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2025/03/16 (Sun)

数学者は書斎に

明けてました。おめでとうございます。
最近は一年がたつのがあっという間で、振り返ることがこわくなります。
今年は少しでも、良い人間になれたら。
という願いを込めての記事タイトルです。

決心はにぶるだろう今年も
しかし去年とちがうだろう
ほんの少し

大学二回生のとき、定演のアンコールで歌った、大切な曲。


そんなわけで、去年のまとめ。
2016年に読んだ本は、再読を入れると123冊、新規で読んだのだけだと94冊でした。
なんでこんなに差が出るかというと、夏~初秋にかけてマリみてを再読していたんですよね。お釈迦様もみてるの未読分を読んだのがきっかけで、気になって、読みたい巻だけでも拾い読みしていたらこんなことに。

ほか、特に印象に残った本たち。
・アドリアン・イングリッシュシリーズ
M/Mという、アメリカで書かれたBL小説。で、ミステリ。どちらかというとサスペンスよりですが。
とにかくおもしろくてはまりました。
心臓に病を抱えたゲイのミステリ作家兼古本屋と、隠れゲイの刑事の話なんですけど、この二人の関係性がとてもめんどくさくて好き。
特に刑事の方が、ゲイなんだけれどもマチズモにとらわれていて、職場に彼女はいるけどSMクラブに通って性欲発散してたりで、そのせいで主人公との関係がこじれにこじれるんですよね。4巻とかほぼお前のせいで起きた事件だよな、って思う。
全5巻のうち、2巻が一番幸せで、3巻4巻は読んでてしんどいというあたり、なんなのって思う。

・『螢』
今まで読んだ麻耶作品で一番おもしろかった。

・『雨の日は神様と相撲を』
グローバル化に直面した神様が、どう生き残っていくかというお話。
ぜひ続編出してほしい。

・『十二人の蒐集家/ティーショップ』
奇妙な味、なのかなぁ?
様々なものを蒐集する十二人の話と、ティーショップで語られる物語。色のイメージが鮮烈で、不思議な世界に迷い込んでしまう感じ。
この作者のほかの作品も読んでみたい。

・『江戸の妖怪革命』
虚実妖怪百物語では呼ぶ子とともに百鬼夜行を呼び出していた香川さんの本。
キャラクターとしての妖怪の話で、興味深かったです。

・『三月のライオン』
アニメから入って、原作マンガも読みました。読み始めたら止まらなくて、気づいたら二周三周していた。
零君が少しずつ、だけど確実に成長していっているのが良いなぁと思います。12巻で、ごく普通に人を頼れるようになっていたところが、感無量でした。
あとバンプの曲はいいですよね……。世代だからかな。

さて。
2017年の読書的目標は「名著を読む」です。
いい年して中二病の名残で、有名な本はなんとなく手を出さずにきてしまっているのですが、今まで敬遠してきた名作を、小説/学術書問わず一冊でも多く読んでいけたらと思います。
「名前だけは聞いたことあるけど……」みたいなのを減らしたい。
あとやっぱり百冊以上は読みたいですね。

それから、昨年は記録をつけるのを一時期さぼっていて集計にちょっと手間取ったし、もしかしたら漏らしているかもしれないので、今年はこまめに読んだ本を記録しよう。
ブログでも、がしがし感想を書いていこうと思います。

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2017/01/04 (Wed) 日々の徒然 CM(0)

『うさぎ強盗には死んでもらう』

先輩のデビュー作なので、読んでみました。
書いていた内容が消えてしまって感想を書く気力が失せたので若干軽めに。

あらすじを公式サイトより引用。
京都左京区のマンション。空き巣に入った泥棒カップルは、痴話ゲンカ真っ最中だった。
その向かいのオフィスビル屋上。青年は潜入した人身売買組織に、殺人を強要されていた。
悪鬼蔓延る上海の外灘地区。最強の殺し屋は、今まさに亡き師匠の敵を追い詰めていた。
そこから1200kmの広東省。田舎町のパブで、かつて少年は23回目のチェックメイトを宣言した。
――伝説の賭博師“うさぎ強盗”が彼らの物語を繋ぐとき、驚愕のエンディングが訪れる! 


