アニメを楽しんで見てます。
原作は別に読む気はなかったんですけど、図書館で見かけて1巻を読んでみて、そしたらまんまと6巻まで一気読みしちゃいました。
おもしろい。続きが気になるー!
榎田ユウリさんは昔から名前は知ってるんだけど、ちゃんと読んだことはないかも……
と思っていたけど、念のため既刊調べてみたら読んだことある作品ありました。
ヴァムピール・アリトスってこの人だったのか!
わー、懐かしい……
さて、アニメから入ったわけですが、やっぱり歌舞伎の舞台の部分はアニメで見た方が分かりやすくていいなって思いました。
衣装や動き、見得のかたちなんかは、文章で書いてあってもすぐにはイメージできないので映像で見た方がいいし、台詞回しも文字で読むよりも実際に抑揚がある方が聞いてて心地良い。なんていうか、歌舞伎の台詞って耳で聞く言葉として作られてるんだなって思いました。……舞台で演じる台詞だからってのもそうなんだけど、近代以前は黙読じゃなくて音読が基本みたいな話を聞いたことがあるのも関係あるのかもと思ったり。
一方で、それでも歌舞伎の台詞は江戸時代っぽいし語彙も難しいので、耳で聞くだけだと漢字に変換できないのもあった。だからその部分は小説で読んだ方が意味を理解できる。
変換できないっていえば、イオフィエルは「エ」じゃなくて音引き(ー)だと思ってました。ので地味にびっくり。
……まとめると、字幕付きでアニメを見るのが一番いいのかもしれない。
芝居以外の部分は文章の方が心情とかに言葉を費やせるので、その点は小説に軍配が上がるかな。
まあどっちが勝ちってわけでもなく、それぞれに良さがあるのですけど。
普段は不思議とアニメより小説の方が情報量が多い気がしてしまうんだけど、この作品は情報量の多さがそれぞれ別々のところにある感じがしました。
アニメは3巻ぐらいまでやるのかなー。今週やってたところが3巻の中盤ぐらいだったし。白浪五人男をアニメで見れるのを楽しみにしてます。
毛抜の、芳先輩も見たいんだけど、っていうかそれは小説でもまだ見れてないので、あの、早く続きが読みたいです。本当に。
ええと、小説の話に戻りますね。
アニメでやったところまではアニメで見たのを思い出しつつ、なるほどあのシーンではこう思ってたんだとか、クロの地の文を別のキャラが言ってたりとか、ハバネロアイスはアニメのオリジナルなんだとか、ちまちまとそういう発見がありつつ復習ぐらいの気分で読んでいたわけなのですが。
なんていうか、ストレスがなくて、どんどん話が展開していくし、さくさく読めて楽しい作品でした。3巻までは。
おやつ気分というか、ああライトノベルだなって。悪い意味ではなく。予定調和だってそれはそれでストレスフリーなんです。読んでてしんどくないのを欲するのは私が年をとったせいかもしれないけど。
うん。でも、4巻がめちゃくちゃしんどくて。
5巻、6巻になっても表面上にはそこまで出てこないものの、その問題は解決しないままでしんどいのは続いていて。
でもしんどいのは主人公たちに困難があるからで、物語を作るうえで苦難を乗り越えていくのはよくある展開で、3巻までだってトラブルはあったんだし。
大きく違うのは明確な悪意が介在することで、それがとてもしんどかったんです。
これは完全に私の個人的な傾向なんですけど、冤罪とか、嘘を吐いて人を陥れるのとかがどうしても苦手なんです。
だから渡子ちゃんがもう無理。
とはいえ、クロに絆されて改心してしまうのはなんか違うなと思うので、クロのことが嫌いで悪人ぶったままでいいから、嫌がらせはしないようになってほしいなと思ってます。
あとすごく思ったのは、キャラクターがいかにもよくあるキャラクター類型らしいんだけど、それだけじゃないのが良かったです。
その上で、「誰にだっていろいろある」というのをさらっと描写しているのがなおさら。
主人公のクロだって、私もこういううざいぐらいの熱意がある主人公キャラはそこまで好きではないんだけれども、たとえば家族構成とか過去とかがあるからこういう性格になったんだってのが読んでいると伝わってくるので、だから応援できる。それは同情かもしれないけど。
家庭の事情があるのは阿久津や、渡子ちゃんも同じで。
苦い過去がある人もいるし。
自分の立場や周囲からの目と、やりたいことの狭間で葛藤する人たちもいるし。
みんなそれなりに何か悩みを抱えていて、でもそれを殊更に深刻には書かないし、キャラクターが可哀そうぶったりもあまりしないのがなんだか良かったです。
いや、阿久津は可哀そうぶってたか。うん。
数馬や梨里先輩は、根源的な悩みが書かれてないけど、それでも悩んでないことはないんだろうなって思いました。
思春期って、自分が世界で一番不幸と思うことってあるじゃないですか。
この作品は、「誰にだっていろいろある」からといって、一つ一つの悩みが小さいことはないし、でも悩んでいるのが自分一人だけじゃないってことがシンプルに伝わってくるのが好きです。
キャラクターといえば、芳先輩や花満先輩のジェンダー的設定は、女役も男性が演じる歌舞伎を題材にしているからこそなんだろうなって。
安易なオカマキャラとかは好きじゃないんだけど、環境も物語上の要請もそうなるよねって納得があった。
芳先輩も、王子様を期待されたくないのも女役をしたいのも普通の女の子に戻りたいのも読んでいてけっこう胸に来たんですけど、まさかそこにフラグが立つとは思いませんでした。
好きなキャラは蛯原くんと唐臼くんです。
6巻で蛯原くんがクロと台詞の相談とかしてたところは、もう本当に、楽しかったです。三歩進んで二歩戻るくらいのツンデレぶりですけど、そこが良い。
部活に入ることはないのだろうし、完全にデレないでいいけど、一歩戻るぐらいになると楽しい。
うんやっぱり、周りの人みんなが主人公の熱意にほだされるみたいな話はあまりにも都合がよすぎる気がするので、いくらストレスなくなろうとも求めてないんですよね。
だって現実だってどうしても嫌いな人は嫌いだし。
それでも良い距離感を模索するものではないのか。みたいな。
あとちょっと気になったのは、歌舞伎の台詞とかでフォントを変えてるのが……。
これも個人的な好みだけど、台詞の性質とかをフォントを変えることで表現するのは、あんまり好きじゃないです。
どうでもいいところなんですけど、現代の高校生っていう設定だと、小さい頃にごっこ遊びしてたのはプリキュアになるんですね……。
地味にジェネレーションギャップが痛いです。
そうだよなあ、始まったの最近な気がしてたけど10年は経ってるんだもんね。
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