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妖怪と神話とミステリと甘いものが好き。腐った話とか平気でします。ネタバレに配慮できません。

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2024/05/14 (Tue)

Where it will lead us

1月以降、いくつかの出来事があり、「ミステリ」や「犯人当て」についていろいろと考えていました。
ここでいう「ミステリ」は推理要素のあるエンタメ作品、ぐらいの意味なんですが。

1月くらいに、「推理展示」というものを見てきました。
そこでは、ギャラリー的なスペースに「殺人事件の現場」が作られ、展示されていました。そして、A4用紙10枚弱の「捜査資料」を買って、それらを見て推理しましょう、という催しでした。
小説形式以外の「犯人当て」にいろいろ触れてみたかったのと、試みとしておもしろそうだったので、情報を知って、現地に行き、造られた「事件現場」を見て、すごくわくわくしていました。
現場の展示はに凝ってました。血のりとかいいよね。現場検証+文字資料から推理、という形式もおもしろかったです。
ただ、推理にその現場検証はほぼ必要なく、文字資料(捜査資料らしさを出すためかほぼ箇条書きで、現場の様子や死体検案書、容疑者の証言や持ち物の写真が載ってる)さえあればほぼ解けてしまう感じで残念でした。しかも穴埋め形式だから答え絞れるけど、別解いくらでもありうるよね、という感じで。これに1500円払うならフーダニットベストvol.5の方が安いし収録作多いしきっと上質だろうし、いいんじゃないか……という手前味噌なことすら思いました。
で、残念……というか、もやっとした体験だったのですが、極め付きが、その「捜査資料」に「これはパズルではなく推理ゲームです」というような注意書きがあったことです。
私は常々、「犯人当て」に対して、ただの論理パズルなら小説形式である必要ないよねと思っていたんだけど、それはスタンスとして変わってはいないんだけど。でもこの展示でいう推理って、結局は登場人物たちの過去の因縁を想像することが主で、結局それで犯人や手段を確定しきることができなくて、だったら答えが一つに分かる論理パズルの方がまだ、知的遊戯(笑)として楽しい。

一方で、同じく1月くらいに放映されてた「四角館の殺人」。ドラマで犯人当てをする番組で、1日目が問題編、2日目が問題編の続きと解答編という形式です。1日目のドラマパートの最後のシーン、すごく良かった。さすが綾辻先生。推理も、難しいけどこういうことかなというのは追えるようになってた。さすが綾辻先生。
ただそのドラマも、別解がつぶしきれない感じではあって。映像に映っていないところを穿って考えてしまうと、迷宮に陥る感じ。

ここまでで何が言いたいかというと、「犯人当て」をさせるときには読者(あるいは推理する人)が、どうやって受け取るかということを考えるのはすごく重要という当たり前の話です。私自身それはあまり得意ではなく、ミステリ研で「犯人当て」を書いたときは思ってもいなかったところを深読みされてしまってました。でもそれ以上に、「犯人当て」を隔週でするような異常な文化に触れていない人たちにとっては、深読みされる可能性を想定しつくすのは難しいんだろう。
どんなに気をつけて穴のないようにしても、推理をしようと疑心暗鬼に陥った受け手は突飛な発想をしてしまうので、それを避けるためにストーリーや描写面からの「こういう話だったら綺麗だよね」という伏線や、ゲーム形式ならwhoやhowなど問いを絞って選択式にするのが有効なんでしょう。おそらくは。

ということまで考えたんですが、思った以上にもしかすると世間の人は犯人当てに対して、あるいは謎を解くことについて、重きを置いてないのかもしれません。
いや、私だって「犯人当て」として出された短編でもない限り、自分から推理するよりは探偵の活躍見たい方ですが。「ちょっと考えてみたけど全然わからなかったのに、解けてしまう探偵役はすごいなぁ」という感慨にふけりたいがためにちょっとは考えるし、逆に明らかに分かってしまうことをドヤ顔で推理されるといらっとするけど。

あの、作家アリスのドラマがね……。
原作は好きです。ほとんど読んでるとはいえ、内容だいたい忘れちゃってるんだけど。
最初の方は、ほかの短編の小ネタをちょっと持ってきてたりとかして面白いなって思ってました。決め台詞が謎なのとか背景が明らかに京都じゃないところか京都臭しかしないところしかないじゃんとか火村のキャラ変…とか思うところはもうたくさんあるんですがだいたいはアリスがかわいいので許せる。推理パートの演出も、楽しんではいます。業界的にいつまでもシャーロックメソッドに頼ってていいのかという疑問はあるけどそれは私が考える事じゃないし。
ただ、一番嫌なのは、個々の事件の推理を省略してまでオリジナル要素=シャングリラ十字軍入れる必要あるの?ってことで。
ドラマとしては、独立した短編よりも全体を貫くテーマがあった方がいいということは分かります。視聴者の興味を引きつづけることが必要なんでしょう。テレビ業界はシビアらしいですし。
で、制作陣はシャーロックやりたいんだろうから、モリアーティを持ってきたいというのも分かる。火村はホームズタイプの変人探偵ではない、というのも私の個人的な感傷だから置いておく。作家アリスを完結した物語にするなら、火村の「人を殺したいと思ったことがある」を掘り下げないといけないし。
今のところ、オリジナル部分が全然おもしろくないというか、「キャラ」的でテンプレ的な物語で、ごてごてしているように感じてしまう。最後まで見たらおもしろいのかもしれないのでまだ保留だけど。
でもそういう風にしないと視聴者の興味を引けないというのは、謎解きよりもサスペンスの方がドラマとしては、世間的には重要なのかな、と考えるとさびしい気持ちになります。

