忍者ブログ
2024.05 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新記事

プロフィール

HN:
睦月
HP:
性別:
女性
趣味:
読書
自己紹介:
妖怪と神話とミステリと甘いものが好き。腐った話とか平気でします。ネタバレに配慮できません。

カウンター

リンク

ブログ内検索

アクセス解析

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2024/05/09 (Thu)

『話を聞かない男、地図が読めない女』

今年の目標は確かに「有名な本を読む」なんですけど、これは別にそういうつもりで手に取ったんじゃないんだ……という、誰に向けてというわけでもない言い訳をまず。

性別がなかったとしたら、社会はどうなっているんだろうみたいなことを考えていて。それを考えるための材料に、とりあえず簡単に読めそうだしと思って読みました。


男女の脳の違い、考え方・行動の違いについて書かれた本。タイトル通り、女は空間認識能力がなくて地図が読めないし、男は一度に一つのことしかできないから話が聞けない。ということをいろんな数値やたとえ話をもってきて、おもしろおかしく繰り返す。

基本的に一般向けの科学読み物だし、外国で書かれたもの特有のブラックな感じのユーモアがあるので、内容が難しくないという意味では読みやすいけれども、引っかかるところがある。
引用されている研究は、その引用の仕方で正しいのか。
主張したいと思われる結論に対して、根拠として言っていることは正しいのか。
アンケートなんかの数値自体は操作はないだろうけど、ほかの要因は考えられないのか。
などなど……。
内容の正しさに対する担保が特にないから、読んでなるほどおもしろいと思う分にはいいけど、もう少しかっちりしたものの方が、考える役には立つのだろうなと思いました。

あ、男脳女脳テストでは、女脳よりのオーバーラップでした。
設問が、男子の脳の違いというより、理論か感情かって感じになっていたのはどうなのと思った。

男女で(能力や考え方に)違いがあることはそのとおりなのだろうと思う。
この本が流行った後に生きているから、なおさらそういう考え方がしみついているのかもしれないけれども。
女が社会で成功していないように見えるのは、一般的に言うところの「社会での成功」が男の考える成功基準を女にも当てはめているだけだからだ。という文章に、ハッとした。
思考実験ではなくて、現実の社会についていうのならば、それぞれの違いを活かして協力しあえればいいよね、理想論だけど。

この本の書かれた意図としては、そういった理想論のために互いのできることとできないことを整理しておく目的なのではないかと思うのだけれども、
平均的な行動を書いていくことで、ステレオタイプが際立ち、偏見っぽく見えてしまうのはなんでなんだろう。
ステレオタイプを強調して描く=差別だと思ってしまう、私の捉え方のせいなのかしら。
もしかして、「ステレオタイプを強調して描く=差別」というような社会的文脈があったりする?
ジェンダー論は興味あるけど面倒くさそうなのでちゃんと知らないのですが。
男女は違う生き物なんだから、それを弁えた上で平等を探そうと言ってるそばから、ゲイをジョークとしてオチに持ってきてるのはそれこそ政治的に正しくないだろうと思う。けど、政治的に正しいことが正しくはないよね。

あと気になったのは、社会的な要因についての説明があまりないこと。
女の子あるいは男の子として「らしさ」に基づいて育てられたら刷り込みが行われるのでは。
一応、学習では脳の配線は変わらない、もともとある傾向を伸長するだけだという話ではあるんだけれども。
あーでもこれは、私の方で何が「脳の配線」に由来するもので、何が後天的に学習するものか、区別ついていないから引っかかりを覚えるのかもしれない。
たとえば、女の子が空間能力が低いのは先天的だけれども、ピンクや花柄が好きなのは後天的な学習によるものだと思うんですよね。
あと、あくまで平均的な、全体の傾向の話なので、そうでない場合もよくある。
私は女で、数学苦手だけど、高校のときとか私より数学できない男子いっぱいいたよ?
みたいな個人の経験の話にしてしまうとよくない。

能力や考え方の男女の違いについてはまあおおむね納得できる。
性的指向が胎児期のホルモン量によるというのも、そうなのかもしれないと思う。
でも、たとえばゲイはどちらかというと女脳だとか、レズビアンは空間能力が高いとか、そういったことについては、懐疑的に思ってしまう。
戦国武将には同性愛が横行していたけれども、あの人たちはめっちゃ男性的な気がするんですよね。支配的な性格で、所有したがって。
気がする、思う、というだけなんだけれども。
あとホモセクシュアルとバイセクシュアルはまた違う話なのかもしれないが。
それこそ社会的要因があるのではないか。
「相手探しセンター」と「行動センター」で必要な男性ホルモンの量が違うというのは興味深かったです。

そもそもなぜ、男が狩りをし、女が家事育児をしていたのか。
そういう社会を形成していない哺乳類もいる。
妊娠中は家にいざるをえないから、子育てと家事を両立した方が効率的だから、なのだろうか。
ほかにもうちょっと納得できる説はあるかしら。

全体として、この本が最初に書かれたのは20年近く前だし、私が読んだ文庫版も出てから15年経つので、その間の研究でどう変わったかも知りたいですね。

拍手[0回]

PR
Leave a Reply
name
title
color
mail
URL
comment
password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ観覧可