら全部虚らしいですが)時代ものは好きなのですが、泉鏡花の小説とか、円了先生の妖怪学とか、巌谷小波の児童文学とかが、この小説に出てくる弔堂での経験によって為されたというのがうまい。後世の知識で書いてるから途中で何とでもできるのだろうし、各編の最後にもあるように結局は何故そういうことをしたのか誰も知らないわけだけど、本当にそうなのかもしれないと思わせられるのは読んでいて楽しいです。
京極さんは背景とか言葉遣いまでしっかりとその時代らしさがあるから、それっぽくなるのがいいですね。勉強になる。
あと不思議巡査!
時代的に巷説の人とか出てくるかなと読む前に知人と話していたのですが、実際出てくると感慨深いです。
妖怪を出すことによって揉め事など解決させていた人達の話を聞いて、それによって功績を立てた人が、妖怪を使ってそれを否定することで蒙を啓こうとした人に師事してるのはおもしろいな、と。
というか円了先生の話で何言ってるのか若干分からなくなったんですけど、そういえばこの時代、妖怪はお化けじゃなかったんですね。円了先生が弔堂の話を聞いた結果、お化けは妖怪になったのか。なかなかおもしろい。
弔堂は未来人なんじゃないかと思った。未来人というか現代人?
作品間リンクといえば、最終話。武蔵晴明社宮司の中禅寺さん出てきましたね。京極堂のお祖父さんかな? その息子がキリスト教神父になったというのがおもしろいですね。曽祖父が咒師で祖父が神職で父が神父で京極堂が憑き物落としというのが、一周まわった感じがする。それぞれ違う立場であってもやってることは同じだったんじゃないかと、洲斎さんの話読んでて思いました。
前情報の段階で、京極堂の祖父が出てくるらしいと中途半端に聞いてたせいで、最後の方まで弔堂がそうなんだと思ってた。古本屋だし。違ったので弔堂と、しほるが何者なのかが気になるところ。
弔堂のキャラクターは、すごく意識的に京極堂と対照的に描いてるんだろうと思われて、おもしろい。
白い着流しで、元僧侶で、慇懃な態度で、笑顔で。
白い着流しと元僧侶なのは、京極堂と対照的というのもだけど、又市と共通するところでもある気がする。確か白装束だったような。まさか……いや、時代的に合わないか。
弔堂の考え、本は墓場で一冊だけあればいいというのは素敵だなと思いました。私も人生を変えるようなそんな一冊に出会いたい。
本を薦めることが本にとっての供養であり、人にとっては救いになる。そして物語構造上は憑物落としなり、又市たちの仕掛けなり、そういった役割を果たす。
「この世に無駄な本はない。人が本を無駄にする」って、すごく本好きの台詞ですよね。「この世には不思議なことなど何もない」と対比させてるのかな。でもこの台詞は「御行奉為」みたいな決め台詞ではなく、その効果を持つのは「どのようなご本をご所望ですか」だろうと思う。そこから、救いに向けての話が始まるわけだし。
毎回同じ構造で、その台詞とか、最後のその後についての文章とか、テンプレート化してるのにマンネリにならないで今回は誰のどんな話だろうと思えるのは量と京極さんの筆力なんだろうな。量というか、連作短編だからかもだけど、今回薄いよね。
構成の話だと、最後に主人公の名前明かされるの、百器っぽいですね。無意味に伏せられてたけど、高遠彬って非実在明治人だよね?
