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2024/05/06 (Mon)

『バチカン奇跡調査官 闇の黄金』

なんだかんだ言いながらも3巻まで読んでるので、それなりには好きなのだろうと思う。
むしろ、おもしろいところがあるからこそ、苦手な部分がもう少しどうにかなれば……と思うのかもしれません。

そういえばアニメも始まりましたね。展開めちゃくちゃ早くて、初見の人はついてこれるのかしらと老婆心を発動してます。
ところで1話冒頭のナレーションで、一緒に見ていた人(未読)が「設定が『その可能性はすでに考えた』みたい」と言ってたのでそのかのが気になってます。


ともかく、3巻。
あらすじはこんな感じです。
「首切り道化師」の伝説が残るイタリアの小村で、教会に角笛が鳴り響き虹色の光が現れる「奇跡」が起こり、平賀とロベルトは調査に訪れる。
すると、教会でアルビノの少年がまだらの道化師に首を切られ殺される事件が起こる。


不満がありつつも毎回読んでしまうのは、謎と解決が好きだからだと思うんです。一見すると、奇跡にしか思えない謎が合理的に説明されるおもしろさ。
一歩先の展開や謎の答えは読めても、違う事件が起こったり冒険したりするのでその先は純粋に楽しい。
今回も、民話や童謡に隠された謎を解き明かすのは個人的に好きな展開だし、おもしろかったです。
それらを作った人はどういう人物で、何のためにという謎は残りますが。
秘密として伏せながらも書き記すのは、単に「王様の耳はロバの耳」だけではなくて、Aさんには隠したいけどBさんには伝えたいみたいな事情もあると私は思うんだけど(だからそこが「人は秘密を閉じ込めてはおけないのさ」で終わってしまったのは物足りなさがあった)、これらの民話童謡に隠した暗号は、一体誰が誰に伝えようとしたものなんだろうというのが不思議でした。
というかそこをはっきりさせないと、物語の展開に都合の良いことが都合良く伝わっていただけになってしまう気がする。そうなると、自作自演に思えてしまって、途端に全て色褪せてしまう。
柘榴の暗示と、ソロモンの忠告の二つ目までは、教会の次の世代にも秘密の通路を教えるために有用だと思う。そしてまだらの道化師モチーフも、もともとあったイメージに重ねて村人たちが森に入らないようにする意図があったことが分かる。
三つ目の忠告だけが、平仄が合わない気がするんです。「死の間」から抜け出す方法だなんて、囚人たちを監督する立場の人にとっては必要ないのでは?
……。
と思ってたのですが、書きながら読み返してて気づいた。その鍵が「死の間」にあるだけで、帰り道の扉の開け方を示してるだけなんですね。
だったらやっぱり、後にこの教会に着任して囚人たちをも監督する司祭に託したメッセージとして理解できます。むしろそう作中で言ってほしかった。
2冊あったのは少し謎なんだけど、違ってる部分が重要だと気づかせるためなのかな。

目次に「アゾート」ってあったので、てっきりバラバラ死体が出てくるものだと期待していたら出てこなくて残念。普通に、元ネタの方でしたね。
バラバラ死体は与太話にせよ、森の中に辰砂があったこともあり、水銀という方の意味で重要なのかしら、たたらの鬼なのかしらとかも考えてたんだけど。
水銀鉱脈はあるというし、水銀は金の精製に使うから繋がるとは思うんだけど、そこのところもうちょっと説明あってもよかったかなと思いました。
そういう風にもっとモチーフを重ねてイメージをふくらませたらいいのにと思うことは他にもあった。イメージの伏線というか。たとえば地下世界の目印が柘榴だと、私なら軽率にペルセポネと重ね合わせたくなるんだけど。一応カソリックの神父だからギリシャ神話は使えないのかしら。


今作で良かったのは、平賀とロベルト両方がちゃんとそれぞれの専門知識を活かして活躍してたことです。ポンコツ感が少なかった。
前2作で、それぞれの専門分野を紹介してからの3作目だからなのかもしれませんが。
ところで最初1巻を読んだとき勘違いしてたけど、紹介文によれば「天才」なのは平賀だけで、ロベルトはただの「エキスパート」なんですね。

キャラクターの書き方については、もう慣れるしかないんだろうなぁ。
3巻まで読んだら情報量が増えて愛着持てるかなとちょっと思ってたんだけど、特に増えなかったですね。
相変わらずキャラが情報・設定でしかないように思えてしまう。物語を動かすためのコマでしかない感じがする。
ロベルトの方はまだ人間臭さがあるし2巻で過去分かったしで、人に見えるんだけど。

これまででもう一つ苦手だったポイントの、薀蓄の出し方は今回はかなり改善されていたと思います。
台詞で長々と喋ることはなくなって、地の文で説明するようになっていたので。
あと今回は特に、このために作られた民話(とはいえ既存の類話はありますが、フォークロアはそういうものですし。でも3つのオレンジと笛吹男はヨーロッパの物語だけど、最初のは落語の死神だよね?イタリアにもあるの?)に込められた謎を解いていたので、わざわざひけらかすまでもない薀蓄自体が少なかったような気がします。出し方以前に。
平賀担当部分も、もともと私は理系知識少ないからかもしれないけど、必要十分な説明でしたし。
「ソロモンの忠告」を平賀に暗誦させるのは必要なかったと思うけど。口頭での物語の語りなら暗誦ではなく話者らしさがほしかった。というのは求めすぎでしょうか。

ところで固有振動数というか、その周波数だったのは単なる偶然だったの?その解決で本当にいいの?えー。
キリスト像も、温度変化は単なる偶然に頼ってるのかというのに引っかかる。
空気中に粉が舞っていたなら、蝋燭の火でドカーンとかならないんでしょうか。そこまでの量ではないのかな。というかこれはさすがに思考が「アゾート」に引きずられてる気がします。


これから、ガルドウネとの対決がメインになっていくのでしょうか。
陰謀論はフィクションと弁えた上で楽しむのは好きなんですけど、ミステリめいたものとして読んでるので、以降はずっとガルドウネが黒幕みたいな展開はさすがに嫌なんですけど。まさかそんなことはないよね。

ビル捜査官が都合良くギリシャ語を知っていたのがちょっと怪しいんですけど、警察に属して油断させてるガルドウネ(あるいはほかの秘密組織)メンバーなのでは?

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