ハードボイルドを読んでみようというのが今年の裏テーマだったわけなんですけど、最後に超有名作を。
とにかく文章がおしゃれだった。
なんだろう、冬の星空とか夜明けの街みたいな、ざわめきを背後に隠している静謐さ、硬質な感じの印象でした。
一行目からおしゃれさがばーんと迫ってきて、その文章を味わっているだけでも楽しかった。
あの有名な言葉はここに出てくるのか〜。
タフ云々の台詞はこれじゃないんですね、どの作品なんだろう?
ただ、文章はすごくおしゃれなんだけど、咀嚼するのがどうにも難しかったです。
特に会話が、何を意図している言葉なのかが全然分からなくて。おしゃれな禅問答を読んでいるような気分になってつらかった。
っていう感じのことを『初秋』読んだときにも思ったので、アメリカのハードボイルドは合わないんじゃないかなと思ってしまう。
アメリカの司法警察制度や、当時の価値観やなんかを知らないので、慣れの問題なのかもしれないと思うんですけど。
価値観は本当に意味わからなくて、酒場で会って何度か一緒に飲んだだけで友達としてそこまでするの?っていうのに引っかかってしまってですね……。
友情と言われましても、みたいな気分になり。前提からついていけないとちょっとあれじゃないですか。
そしてマーロウ含む登場人物の性規範!
アメリカでは不倫は罪じゃないんですか?
刷り込みみたいなものだと思うんだけど、私の中でどうしても「ハードボイルド」のイメージは原寮なんですよね。影響関係が逆なのは理解してるんですけど、そのジャンルで初めて読んでとても好きな作品なので。
それで、探偵を比べたときに沢崎の方がかっこいいなと思ってしまう。
マーロウが女好きなところが、"タフ"ではない感じがしたんです。
事件解決能力も想像してたより高くないなって思ってしまって。
台詞の意図が分からないために、マーロウがどういう方針で動きたいのかも分からなかったのが、事件解決能力が高くないように思えた要因かもしれない。
レノックスが犯人じゃないと信じているし、各方面からの圧力には抵抗しようとしているわりに、実際真相を捜査する気配もなく。ウェイドの方も似たような感じで。
すべてを知った上で隠しているという雰囲気でもなかったですし。
捜査するのか事件解決するのか、信用しきれなかったんですよね、最後まで。
事件も、容疑者になりうる人がどうしても少ないから証拠はないけどどう考えてもこの人怪しいでしょうってのが犯人だったので、なんとなく微妙さが残る。
とはいえ、最後にメキシコ人と会うシーンは感無量でした。
物語としてとても熱かった。
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