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2024/05/19 (Sun)

『書楼弔堂 破暁』

読みました。京極新刊。鵺じゃないのか、という恨み言はさておき。

明治20年代の古本屋に、悩める文化人が来て、本を勧めてもらうことで昇華される話かな。巷説と百鬼夜行とリンクしてました。
発売直後ですし、ネタばれになる部分についても語りたいので詳しくは続きから。

あ、そういえばすごく今更ですが、アンドロイド用のブログアプリ入れたんでまたちょくちょくブログ更新するつもりです。今更見てる人いないでしょうが、感想用に。言語化頑張る。

拍手[1回]

つづきはこちら

ええと、まず。
実在の人物がたくさん出てくる、しかも作中の古本屋に行ったためにその後の功績があった、みたいなのはずるい。
近代クラスタでもなく、文学苦手な私でも知ってる人達ばかりで……。とりあえず、畠芋之助もとい泉鏡花は読んでみたいですね。
あとあれ。以蔵生きてるとかないわー。ずるいわー。
実際にいた人を、どんな人物像にするかってわりと難しいというか、様々になると思うのですが、これに出てくる明治の人達はすごくそれっぽくて、京極さんすごいなーってなりました。
虚実織り交ぜた(弔堂の言うには本になったら全部虚らしいですが)時代ものは好きなのですが、泉鏡花の小説とか、円了先生の妖怪学とか、巌谷小波の児童文学とかが、この小説に出てくる弔堂での経験によって為されたというのがうまい。後世の知識で書いてるから途中で何とでもできるのだろうし、各編の最後にもあるように結局は何故そういうことをしたのか誰も知らないわけだけど、本当にそうなのかもしれないと思わせられるのは読んでいて楽しいです。
京極さんは背景とか言葉遣いまでしっかりとその時代らしさがあるから、それっぽくなるのがいいですね。勉強になる。

あと不思議巡査!
時代的に巷説の人とか出てくるかなと読む前に知人と話していたのですが、実際出てくると感慨深いです。
妖怪を出すことによって揉め事など解決させていた人達の話を聞いて、それによって功績を立てた人が、妖怪を使ってそれを否定することで蒙を啓こうとした人に師事してるのはおもしろいな、と。
というか円了先生の話で何言ってるのか若干分からなくなったんですけど、そういえばこの時代、妖怪はお化けじゃなかったんですね。円了先生が弔堂の話を聞いた結果、お化けは妖怪になったのか。なかなかおもしろい。
弔堂は未来人なんじゃないかと思った。未来人というか現代人?

作品間リンクといえば、最終話。武蔵晴明社宮司の中禅寺さん出てきましたね。京極堂のお祖父さんかな? その息子がキリスト教神父になったというのがおもしろいですね。曽祖父が咒師で祖父が神職で父が神父で京極堂が憑き物落としというのが、一周まわった感じがする。それぞれ違う立場であってもやってることは同じだったんじゃないかと、洲斎さんの話読んでて思いました。

前情報の段階で、京極堂の祖父が出てくるらしいと中途半端に聞いてたせいで、最後の方まで弔堂がそうなんだと思ってた。古本屋だし。違ったので弔堂と、しほるが何者なのかが気になるところ。
弔堂のキャラクターは、すごく意識的に京極堂と対照的に描いてるんだろうと思われて、おもしろい。
白い着流しで、元僧侶で、慇懃な態度で、笑顔で。
白い着流しと元僧侶なのは、京極堂と対照的というのもだけど、又市と共通するところでもある気がする。確か白装束だったような。まさか……いや、時代的に合わないか。

弔堂の考え、本は墓場で一冊だけあればいいというのは素敵だなと思いました。私も人生を変えるようなそんな一冊に出会いたい。
本を薦めることが本にとっての供養であり、人にとっては救いになる。そして物語構造上は憑物落としなり、又市たちの仕掛けなり、そういった役割を果たす。
「この世に無駄な本はない。人が本を無駄にする」って、すごく本好きの台詞ですよね。「この世には不思議なことなど何もない」と対比させてるのかな。でもこの台詞は「御行奉為」みたいな決め台詞ではなく、その効果を持つのは「どのようなご本をご所望ですか」だろうと思う。そこから、救いに向けての話が始まるわけだし。
毎回同じ構造で、その台詞とか、最後のその後についての文章とか、テンプレート化してるのにマンネリにならないで今回は誰のどんな話だろうと思えるのは量と京極さんの筆力なんだろうな。量というか、連作短編だからかもだけど、今回薄いよね。
構成の話だと、最後に主人公の名前明かされるの、百器っぽいですね。無意味に伏せられてたけど、高遠彬って非実在明治人だよね?

とりあえず新シリーズらしいんで、続きが楽しみです。連載らしいし鵺よりは早く第二巻読めるんじゃないかしら。
次々と明治人出してく連作だから続けやすそうだし。榎木津子爵(先祖)とかも出ないかなー。
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2013/11/27 (Wed) 感想 CM(0)
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