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2024/03/29 (Fri)

『放課後の音符』

この物語を読むのも初めてですが、山田詠美を読むのもこれが初めてでした。
避けていたというよりも、アンテナに引っかかってこなかったという感じ。

うーん、中学生や高校生の頃に読んでいたらもうちょっと違う受け取り方をしていたかなぁと思います。
というのも、この本で描かれている恋愛って、一歩先が性愛に繋がっているものなので。なんていうかそういう現実さみたいなものと「少女」は遠いものであってほしいという幻想を私は抱いてしまっているから。
20代半ばになってこう言うのもあれだけれども、私は「女の子」でありたいと思っているんです。「女」にはなりたくない。実際はとても性格や行動が女性的であるのも自覚しているんだけれども、無性に憧れたりもする。
私はそういう感覚をもっているので、いつか羽化して「女」になっていく「女の子」を肯定的に描いたこの作品は、あまり沁み込んでこなかったです、残念ながら。
でも中高生の頃はそこまで自分のそういう感覚が確立していなかったので、この作品に何かしらの影響を受けられたかもしれないなと思います。
実際にその頃読んだもののなかで、この本と近いのって梨屋アリエだったのかもしれない。『プラネタリウム』とか。でもあれも内面描写はともかくとして、起きていることはだいぶ浮世離れしたファンタジーなので、結局そういうことなんだろうなと思っているわけです。


語り口のお洒落さや、「大人と少女が微妙に混じり合ってる」時期の繊細な感性の描写は好きでした。
言葉選びが本当に美しいですよね。
「Red Zone」の金木犀の匂い云々のところなんかすごくはっとする。
小道具の使い方も素敵でした。香水や、口紅や、お酒。
あと情景が映像的に想像しやすかった。
一方で、登場人物たちはなんとなく全体的に靄がかかっているような印象でした。
感情や感覚はすごく書かれているので彼女たちがどういう人なのかはわかるけれども、語り手を含めて存在感が薄い感じがしました。「その人」であることを限界まで希釈して、どこにもいそうな誰かにしている感じ。
普段読んでいるようなエンタメ小説の「キャラクター」の在り方とは違う書き方。

女子高生が主人公で、読者層も同年代を想定していそうなのに、登場人物たちが普通に飲酒喫煙セックスするのがすごくセンセーショナルな感じがしたのですが、教育現場とかで問題になったりはしなかったのかしら。
法的倫理的にグレーなものが書いてあっても、それ自体は問題ないことだと思うんです。それでもこの小説は思春期に読まれてこそのものだと思うから。
でも、だってこんな美しい文章で書かれていたら、自分も試してみたくなるじゃないですか。

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