読む前にさんざん「正直微妙……」という前評判を聞いていたので、どんなもんかと戦々恐々としながら読んでたんだけど、わりと好きです。
夢の中に出てくるレミニがくれる、なぞなぞのかたちをしたヒントによって、探偵事務所勤務の松代が現実の事件を解決する物語。
レミニ――レミニセンスとは、寝ている間に記憶が整理されて、問題が解決できるようになること、らしい。レミニセンスという言葉の(科学的な)意味とかは全然知らないし、実際そんな簡単に解決できるもんか怪しいけれども、物語としてはありかなと思います。
夢の中の世界の描写が、まるでアリスの不思議の国みたいにナンセンスで、読んでいてすごく楽しかったです。
で、ナンセンスなだけに見えた夢の世界が、全部意味を持っていて、現実世界の事件におけるヒントになるっていう構造がおもしろい。その意味っていうのも、フロイトやユングみたいな夢判断とかじゃ全然なくて、ただの言葉遊び、なぞなぞなのがよりアリスっぽい気がしました。あ、言葉遊びっていうのはヒツジの執事が出てくるような感じのやつです。
何より、ヒロインであるところの、レミニがすごくかわいいんですよ!
森川さんの作品に出てくる女の子はだいたいかわいいし、私の中での暫定一位はマキナなんですけど、それと並ぶくらい。
表紙イラストからしてかわいいんだけど(デザイン本当にいいよね!すごく好きです!)、外見的な特徴はだいたいあんな感じなので列記するのはやめておきます。お城で暮らしているだけあって、お嬢様っぽいかしこまった(けれどどこかおかしい)話し方なのとか、性質のせいもあるけれども言葉遊びを楽しんでいる無邪気さとか、お兄さま回でちょっとくだけた感じが出たところとかが、すごくすごくかわいいのです。
難を言うとすれば、現実に起こる事件がかなりしょぼい……というか、いわゆるミステリ的な事件ですらないこともある。日常の謎というほどでもないような、本当に些細なひっかかり。
まぁでも、あんまり大きな事件(刑事事件とか)を夢で解決しちゃうのは、あまりにもリアリティがないというかご都合主義っぽくなりそうなので、バランス的にはこれくらいでいいのかなとも思います。
構成として、先に夢の描写で次に現実世界の話になるので、夢で明かされる真相から事件を想像するのも楽しいし。想像しようにも無理だけれども。
これもある意味では、結論だけ先にわかる名探偵の亜種なのかなとふと思った。スノーホワイトみたいな。
あとなんか文章で、体言止めが多く感じた。いつもこうだったっけ?
だから何ってこともないけど、読み始めは少し気になりました。
なぞなぞは全然わからなかったです。頭が固くなってるんだ、きっと……。
でも、第三夜の事件の謎はわりとすぐわかったよ!これもきっと自分の趣味ゆえなのでしょう。
私自身はそれを間違えたことはないけど!
でも、『ろ』の方でも一本まるごとだと同じ問題が起こるのでは……という気がしないでもない。切り身よりもまるごとのほうを思い浮かべてしまうのも大概なのかもしれませんが。
[0回]
PR