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2024/05/04 (Sat)

『六色金神殺人事件』

薦められて読んだものの、微妙だった。

保険調査員・江面直美は青森に出張の帰り、吹雪に遭い小さな町に入り込む。そこでは「六色金神祭」が行われていた。電話は不通、交通も遮断され陸の孤島となった町で、次々と不可解な殺人事件が起こる。
という設定の話。

たしかに、17章で明かされる真実は驚くしおもしろい。21章で解説されることにしたって、読み返せば伏線がはられていたことにも気づける。で、なるほどこうなっていたのか、と感嘆はするものの……。
おもしろさに対して労力が見合わないと感じてしまいました。というより、私は解決一点突破で楽しめないという方が正しいのなも。他のところも楽しくないと無理。
真相が明かされるに至るまでが長くて、しかも読んでいていらいらしてきたんです。
長いといっても、解決編である第2部の扉が335ページだから、全体の4分の3ぐらいまでいったところで解決編に突入するわけで、推理小説であればそこまで遅くはないと思うんですね。でも長いと感じてしまったのは、つまり状況が何一つ進展してないように思えたからではないかと。
死体は増えてくけど、捜査や推理によって真相に近づいていくわけでもなく、じゃあ緊迫感はあるかっていうと、主人公はサスペンスっぽく感じているようだけど読者は遠くて、何をモチベーションに読んでいいのかわからなかった。
いらいらしたのにもつながるんだけど、主人公がひたすらにアホでつらい。
脊髄反射だけで考えてんのかお前、って感じなのに調査員だとか言って事件に首を突っ込んでいくし警察に噛み付くし。
17章で真実が明かされてなおさら、なんだったの?って思った。
いや、主人公がアホじゃないと成立しない話なんだけど、それはわかるけど、普通それくらい確認するよねってところを確認してなかったり、ただの思い込みを真実と決めつけて暴走したり、読んでて本当にいらいらしてくるんですよね……。
だから、ラストのあの台詞とかも、どんでん返しの末の真実とか電氣人間みたいな感じのあれみたいなものにしたいのかなとも思ったけど、主人公がアホすぎたせいで、思い込みが強すぎてついに頭おかしくなったのかなとしか思えなかった。
なんか年々、頭の悪い主人公に対する許容度が落ちてきている気がします……。


なんとなく思っただけなので、以下は単なる想像や深読みのしすぎかもしれないけど。
主人公がアホで、それなのに無意味に事件に首を突っ込んで大騒ぎして推理しようとして、というキャラクターは、奈々村久生を意識してるのかな、って。
いや、作中で「塔晶夫の『虚無への供物』」という単語が出てきていたものなので。
この、仰々しいけど浮ついた、殺人事件の価値が軽くなって探偵たちの上を滑っていくような雰囲気はそれなのかなって思いついたんです。
六式金神も五色不動なのではないか。
だから、こういうことになったんじゃないかと思うと、すっきりまとまる気がするんです。五色不動がダミー解だったように六式金神もこの物語の事件の中ではただの目くらましにすぎないというのが。
でも『虚無への供物』は、イラッとさせられる探偵キャラも、ばかばかしいような推理も仰々しい雰囲気も全部全部、最終的な告発のための土台だったわけじゃないですか。
あれがあったから、私は虚無が好きなんです。
あの告発がなければ、ただ雰囲気が怪奇っぽいだけで、話が膨らんでいくわりに尻すぼみな小説になってしまうと思う。
そして、この本はそういう小説だったと思います。


あとこれ、真相はおもしろいんだけど、メタレベルが錯綜していて何がなんだか……って言う気分です。
読み返して整理するほどの気力はない。


これはちょっと言いがかりっぽいかなと自分でも思うんだけど。
そもそも冒頭から、舞台となっている11月30日から12月1日頃の青森で、一晩に何メートルも雪が積もるものなのかしらという疑問があって、その時点で素直に物語世界に入れなかったと言うのはあるんですけど。
私の生まれ育ったところもそれなりに雪降る地域なので、感覚的にはメートルレベルで積もるのはせいぜい12月中旬過ぎてからってイメージが染みついてしまってる。でも青森よりは南だし、平野部だったから。
青森の山間部だとこんなもんなのかしら。


六式金神伝紀というのも、「宇宙開闢から大和朝廷の成立までの歴史をつづった」もので、六柱の神々が宇宙船で降り立った異星の神を打ち破った様を書いている、となったら俄然テンションは上がる、はずなんですけど……。
六式金神歌がどうにも作りものくさすぎて萎えてしまった。
いや作りものなのはそうなんですけど、作中だと本物ってことにはなってたじゃないですか。でもそれにしては、っていうことです。
四文字四文字なのは漢文っぽいリズムなのに、内容は文章の体をなしてなさすぎて。それっぽく漢字並べればいいってもんじゃないだろっていうか。いや別にそれっぽくもないんですけどね、神代文字使う時代に紙幣(というか紙)あるかはなはだ怪しい気がするし。
超古代史は、物語の中で十分に説得力もたせてくれてたら好きなんですけど、目に見えて粗がありすぎるとがっかりしてきまう。
日猶同祖論の話が出てくるから舞台が青森なんだな、なるほどなと思いましたが。たしかあの辺、キリストの墓とかありましたよね。

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