正直にいうと、読みながらはじめに抱いた感想は、悔しい!でした。
知り合いが作家デビューするの見るの初めてなので、なんていうか私も頑張らないとみたいな。

そういう風に思うくらいには、おもしろかったです。
特に会話の応酬が読んでて楽しい。
途中から、作者さんの声で再生されてしまって、あっ……ってなったけど(笑)
台詞から構築されるキャラクターも魅力的で。樹里かわいい。
ところで何故うちのサークルの人たちは知り合いの名前を使うんだろう。

殺し屋や裏社会の設定(キャラクターではなく設定)が伊坂の殺し屋さんたちっぽいなと思ったり。グラスホッパーとかマリアビートルとかあの辺の。
名前のつけ方とかね。
椿は実は桃って名前で情報屋やってない?
カクヨム版を先に読んでいた知人によると、「伊坂と西尾と成田良悟を足して4で割った感じ」らしいので、私はその中では伊坂しかよく知らないからその要素だけがクローズアップされて見えたんだろうと思うのですが。

群像劇的な話運びで、現在と過去の話が交互に書かれるので、ミステリーと銘打たれてもいるし読者としては当然入れ替わりを疑う。殺し屋は通名だし、うさぎ強盗も本名ではないので、そうなると同じ名前だけど中身は別の人とか、同一人物が別の名前で呼ばれているとか、よくあるパターンですよね。
実際に読み進めていくと、“うさぎ強盗”は何か、“黒崎雅也”とは何者か、という問いが読者の目の前に提示される。
読んでいるうちに見え方が二転三転していくんですが、おもしろいけどそこがどうにも分かりにくい。
驚きと納得が同時にはやって来ないというか、まず驚いて、それから考えて納得させて、でも考えたことが正しいかどうかよく分からなくて若干もやっとしました。
分かりにくいのは細切れに読んでいたからかもしれない。
うさぎ強盗や他のキャラクターの行動の理由もあまりよくわからなかったです。そもそもどうして、というところが。読み飛ばしてたのかも。
エピローグでの伏線回収は好きでした。


あと装幀とデザインが好きです。扉絵がスタイリッシュで素敵だし、Web情報の見せ方が興味深い。
メッセージは吹き出し位置が送り手と受け手で異なる方がそれっぽいかもなと思ったけど。
もとが横書きのWeb小説だからこういう発想があるのかなとも思ったり。書くことって媒体によって左右されるのではないかと思っている。

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『異端審問ラボ 魔女の事件簿3』

私は高里椎奈さんの作品が大好きです。
知ってる人は知ってるだろうけど、かつて薬屋の二次創作サイトをやっていたぐらいには(今は倉庫化してる……)
すごく好きで特別なのは薬屋だけど、それ以外も好き。とはいえ作品全部読めてるわけじゃなくて、迷子と雰囲気探偵と少年少女小説家は積んでる……。

なんでこういう話から始めたかというと、好きだけど全肯定しているわけじゃない、という話をこれからするので、前提の言い訳です。
大好きなんですけど、高里作品には大きな弱点がふたつあると思っていて、
ひとつは、文章の繋がりが分かりにくいこと。
これは文章が下手というよりも、飛躍が多いということです。そこを「どうしてこういう結論になるんだろう」とか「なんでこの人はこう言ったのか」とか考えるから、より作品世界に惹かれていくという長所にもなりうると私は思っているんだけれども、何が起こっているか分かりにくい点もある。
で、もうひとつは、スロースタートだということ。
飛躍が多いということとも関連するんだけど、一冊のなかでも、大きな話、一見関係ない話題から始まって作中の身近な物事に収束していくという書き方が時折ある。
そして、シリーズのなかでも、おもしろくなってくるのは3冊目ぐらいからだなという印象がある。
あ、もちろん例外もあって、フェンネルは1冊目がすごくシリーズ1作目としても掴みが良かったですし、シリーズでなく単品としてもおもしろかった。

