今回でシリーズ完結らしいですが、第2部が続くようで、安心するような、嬉しいような、でもちょっとだけもやっとするような複雑な気持ちです。
今回の話も、すごくおもしろかったし、この子たちかわいいなーとにやにやしたりもしていたのだけれども、本音を言うとやっぱり薬屋探偵の方を出してほしいと思ってしまう。
いや、来年出るらしいことは分かってるし(狂喜乱舞した)、こっちを書いているからあっちが出ないという単純なことでもないのだろうとも想像はできますが。
作品の出来不出来とかそういう問題でもなくて、単に私の思い入れと年季の問題で、薬屋探偵の新作がやっぱり読みたいのです。
……という、微妙な気持ちから書き始めてしまったわけですが、別にこのシリーズが嫌いなわけじゃないんです。今回も普通におもしろかったですよ。
ただ、シリーズ完結というのがあんまり実感としてわからなかったです。
たとえばそれこそ『海紡ぐ~』とか『終焉の詩』とかって、すごく「この巻で完結」っぽさがあったじゃないですか。内容的に。
執事9巻が第1部最終巻というのは、言われなければわからなかっただろうな、と思います。
基本的にこのシリーズって、未熟な主従が個人としても主従関係としても成長していく話なので、巻を追うごとに成長してはいるわけですが、ここで完成というわけでもない。赤目さんや、沢鷹兄妹や、ほかのキャラクターたちとの関係が決定的に変わったわけでもない(ように思えた)ので、ほかの巻と同じく、通過点のひとつにしか今のところ感じられていないです。
でも第2シーズンになったら全然違う展開の話になるのかもしれないので、振り返ってみるとやはりと思うのかも。
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この9巻は、巻を通じたテーマとして「誰かのために死ねるか」「全てを差し出せるか」みたいな問いが繰り返し出てくる感じで、すごく主従ものっぽかったですが、その問いに対するそれぞれのキャラクターの回答がその人らしくて、そういうところがとても良いなと思いました。
たとえば薬屋探偵のキャラとかがそういう問いにどう答えるかなーと妄想しても楽しいですよね。
石漱くん視点の話があってすごく良かったです! こういう子とても好き!
過去エピソード読んでますます良いなって思いました。
大学生なのだから、北海道にも行けると思うよ、また縁が繋がればいいよね!
でも鳳さんはいったいどういう手を使ったんだろう……。年齢と地方と全国大会出場である程度絞り込めるのかもしれませんが。
沢鷹兄や赤目さんの視点の話は、読んでもあんまり彼らが何考えてるのかわからないなって感じです。「可愛らしい嫉妬ではない」のが何なのか本当に分からないよ……。なに、重い嫉妬なの……? 花穎に友達ができたこと、ではなくて、それを橘がチェックしていたことに対しておもしろくないんだろうなとは何となく思ったのですが、その感情を言語化するのは語彙力がない私には難しいので、罪悪感を含む嫉妬になってしまう。こういうやり取りの後だったから、墓荒らし事件のときに主従交換したんだろうか。
赤目さんと橘と花穎の超シリアスなどろどろのBLが読みたい。沢鷹兄の、他人に無関心ゆえに人当たりがいい性質はなんとなく座木さんを思い出します。
早苗さんは普通に素直でいい人だ、ってちょっと吃驚した。この兄妹にも彼らの背景があって、考えるところがあって、それでいろいろしていたのか、って思うと愛おしくなる。高里さんはそういうのを書くのが上手な人だと思ってます。短編の青枝さんの話とかもそんな感じ。今までモブでしかなかった人にもその人の物語があって、スポットライトがあたって主演になれば、みんな好きになれる。
花穎と衣更月は、順当に成長してきているなぁという感じで、見ていて安心できるし、すごくかわいいですね。
絵を見たときの会話とかすごく好き。罵倒してるはずなのに客観的事実だけだったり結果的に褒めてるだけだったりするのもかわいい。
あと、1話の台詞を回収してくるのもうまいなぁ。最期の方、かわいいしか感想出てこなかったです。あ、あとおいしそう、も。
未熟だからっていうのは、作中でもちゃんと理由があったんだなと納得しました。
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