シリーズ2作目。
なんだか前巻よりも非常に読みやすかったです。読むのに時間がかからなかった。
退屈な薀蓄の部分が少なくなったのかも。
それでも台詞内で薀蓄を語るところには少し辟易した。
口頭試験じゃないんだから、会話の中でそれ言う必要あるの?って思うことがしばしば……。
そこのところは、この作者さんとの感性の違いだと思う。
さて今回は、ロベルト回でしたね。
奇跡と事件の調査において活躍するのはもちろんのこと、過去が明かされて。
1巻読んだときはポンコツと思ってしまったけど、専門分野では優秀なんですね。
逆に、1巻では天才で超有能に見えた平賀がほわほわとしていた印象。
科学的には設備も限られているし、調査のやりようがないのは分かるんだけど。毎日無為に同じことを繰り返していただけで、分離工作に取り込まれそうになるのが、どうも1感で知識や推理の冴えを見せた彼と繋がらなかった。
教皇や枢機卿といえども、過去には腐敗・堕落していたときがあったというのは史実だと思っていたので、そこまで否定するところはどうにも……。無邪気な信仰といえば聞こえはいいけど、思考停止というか。その信仰心と、全てを疑うような推理力とはどう併存しているんだろう。
っていうか情報共有しろよ、って思いました。探偵やライバルじゃなくてペアで調査の任に当たってるんでしょうが。
あー、二人とも有能な調査官と思うと期待値が高すぎてその肩書きを疑ってしまうから、もしかしてただの科学オタクと古書オタクと思った方がいいのでは?
普段私が関係性萌えするときって、たとえ「好き」という言葉はなくとも、何気ない台詞の口調や、視線や、距離感からその間にある感情を読み取っているのだと思うんです。
この作品は逆で。
直接的な台詞はあるけど、行動や仕草から感情を読み取れない。というか行動や仕草や心情があまり書かれてないんですよね。
だからキャラクターが駒のように見える。
ロベルトが過去を明かすときも、そのことをどう思っているかみたいなところの葛藤がもう少し読みたかったです。
でも、だからこそメディアミックス向きかもしれないとも思う。
あと、シリーズを読んでいくことで直接的な台詞でもちょっとした心情でも積み重なっていけば、キャラクターや関係性にときめけるかもしれない。
せっかくいかにもって感じで売ってる作品なんだし、どうせならときめきたい。
ミステリ的なところはおもしろかったです。
フーダニットはまぁ明らかに怪しいだろこいつって思ってた人が実際黒幕的な立場だったので、意外性はなかったですが。
ハウとホワイが興味深いし、この作品ならではって感じで良かったです。
予言はどうせ後付けだろうと思っていたので置いといて。
超常現象が科学的に解明されるのは興奮しますね。
薀蓄が長いとはいいつつ、栄光の手の作り方なんかは読んでて楽しかったです。……やっぱり題材への興味の有無で感じ方違うのかも。
1巻よりも、「結局あれは何だったんだろう」と思うところがなかったというか、ここで全てが説明されてなくてもどうも今後に繋がりそうだし。
そういえば遺体に温度が高い部分があったというのは、死体を生きてるように見せる絡繰とどういう関係があったんだろう。
あとは、ロベルトが聞いた「サタン」の声、イタリア語かラテン語か知らないけど、日本語ほど役割語が発達してないからああいう風に同じ文でも違った印象になるんですね。おもしろい。
カトリックが土着の宗教と混ざって定着しているのも興味を惹かれました。何かモデルがあるんだろうか。
普通に、カトリックの司祭が土着宗教の魔術師長を兼ねてるのは、布教制作の一環としてあの地では受け継がれてたのではないかと思ったんだけど、どうなんでしょう。
[0回]
PR