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2024/05/09 (Thu)

『不思議を売る男』

「あやふや文庫」というTwitter上のアカウントがあります。
内容の一部しか覚えておらずタイトルを思い出せない「あやふや」な本を、Twitterの集合知で解決しようという試みをやっているアカウントで、私も何度か回答したことがあり、見ていて楽しいものです。もともと赤木かん子さんとか、にちゃんねるのそういう掲示板とか、レファ協とか、そういう本の探偵的なものが好きなんだと思う。
あやふや文庫自体はサービスの在り方とかに疑問を覚えるところもなくはないですが(せめてタイトルだけじゃなくて著者・出版社・出版年あたりの基本的な書誌情報は載せてほしい)、内容からおもしろそうな本を新しく知れることもできるし、Twitterで気軽なのでよく見ています。

そこで、何度かタイトルを見ることがあり、興味を持ったのがこの『不思議を知る男』でした。

古道具屋の娘エイルサが図書館で会った不思議な男は、エイルサの店で働くことになり、古道具の来歴の「お話」をまことしやかに語り、商品を売っていく。
概略をまとめるとそういう話。
訳者あとがきで「アラビアンナイト」と言っているけれども、枠物語があって作中作があって、相互にかかわりあっているような物語でした。

作中作にあたる個々の「お話」はおもしろかったです。
特に「中国のお皿」が好きでした。中国の若い陶工と、その師匠の娘の恋の話。中国の風景と皿の取り合わせがよかった。
「木彫りのチェスト」も好き。こちらも悲恋で、宗教と恋と三角関係。
「鉛の兵隊」も良い。父と子の人生を賭けた戦争ゲーム。

「テーブル」の暴飲暴食の挙句に倒れる貴族たちの詩で、知らない食べ物の名前があり、グーグル検索しても出てこなかったので気になっている。
ボーブ・シュープリゼというデザートなのだけれども。
情報をご存じの方がいればお知らせください。

MCCが語る「お話」は毎回、舞台やテーマが違っていてバラエティーに富んでいただけではなく、買いに来た客の素性や性格、シチュエーションに合わせた「ほんとう」の話だった。
名前も住所も過去もないような男が語る話が、なぜ「ほんとう」だったのか――というところが枠物語において、読者の興味をもつ盛り上がりになっているのですが。
正直、MCCの正体はとても残念でした。
これだけひっぱってこれ?みたいな。
少し違うけど夢オチみたいな感じで、がっかり感があった。
最後1ページは少しぞっとするような心持ちで、おもしろかったのですが……。
エイルサの淡い恋心とかもあり、応援したい気持ちで読んでいたので、この後にそれが叶うこと夢見られる終わりだったのはよいのだけれども。ううん。

ところで、住所不定無職でいかにもあやしく、格好も特徴的で本が好き……という特徴から、なんとなく教授を思い出しました。いや、教授は住所はわかっているというか引っ越しから話が始まるので違うんだけれども、印象が重なる感じ。

あと、お話が少し古めの清の中国や独立前のインドや19世紀イギリスだったりしたので、古道具屋さんに来るお客さんが「ヤマハのエレクトーンを持ってる」と言っていたときにちょっと戸惑いました。
固有名詞が出たことと、それがごく最近の時代のもののイメージだったので。

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