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2024/05/20 (Mon)

『ランボー怒りの改新』

表題作とナラビアン・ナイトはNRで読んでいたんですが、この単行本が完成形だったんだ……という気がする。
なんというか、それぞれの短編だけではなくて、帯とか、解説とか、袖の著者紹介とか、そういうものを含めてひとつの「前野ひろみち」という物語を作り上げている感じ。
そして、私はそういう感じがとても好きです。なんていうんでしょうね、現実と虚構があいまいになるというか、物語を現実であるかのように思わせてくれるというか、そういうところが。
今まで読んだほかの物語でいうと、辻村深月の『V.T.R』の文庫解説を赤羽環が書いていたりとか。ダレン・シャンとか?そういうやつ。
逆に物語が物語であることを自覚しているある種のメタがあまり好きではないのですが。

まぁ、私の好みの話は置いておいて、『ランボー怒りの改新』に話を戻します。
「佐伯さんと男子たち1993」アホな中学生たちのアホな青春。佐伯さん素敵。
「ランボー怒りの改新」ベトナム帰還兵ランボーが乙巳の変に介入する話。何それって思うし、冷静になると、なんで律令制以前なのに反共産主義とかいってるんだこいつらってなるんですけど、読んでると何故か納得させられてしまう不思議。中国は唐らしいのにベトナムは南北に分裂しているらしいのが謎。境目がどこにあるのか気になってしまいます。古代史好きとしても、わりと知ってる人名出てきて楽しい。鎌足と中大兄の出会いがフットボール大会になってる辺り爆笑でした。
「ナラビアン・ナイト」これ好きです。奈良風千夜一夜物語なので、もしかしたら好きなのは千夜一夜なのかもしれないという気もしなくもないんですが。アラビアンな世界が魔術と鹿の奈良に置き換わるだけでこんなにもおもしろくなるのか、という感じ。『猟師と鬼との物語』も気になります。
個々の作品もそれぞれ、何これって感じの設定でなのに読まされてしまうおもしろい短編たちなんですが、「満月と近鉄」がすごく良かったです。「ナラビアン・ナイト」作中話の最後の話みたいに今までの3編を貫き、しめくくる物語であるというのもあるんですけど、ただ青春小説として良い。読後感がすごく好き。

ところで「満月と近鉄」に出てくる「長脛君」という人物、奈良的なつながりが何かあるのかもしれないのでたぶん邪推だと思うんですけど、長脛彦の別名に「登美毘古」があるからそういうあれなのかなと。そう思わせようとしているのかな、って。
じゃあ「前野ひろみち」は役柄的には饒速日なのだろうか。それとも神武?

もっと元ネタ知ってたほうがおもしろいのかなとも思う。ランボーとか、千夜一夜とか。
あと、奈良の土地勘はあったほうが絶対良かった。もっと奈良行っておけばよかった。観光で行ったことある場所は何か所もあれど、想像できるほどわかるのは近鉄奈良駅から春日大社までの辺りだけなので。西大寺はおいしいケーキ屋さんがあったので、あの辺だなという記憶はあるけど、生駒とかは全然未知の領域です。

なんにせよ、小説が面白いというのとはまたちょっと違う、いい読書体験でした。
数年前に先輩に「ランボー怒りの改新」勧めてもらってなかったら今回も手を出さなかっただろうなと思うので、本との出会いも縁なんだなという気がする。
そのとき酔ってたので実は勧めていただいたことを忘れていて、翌日NRがあってなんだろうと思ったのですが。

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