42ってこの本だったんですね。生命、宇宙、その他もろもろの答え。
宇宙バイパス建造のため地球が破壊されてしまい、運良く生き残った地球人アーサー・デントはたまたま地球に来ていた宇宙人とともに、ヒッチハイクをすることになる。
乗り込んだ船から投げ出されるも、最新型宇宙船を盗んだ銀河帝国大統領と合流し、伝説の星マグラシアに降り立つ。
という感じで、ストーリーもいろいろなことが起こってはいるんだけど、何が起こるかよりもその場その場でのドタバタとかユーモアとかの方に重きを置いている小説な気がしました。
SF的なものも、コメディのための小道具でしかないのかなとも思った。
ユーモアもいかにもイギリス人的な皮肉で、最初は作者がアメリカ人だと思ってたのであれ?と思ったのですが、著者紹介を読んだら普通にイギリス人でしたね。
現在進行形で起こっていることと、作中作の『銀河ヒッチハイク・ガイド』の引用で断片的な構造になっていたのが興味深かった。
この話についてさっきどこかに書いてあったなということが違った文脈で出てきたりする。
あっという間に読み終わったんだけど、全然キリがついてないんですね!これは続きを読まないと。
究極の問いも見つかってないし(それを見つけるのがこの小説シリーズの目的であるかも疑わしいと思ってるけど)、ゼイフォードの脳を焼きつけた目的も謎のままだし。
宇宙人の描写の仕方が、なんだか少しマグナス・リドルフを思い出しました。ヒト型宇宙人から知性を持った光、ネズミまでさまざまな見た目の宇宙人がいて、それぞれに違った特性を持っている。それがある種の地球人の風刺のように戯画化されている感じ。
官僚主義のヴォゴン人とかはその典型なのかなと思いました。
冒頭で主人公の家を壊しに来た地球人の官僚と黄色いブルドーザーは、分かりやすく二重写しになっていましたし。
あと、地球で最も賢い生物の話とかもおもしろかった。
いや、人間が最も賢い生物ではないというのは全然普通なんですけど、最も賢い生物が別次元の存在がこちらに突き出た部分だという書き方がおもしろかった。
あと地球自体が大きなひとつのコンピュータとして作られたことも、新しさを感じました。
この世界が誰かによって作られた箱庭的なものだという想像って誰しもすると思うんですけど、その目的としてそう繋がるのかっていうのがおもしろかった。
一方で、宇宙目線でも神(おそらくキリスト教的な)の存在を想定しているようなのが不思議だった。
神の不在を証明するのは存在を前提にしていないとできないよね、と思うんですよね。ないものをわざわざ不在と証明しようとしないだろうと思うので。
[0回]
PR