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妖怪と神話とミステリと甘いものが好き。腐った話とか平気でします。ネタバレに配慮できません。

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2024/04/26 (Fri)

『その絆は対角線』

カルチャーセンターで知り合った、育ちも性格も学校も違う中学生女子4人の交流を書いた『日曜は憧れの国』のシリーズ2作目。

タイトルのとおり、一方通行の憧れが四角形を描いていた4人の、対角線の関係に焦点を当てた作品だったと思うんですけど、タイトルのセンスがもう最高ですよね。


確かに前作以上にミステリ要素が薄かったけど、それはもはや問題ないというか。
むしろ1話目と2話目で、"友達に何を言うべきか"とか"あの人はなぜ怒ったのか"みたいな人間関係上の課題をミステリ的な謎として設定してるのが興味深かった。
そういうのも日常の謎ものでときどきあるような気もするんですけど(ふたりの距離の概算とか)、この作家/シリーズでやるのかという驚き。
毎回事件が起こるのもそれに女子中学生が首を突っ込むのも、続くといつか不自然に感じてしまうと思うので、シリーズが続くならこういう方向の謎もまたあったら良いですね。
実際、今回も3話目や5話目はちょっとなんでこの子たちが捜査してるのを周りの大人は許可してるんだろうと思ってしまったので。
3話目以降は人間関係の謎ではなくてもう少し事件っぽい感じのことが起こっていた。
ただ、3話目は推理合戦しているとはいえ真相が結局分からないものだし(途中にあったものはすごくそれっぽかったけど)、4話目は「犯人」を探して捜査はしているけど答えを知ったのは偶然なので、5話目がいちばんミステリっぽかったと思う。知識ネタ自体はありふれたものだけど、それによって明らかになった真相がおもしろかった。


そこそこの能力がある人が、さらにすごい才能を持っている人に劣等感や憧れを抱く話というのは、ルヴォワールシリーズもそうだったように、円居先生が書きたいテーマなのかなと思う。だから、きっとこの物語を必要とする読者がいるんだろう。4話目で語られていた「魔法」みたいに。
たぶん私ももっと若い頃に読んでいたら、というよりももっと遠いところで読めていたら素直に悶えていただろうなという気がします。
で、そのテーマがすごく出ているのが今回の3話目と4話目でしたね。
「本物と偽物」を達観してしまうには中2は早すぎるんじゃないかなと、個人的には思うんだけども。ぬるい人生しか送ってきてないからそう感じるだけなんだろう。
3話目は「本物と偽物」の話ではあったけど、それは前提でこの話の中では『巨人の標本』みたいに鮮烈な体験がないから、ただ鬱屈しているだけみたいな感じがしたのが少し微妙だった。いや、それが絶対的な価値ではないという結論なのだからそういうものなんだろうけど。
ともかく、真紀にとっては公子は「本物」なんだけど、4話目では公子が自分が(少なくともまだ)「本物」ではないと思い知る話で、その構造がすごくいい。
4話目の、創作を志している人たちが段違いにすごい作品に出会って思い悩むのは、身に覚えがあってとてもしんどかった。ただうまくまとまりすぎている感じもしたので、もっとプリミティブな感情で刺されたい。
3話目で本物か偽物かよりも意味と価値のある経験が大事という結論に至ったのが最終話のラストの方に効いてきていたのが、こういうふうに回収するのかと面白かった。


今回のメインキャラクターのエリカ・ハウスマンは、個人的には最初からどうも好きになれないタイプの人だなと思ってたら案の定だったわけですが、私の個人的な好き嫌いはともかくとして4人が彼女に抱いている感情と彼女から4人への態度がそれぞれ違っていて、それがキャラクターの性格とかを考えるととても納得できるものだったのがおもしろかった。


ところで逆転裁判ノベライズ読んだときの感想にも書いたような気がするんだけど、地の文がびっくりするくらいぎこちなかったように感じた。
会話はすごく良いのに、その間にはさまれる文が唐突だったり誰が何をしたのかよく分からなかったりということが多かったです。
ページ数や文量に制約でもあったのかしら。
べつに今までの作品ではそんなに地の文が読みにくいとか感じたことなかったので、なんだか不思議。



これはたぶんここに書いても通じる人ほとんどいないと思うし、めちゃくちゃネタバレなので何がどうとは言わないけど、国際問題だ……と思いました。

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