特に、文庫書き下ろしのいわゆるキャラクター文芸(要はタイガと角川文庫)では1冊あたりのページ数が少ないので、より飛躍も大きくなるし、その中でやることが多い(世界観説明、キャラクター紹介、各話の事件と全体を貫く物語、伝えたいテーマなど)ので、最初の1冊2冊くらいは本っ当に何をしたいのか分かりにくい。……これは私の読解力の問題かもしれないですが。
薬屋探偵シリーズのどこかで出てきた、三つめのパンの話が高里先生の作品自体にも当てはまると思っている。
おもしろいのは3冊目だけど、それまでの2冊で丁寧に伏線を積み重ねてきてるからなんだろうなって。

ファン層や、キャラクターや、物語的にはキャラクター文芸の文庫ものは合っているようで、書き方としてはジャンルとの親和性が微妙なのではないかと私は思ってます。
商業的にはどうやっておもしろくなるところまで読み続けてもらうかなんだろうなと思うけど、それはファンが考えてどうにかなることではないからね。
いちファンとしては読む人がたくさんいて、作品が出続けてくれたら、と願っています。


前置きがだいぶ長くなってしまいました。

異端審問ラボも、3冊目のこの本がめっっっちゃおもしろかったです!!!

2巻までの時点では正直なところ、まだ始まったばかりでキャラクターに思い入れもないし、世界観は好みだけどだったらもっとSFっぽい方が好きだし、各話の事件が物語と乖離してるという印象でした。
が、全てはこの1冊のためにあったんだ、という感じで、3巻は最初の1ページから終わりまでずっとおもしろかったです。

ネタばれするので続きから。

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つづきはこちら



まず、過去話が入ってくるのがいいですよね。
千鳥鶫鳶の出会いもだし、千鳥の過去も。
それだってキャラクターの性格が一致してからだからおもしろいんだろうなぁ。
千鳥の過去は、そこで出会っていた人たちが今はそれぞれ違う立場で対峙する(だろうという予測と実際に読み進めてそうなるところ)がとてもいいです。ラストでまた3人並んで笑えたのも、ベタだけど嬉しい気持ちになった。
白鷺が協会を設立したのも、あの事件が原因なんだろうけど、あれからどういう人生送ってきたのか気になります。

あとようやく世界の謎が解けたのがすごくおもしろかった。
すごく歪な世界が、どうしてそうなのか。
ハーブCだった……。
いや、ハーブCではないんですけど。むしろ逆か。
でも子孫のため希望のために物語を残していることとか、時を経てそれが真実と信じられる辺り似てるかな、と。感染症の話でもあるし。
実は半信半疑だったんですよね。明らかにこの世界おかしいけど、その謎は明確に解けるのか、って。ドルチェみたいに、分かったようで細かいところは不透明なままになってしまうんじゃないか、って。
いや、うん。みんな鳥の名前なのも何か理由があるんじゃないかとか深読みしてたけど、それは別に単に鳥の名前ってだけなんだろうなー。フェンネルでみんな植物だったような感じで。

ある設定が(あるいは物語の展開が)、ちゃんと作品世界のなかで理由があってのそれなのか、物語上の理由はないけど作者のこだわりなのか、単なるご都合主義なのか、の弁別が最近若干気になっている。
だからそういうことを深読みしちゃったりなんかしてたわけなのですが。

ディストピアものとしては、これから「政府」と闘う展開になると熱いですよね。
大まかな物語としてはそうなっても、要所要所で斜め上をついてくれることを期待してます。
っていうか、このシリーズ続く……よね?


「食事」がなくても、味覚や、甘い/苦いみたいな語彙は残るんだなぁ、というのが興味深かった。

ところで私は化学苦手なので、どうして希硫酸と水酸化ナトリウムでゼリーが作れるか分からない……。
「水生植物」ってテングサじゃなくて昆布だったよね??
その作り方が書いてあったならそれは本当に料理本なの?という疑惑があります。いわゆるレシピ本ではなさそう。むしろ子供向けでときどきある、料理プラス科学実験的な本のイメージです。
そういう本なら、今後「万能の種」を発酵させていろいろ作りそう……と思ったけどもしかしてこの世界には発酵させるための菌とか酵母とかいないのか。
一方で『巨人』はすごく料理っぽいからなぁ。