とりあえず新シリーズらしいんで、続きが楽しみです。連載らしいし鵺よりは早く第二巻読めるんじゃないかしら。
次々と明治人出してく連作だから続けやすそうだし。榎木津子爵(先祖)とかも出ないかなー。
実在の人物がたくさん出てくる、しかも作中の古本屋に行ったためにその後の功績があった、みたいなのはずるい。
近代クラスタでもなく、文学苦手な私でも知ってる人達ばかりで……。とりあえず、畠芋之助もとい泉鏡花は読んでみたいですね。
あとあれ。以蔵生きてるとかないわー。ずるいわー。
実際にいた人を、どんな人物像にするかってわりと難しいというか、様々になると思うのですが、これに出てくる明治の人達はすごくそれっぽくて、京極さんすごいなーってなりました。
虚実織り交ぜた(弔堂の言うには本になったら全部虚らしいですが)時代ものは好きなのですが、泉鏡花の小説とか、円了先生の妖怪学とか、巌谷小波の児童文学とかが、この小説に出てくる弔堂での経験によって為されたというのがうまい。後世の知識で書いてるから途中で何とでもできるのだろうし、各編の最後にもあるように結局は何故そういうことをしたのか誰も知らないわけだけど、本当にそうなのかもしれないと思わせられるのは読んでいて楽しいです。
京極さんは背景とか言葉遣いまでしっかりとその時代らしさがあるから、それっぽくなるのがいいですね。勉強になる。
あと不思議巡査!
時代的に巷説の人とか出てくるかなと読む前に知人と話していたのですが、実際出てくると感慨深いです。
妖怪を出すことによって揉め事など解決させていた人達の話を聞いて、それによって功績を立てた人が、妖怪を使ってそれを否定することで蒙を啓こうとした人に師事してるのはおもしろいな、と。
というか円了先生の話で何言ってるのか若干分からなくなったんですけど、そういえばこの時代、妖怪はお化けじゃなかったんですね。円了先生が弔堂の話を聞いた結果、お化けは妖怪になったのか。なかなかおもしろい。
弔堂は未来人なんじゃないかと思った。未来人というか現代人?
作品間リンクといえば、最終話。武蔵晴明社宮司の中禅寺さん出てきましたね。京極堂のお祖父さんかな? その息子がキリスト教神父になったというのがおもしろいですね。曽祖父が咒師で祖父が神職で父が神父で京極堂が憑き物落としというのが、一周まわった感じがする。それぞれ違う立場であってもやってることは同じだったんじゃないかと、洲斎さんの話読んでて思いました。
前情報の段階で、京極堂の祖父が出てくるらしいと中途半端に聞いてたせいで、最後の方まで弔堂がそうなんだと思ってた。古本屋だし。違ったので弔堂と、しほるが何者なのかが気になるところ。
弔堂のキャラクターは、すごく意識的に京極堂と対照的に描いてるんだろうと思われて、おもしろい。
白い着流しで、元僧侶で、慇懃な態度で、笑顔で。
白い着流しと元僧侶なのは、京極堂と対照的というのもだけど、又市と共通するところでもある気がする。確か白装束だったような。まさか……いや、時代的に合わないか。
弔堂の考え、本は墓場で一冊だけあればいいというのは素敵だなと思いました。私も人生を変えるようなそんな一冊に出会いたい。
本を薦めることが本にとっての供養であり、人にとっては救いになる。そして物語構造上は憑物落としなり、又市たちの仕掛けなり、そういった役割を果たす。
「この世に無駄な本はない。人が本を無駄にする」って、すごく本好きの台詞ですよね。「この世には不思議なことなど何もない」と対比させてるのかな。でもこの台詞は「御行奉為」みたいな決め台詞ではなく、その効果を持つのは「どのようなご本をご所望ですか」だろうと思う。そこから、救いに向けての話が始まるわけだし。
毎回同じ構造で、その台詞とか、最後のその後についての文章とか、テンプレート化してるのにマンネリにならないで今回は誰のどんな話だろうと思えるのは量と京極さんの筆力なんだろうな。量というか、連作短編だからかもだけど、今回薄いよね。
構成の話だと、最後に主人公の名前明かされるの、百器っぽいですね。無意味に伏せられてたけど、高遠彬って非実在明治人だよね?
とりあえず新シリーズらしいんで、続きが楽しみです。連載らしいし鵺よりは早く第二巻読めるんじゃないかしら。
次々と明治人出してく連作だから続けやすそうだし。榎木津子爵(先祖)とかも出ないかなー。