私、思ったよりも、本格ミステリ好きだったのかもしれない。
本格ミステリの定義はまためんどくさい話になるのでとりあえず謎解きを主体にした物語、ぐらいで。

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つづきはこちら

では恒例の最近読んだ本。ツイッターでだいたい感想言ってるので、1月以降に読んだなかで、印象的なものなどを。
「烏に単は似合わない」
和風ファンタジーとしては好き。ただ、世界がどういうものなんだろうと考えながら読んでたのに、その部分が全然関係なかったのがもやっとしたのと、序盤から完全に少女小説のノリで読んでたので、そこの叙述はちょっと……っていう感じ。

「半七捕物帳」
とりあえず1巻がすごくおもしろかった。大正時代に書かれた小説なのに読みやすくてびっくり。古いからってあれもこれも敬遠してたのはよくなかったなと反省しました。
怪異のような事件が、推理によって解決されるものが多くて好みだった。意外と厳密な論理で推理するというような感じではなくて、捜査しててたまたま重要な証言や手がかりを得られるみたいな運要素とか閃きが強くてご都合主義っぽいけど、ホームズもわりとそんなだし、時代的にそういうものなのかもしれない。

「トワイライト・ミュージアム」
初野晴の中でもかなり好き。初野作品の特徴として、ファンタジー要素、知識による推理、弱者への優しい目線、の三つがあると思っているんですが、そのどれもがバランスよく入ってる感じ。
魔女狩りも確かに、弱者が虐げられるもので、題材に選ばれたのはだからなんだろうなぁ。
推理というかほぼ知識の披露なのだけれども、それを専門知識のある博物館学芸員たちが話し合っているという形式にしていることで、そこに対する不満はあまりなくなって、むしろ知識で殴るのかっこいい、って思った。

「螢」
普通に新本格、普通に面白い。
ずっと噂に聞いていた逆叙述というのはこれか。でも逆である必要ある?

「この闇と光」
どんでん返しを強調する売り方には納得できないけど、この作品自体は好き。
どんでん返しっていうのは、Aだと思ってたものがひとつの文章やシーンでBに反転するものだと考えるので、前提となるAが曖昧だと、ただ不思議な状況が解決されるだけになってしまうと思うんです。結末についても、衝撃の結末とかそういう風なものではないと思った。
でも前半の美しいものに囲まれた世界を読んでいるのはとても幸せでした。余韻や描写を味わうものだと思うの。

「文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS京極夏彦」
辻村深月うらやましい。自分のずっと好きな作家の助手ポジションとか。すごくキャラクタもかわいらしいし。私としては辻村深月の偽兄姉さんたちが出てきてくれたら非常に満足なのですが。
思ったよりミステリだったけど、前半の推理がしょぼい知識ネタで……。最後の方のあれは、展開も含めておもしろかったです。っていうか皆ホームズ好きだね。
「憑き物落とし」には爆笑したし、それぞれのキャラ元になった作家の作品ネタも全部は拾えてないだろうけど楽しかった。雑誌記者の鳥某は鳥口だろうし、左手の薬指が欠けた久保が匣の中で死ぬのとか、逃がし屋が南極なのぐらいかな。ぱっと分かったのは。

「火星の人」
科学知識難しいけど、ログの文体がネット口語体的でおもしろい。立場を異にする人たちが共通の目的の為に最善を尽くして協力し合うのっていいよね。NASA以外で協力してくれるのが中国航天局なのは、数十年前のSFならソ連だっただろうし、今ってそういう時代なんだなって思った。
映画も見に行ったけど、映画の方が危機は少なそうだったな。原作では途中、次から次に襲い来る危機に飽きてきてしまうけど。

「メアリー・スーを殺して」
乙一は中学生のころに大好きだった。おもしろかったけど、あの頃好きだったほどの鋭さがなくなっていて、寂しいとも思う。
中田永一作品が二つとも好きでした。表題作は中高生の頃読んでたら間違いなくはまっていたと思う。あと山羊座と、人体楽器の話も好き。人体楽器ってなんとなく皆川博子なイメージなんですが実際書いてて読んだことあるのかは不明。
山白朝子はもっと黒乙一的なグロい作風の人なのかと思ってたので、優しい話だったのが意外でした。

「雨の日は神様と相撲を」
グローバル化に直面して、ローカルにしか生きられない神様たちはどのように生き残っていくのか、という話がとてもおもしろかった。そこメインでシリーズを展開していってくれたら私好みだけど、そうはならないんだろうな。
随所にちりばめられた神話の話がとても好きです。
でも殺人事件いらなくない?いくら刑事と元刑事でも、中学生の子供がいる家で捜査の話するのは倫理的にどうなの、って思ってしまう。
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2016/03/07 (Mon) 日々の徒然 CM(0)
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