『巨人』ってよくある勘違いネタではあるけども、料理かどうか分からない時点で読んでいると鳶が危うい感じなのもあってハラハラした。
っていうか鳶!
あながち冤罪でもない辺り本当にどきどきしたし、引き戻せたシーンは安心した。

あともう、疾鷹さんかっこいい!
過去も現在もおしなべてかっこいいのすごい……。
千鳥が憧れたのも分かるわー。
251ページがすごく好きです。

涼芽さんもいい。ツンデレかわいい。カレー好きそう(笑)


それから、読後感が爽やかなのも好きです。
1巻と状況は変わっていないのかもしれない。千鳥は転職できず、栄養科学研究所でガムを作ったりシマエナガを改造したりしているままで。
それでも、人間関係は変わったし、心持ちが変わったから、同じことをしていても前向きになれているのがとても良い。


結局、「魔女」ってなんだったんだろう。タイトルになっているわりに、いまいちよく分かってないです。
そもそも作中で魔女ってワードそんなにクローズアップされてないような気がする。読み飛ばしてるのかしら。

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『最後の晩ごはん 黒猫と揚げたてドーナツ』

このシリーズ好きなんですけれども、なかなか感想を表しにくい。
表に出せないような感想を抱いているというわけではなくて、シリーズのどの巻を読んでも、おいしそうとか、みんないい人だなとか、いい話だったとか、そういうことばっかりになってしまうんですよね。
良くも悪くも、私の中で評価が安定しているというか。
それなりに楽しめて、読みやすくて、不快にもならなくて、ところどころの台詞が胸に響いて、けれどもたとえば泣きたくなるほどぐさっとえぐってはこない、みたいな立ち位置にいます。いまのところは。


今回は初の社員旅行の話でしたね。帯を見て笑いました。
さらに読み始めてたらロイドが突然「そうだ、京都、行こう」とか言い始めるし。
先月行ったばかりだけど京都行きたい。そして貴船の川床でご飯食べたい。
ヒロタのシュークリームも、松露の卵焼きも、あとはそぼろご飯とかニラ雑炊とかロールキャベツとかオムレツのサンドイッチとか、もちろんドーナツも、出てくるもの全部食べたくなる。どうしたらこんなにおいしそうに書けるんだろう。実際に食べたり作ったりしてはるものだからなんだろうけど。

人間以外の幽霊っていうのも新パターンでおもしろかったです。いや、マフラーとかはあったけど、あれもマフラーを作った人なのでまた違うかな、と。
淡海先生の猫ちゃんに対する呼びかけが、読んでいても猫なで声を感じた。

ロイドのひとりでできるもん(違う)は読んでいてとても楽しかった。
普段は視点じゃない人……もとい、眼鏡の一人称視点の話を読むのが好きです。
ナチュラルに自信家で上から目線で少しとぼけた風情があっておもしろい。
コールスローにはフライドチキンかー。ケンタッキー久しぶりに食べたくなる。


序盤から夏神さんが死亡フラグっぽいこと言うので若干不安になったけれども、本人のなかでも消化していたし。海里もそれに応えていて、エピローグでの台詞とにはなんというかあたたかいものを感じました。良かったね、と思う。
あと今までの話がちゃんと積み重なってきている気がしたので、そういうところも好きでした。一応各巻完結だし、レギュラーキャラが増えるぐらいの繋がりしかないのかしらと思っていたけれども、海里とお兄さんの関係性とかもちょっとずつ変わっていっていて。
椹野さんの書かれるキャラクターは設定だけではなくて生きているひとだと感じられるので、物語が進めばちょっとずつ変わっていって、成長したなら人ととの関係性が変わるのも当たり前ではあるのだけれども。
でも、シリーズが終わることもあるのだよなということを考えてしまうと寂しくなりますね。
ただ一番寂しいのは、終わりもせず続きも出ずに止まったままになってしまうことなので、このシリーズは、出ている間は買っていきたい。
そしていつか奇談シリーズも続きが読めるといいなぁ。

