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2024/04/25 (Thu)

『犬は勘定に入れません』

新年最初の読書は、干支に合わせて(笑)ずっと気になっていたこの作品を。
昔ときどき見ていた同人サイトの方がこの作品を好きらしく、ブログ等で言及されることが多くて、いつか読んでみたいと思ったのが初めて知ったときでした。それから10年以上が経ってそのサイトもほぼなくなっていたわけなのですが。
それはともかく、すごく楽しい小説でした!

作品の舞台は2057年。タイムトラベルが可能になり、過去に遡って歴史を学ぶ航時史学が学ばれている。
主人公もそんな史学生の一人で、コヴェントリー大聖堂再建のため「主教の鳥株」を探す任務を受けて1940年で大聖堂の焼跡を掘り返したり、1888年でわがままなお嬢様の結婚するべき相手を探したりする。

ざっくりと設定を説明するとこんな感じ。
SFでミステリでボーイミーツガールでコメディで時代小説でもあり、と盛りだくさん。
そして語り口がものすごく軽快でユーモアがあって、読んでいてとにかく楽しかったです。

「舞台は2057年」とさっき書いたんだけどそれは作中の「現代」で、物語の大半はタイムトラベル先の1888年で進行していきます。
そんなわけで、ヴィクトリア朝の文化や食事やひらひらの衣装とかの描写が多くて、それも楽しい。
シェイクスピア、テニスンほか古典からの引用も多いし、ミステリへの言及もある。ジーヴズの名前も出てくる。
ヒロインのヴェリティがもともと1930年代が担当でセイヤーズやクリスティーを読んでいたっていう設定!彼女がいたのがイギリスで良かったなって思いました。アメリカに派遣されていたらクイーンだっただろうし、そうだとしたらこんなほのぼのとした話にはならなかっただろうから。
セイヤーズ、1冊くらいしか読んでない気がするのでもうちょっと読んでみようかと思いました。
ところで『月長石』のネタバレをされたような気がするんですが……。あとがきで大丈夫って書いてあったから信じるけど大丈夫なんですか?

キャラクターもとても良かったです。全体的にキャラが立っていて。
ヴェリティがまずかわいいし、テレンスもぽやぽやしてるけど好青年だし、執事は普通にかっこいい。ので、わりと、フラグは立ってたなと思ったけど、まさかそこでその話がつながるとは、というのは驚きだった。
ブルドーザーみたいに計画を推し進めていくレイディ・シュラプネルや、スピリチュアル好きの婦人や金魚オタクの大佐や甘やかされたわがままお嬢様も、鼻持ちならないとは感じるけれどもそういうキャラとして作られているんだろうなと思うし、だとしたら大成功なんじゃない?
犬と猫も超かわいい。仔猫の群れにもだえた。

恋愛ものとしても、きゅんきゅんしました。ピーター卿とハリエットになぞらえているところが、それまでの話があってのそれだったのでとても良い。

ミステリというかSFというか、主教の鳥株の行方を説明するところや、齟齬の謎を解くところは筋が通った論理で面白かったです。
しっかりした論理化とか、伏線がとかは長編なのと謎解き以外の要素が多すぎてあんまり覚えてなかったのでなんとも言えないですが。
どこまでが歴史というカオス系連続体の意図なのか、どこまで計算されていることなのかについて考えだすと途方もなく広がっていくような気がする。

ひとつだけ難点があるとすれば、冒頭で状況が全然分からないところかな。
主人公がタイムトラベルのしすぎでタイムラグを患い、音声の識別困難や過度の感傷癖に悩まされているせいで、状況が全く見えない。
主人公にも分かっていないんだから、読者であるこちらにも分からないのは当然といえば当然なのだけれども、そこが少しとっつきにくかった。あと、ネッドがぼんやりしすぎていて軽くイラっとした。
作中の世界(2057年現在)の設定とかも、初めに説明されるということがなくって。というか、積極的に説明されてはいなくって、ふとした拍子に猫が絶滅しているとか、パンデミックがあったとかが分かるだけだった。
あと、「主教の鳥株」というのがサブタイトルにある「ヴィクトリア朝花瓶」だっていうのも最初は全然わからなくて、Googleさんに聞いたらそういう旨の知恵袋とかが出てきて、みんな分からないんだなって思いました。

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