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『ツバメ号とアマゾン号』

先月から、月一くらいのペースで同居人と二人読書会をやり始めました。
どちらも本を読むとはいえ趣味は違うし、同じ本読んでもタイミングがずれてると内容忘れてたりでするので、同じくらいの時期に同じ本読んで感想を語ろう、と。
で、これが二回目の課題本でした。
ちなみに初回は私が選んで『ドルチェ・ヴィスタ』三部作。頑張って人物相関図とかつくりました。

というわけで、『ツバメ号とアマゾン号」。
1930年ごろのイングランド湖水地方が舞台で、夏の休暇に4人きょうだいが子供たちだけで無人島でキャンプをしたり、帆船で湖を探検したりするお話。

この子供たちが想像力豊かで「ごっこ遊び」がすぐに始まるので、正直なところ、最初は掴みにくくて読みづらかったです。冒頭できょうだいのうち4番目のロジャが帆船になって野原をタッキングしていくんだけど、その時点でもう何が起こってるのかわからなくて……。
あと帆船の知識も特にないから、ヨットを操縦しているシーンも何をしてるかわからなかった。
でも、読み進めていくうちに小さな冒険に心躍ってすごく楽しかった。

特に、人物造型がすごく好きです。
4きょうだいは上から、ジョン、スーザン、ティティ、ロジャという名前なんですが、それぞれのキャラクターが地に足がついている感じというか、もちろん性格がそれぞれ違うんだけれども、それはきょうだいのうちのその順番で育ってきたからなんだろうなって感じが好き。
たとえば長男のジョンはこの本の冒険では船長をやっていて、責任感が強いし、長女のスーザンはほかのみんなの食事や健康に気を配っていて、ときどき「ごっこ遊び」の設定を忘れてしまう。ある意味テンプレート的なのかもしれないけど、物語や文章の中でそういうあり方が自然に感じられる。
それは4人だけじゃなくて、もう一つの船アマゾン号の乗組員のナンシイとペギイも同じで。
あらしの夜に一つのテントに入って、それぞれが考えていることが順番に描写されるシーンがあるのだけれども、そのシーンが一番そういうところがわかりやすいと思うし、好き。
ちなみに私はティティが好きです。ロビンソンクルーソーの章がとても良かった。一番空想的で「ごっこ遊び」に執着している彼女が実際に近くにいたらちょっとうざったいかもしれないけれども。そういうところがなんとなく、子供時代の自分も思い出される感じです。

あと4人とも超良い子だしめちゃくちゃ有能。
すぐ対岸にお母さんがいてちょくちょく様子を見に来てくれたり、毎朝近くの牧場から牛乳をもらってたりするので、完全に絶海の孤島というわけではないのだけれども、子供だけで何日も無人島でキャンプができるのがまずすごいなと思います。暗夜に船を動かしたり……は叱られてたけど、「ノロマ」ではなかったのが偉い。
それと、途中でジョンが濡れ衣を着せられるというか相手の勘違いで一方的に罵られるシーンがあるのですが、そこで島の周りを泳ぐことで気持ちを落ち着けようとする辺りがなんかちゃんとしている子なんだろうなって。

この4きょうだいだったら、魔女にそそのかされてもプリン食べないんじゃないだろうかとぼんやり思ったり。あーでもロジャは単に深く考えずおいしそうだからって食べそうな気もする。(ところであれはプリンだと私は信じています)

子供たちだけじゃなくて大人たちもいい人で、お母さんとかも子供たちの「ごっこ遊び」に自然に付き合ってくれてるんですよね。上から目線でもなくて。「こんにちは、フライデイ」って挨拶したら「こんにちは、ロビンソン・クルーソー」ってごく普通に返事してくれるような。こういう大人っていいですよね。
この辺のごっこ遊びの話は上橋菜穂子さんが解説に書いていて、なるほどって思いました。

子供たちは南米に上陸した探検家なので、自分たち以外は「原住民」なのですが、「原住民的」というのが現実的とか(遊びをわかってくれない)大人とかそういう意味も含んでいて、そこが興味深いなって思う。
あと別に「未開人」も出てくるんだけど、そのニュアンスの使い分けというか当時のイギリスの子供はそれらの言葉をどう思って使っていたんだろうみたいなのが気になる。

もっと子供の頃に読んでいたら、作中の彼らみたいな冒険をしてみたくなっていただろうな。

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