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妖怪と神話とミステリと甘いものが好き。腐った話とか平気でします。ネタバレに配慮できません。

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2024/05/19 (Sun)

ステラ・ミラ

学校の図書委員が発行する文芸誌(?)みたいなのに載る予定の小説です。
もし同じ学校に通っている方がいたらまだ見ないでください。

本名で載るうえ二次創作禁止(当然)だからすごい書くのが不安で、結局こんなのになりました。
ヤマもオチも意味もないけど所謂「やおい」ですらない、でも愛だけはいっぱいある。
何への愛ってそりゃ怪異です。

これはこれで下手な恋愛物よりも後ろ指指されそうですが、開き直ってる。

天狗という妖怪が好きです。
迷ひ家の伝承が好きです。
だからどっちも名前を出さずにふんだんに要素を取り入れました。
でもきっと大抵の人には何の話だか分からないんじゃないだろうか。

あと、司書の先生に指摘されて自覚したんですが、私の文章って改行多いんですね。
前々からちょっと感じてはいたけど。
たいていは一文で一行くらいだからな。
こだわり、っていうかぶっちゃけ何処で改行すればいいか分からない
えっと、精進します。
でもネット上だとそっちのが見やすいんじゃないかという気もします。
どっちの方がいいですか?



ちょっと補足。
金色の鳥は鳶じゃないです。そんな、畏れ多い。
でも足が三本あるかもしれません。その辺は連想ゲームの結果で。(天狗といえば猿田彦、猿田彦といえば道案内、道案内といえば八咫烏、みたいな)
あとあれだ。鷺が光るってのは五位鷺です。
……あれ? 「不思議」の話といい、もしかしたら西巷説が読みたい欲望がこの話をかかせたのかも(笑


ちなみに。
私だったらそんな機会があったら絶対、返さないで育てたいです(笑
天狗(原型)(原型…?)はなんであんなにかわいい見た目なんだろう。

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つづきはこちら

川は境界――なのだと云う。此岸と彼岸を、現実と異界を、生者と死者を隔つ、境目を示しているのだと。
だとすれば、三方を川で囲まれたこの村は、どちらなのだろうか。

星の降った夜のことだった。
空が割れたかのように、明日の夜には空から星がなくなってしまうのではないか、なんて思ってしまうくらいの流星雨。
村の老人達は祟りだの天変地異の前触れだの云っていたけれども、私は信じなかった。
山と川に囲まれて、少し大雨が降れば簡単に外界から隔絶されてしまうような村でも、二十一世紀の文明は浸透しているのだ。家にはテレビだってインターネットに繋がるパソコンだってある。電波が繋がらないから携帯電話こそは持っていないが、それ以外はおそらく他の場所と変わらないだろう。
だから、きっと私だけではなく、ある年代から下の人たちは誰も信じていないだろう。妖怪も、祟りも、カミサマも。
流れ星が祟りだなんて非科学的なことは全く信じていないから、私は家の屋根に登って夜空を眺めていた。
異変が起こったのはそんな時だった。
赤い、大きな星が高速で近寄ってくる。私が何もできないでいるうちにその流星は音を立てながら山の中へ落ちた。――この村の老人達が信仰している神様が祀られている山に。
山は星が落ちたことなどなかったかのように沈黙している。
空は先程までとは一変して、流れる星はひとつもなくなっていた。
腕時計の蛍光色の針は天辺を指していた。
目を閉じて息を吐く。そして再び目を開けると、世界は一瞬間前と何一つとして変わっていないようだった。
好奇心が疼くのにまかせて、深夜の登山をすることに決めた。

私にとって幸いなことに、山に神様が祀られているおかげで社までの道はかなりしっかりしていた。夜中でも楽に歩けそうだ。
懐中電灯の明かりを頼りに一歩一歩登って行く。
突然、雷が落ちたかのような音がして思わず身をすくませた。稲妻も何も光らなかったから雷のはずはないのだけれど、だから何かと問われても分からない。というよりも考えたくはなかった。
信じていないからといって、怖くないというわけでもないのだ。
真っ暗な山の中で、うっかりすると懐中電灯の光の端に何かの影を見てしまいそうだったから、脇目も振らずに山道を歩いた。
好奇心、あるいは別の何か大きな力に突き動かされるようにして来てみたはいいけれど、流れ星が山のどこに落ちたかなんて分かるはずもなく、いつの間にか赤い鳥居の前まで来てしまっていた。
はっと夢から覚めたみたいな心持ちになって、帰ろうかと思う。実際に踵を返した、はずだった。
それにもかかわらず気がついたら神域に入ってしまっていた。
振り返る方向を間違えたのだろうか、なんて在り得ないけれども納得のいく理由を持ち出して検討している場合ではなかった。
神社の境内に、何か発光体を見つけた。
真っ白な光で輝いているそれが流れ星なのだろうか。それにしてはどこかおかしい。
具体的にどこに違和感を覚えるのか分からないまま、とりあえず近くに行く。
一メートルくらいの距離まで近づいたとき、ようやく違和感の正体が分かった。――否、近づけば近づくほど、見れば見るほど、違和感だらけなのだが、それでも最初に感じた不思議は解き明かされた。
流れ星は通常、小天体が地球の大気に突入し、発光したものだ。大抵は空中で燃えつきるが、中には地上まで落ちるものもある。先程見たもののように。
けれどもその場合だって流れ星は隕石という言葉が表すように、石なのだ。少なくとも、無機物であるはずだ。
――それなのに。
一メートルほど前で発光しているのはどうやら生物のようだった。
猫か狐くらいの大きさだろうか。真っ白で首が長いその生物は、私を見て鳴いた。
動物だとしたら光るなんてことはありえない。蛍やイカやミミズや鷺ならまだしも、ペットになりそうなくらいの小動物だ。ありえない、と否定しても現実は確かにその動物は白い光を放っていた。
だからこそ、動物の形をしていてもそれが落ちた流星のような気がしたのかもしれない。
その動物をじっと見つめると、見つめ返された。気のせいではなく目が合っている。そのうちに頭がぼうっとしてきて、目を瞑った。

目覚めたら私は自分の家にいた。
いつのまに山を下りたのだろう。そもそもあれは現実だったのだろうか。流星の正体が動物だったなんて、馬鹿げた話は夢に違いない。
朝の光に痛む頭を押さえながら立ち上がり、ふと窓の外を見てそれと目が合い、絶句した。
夢に違いない、と断言したのに、あっさりとそれを覆す証拠が庭に鎮座していた。
「おすわり」の姿勢で、流星はじっと私を見ていた。
現実だとしても、連れ帰ってきた覚えは無い。覚えは無いが、それがここにいるということは私が連れ帰ったということなのだろう。
やはりここは元いた場所に返して来るべきなのだろうか。
縁側から庭に下りて、恐る恐る抱き上げてみた。その見た目から想像したよりもずっと軽い。
私は流星を抱えて再び山を上った。
社まであと少しの距離まで進んだとき、目の前を金色に輝く鳥が飛んで行き、誘うようにこちらを振り返った。私は何かに憑かれたように道を外れて誘われるがままについて行った。
不思議なことに、金色に輝く鳥がこの山にいることを「不思議だ」とは思わなかった。不思議というのなら、今まさに腕の中にいる動物の方がずっと不思議な存在だ。「不思議」ばかりになればもはや何も不思議ではない。
金色の鳥は山の奥へ、奥へと進んでいく。次第に道は険しくなりついには人の通った後もなくなった。
奥へ進むにつれ、視界がぼやけてくる。――否。ぼやけているのは視界ではなく、世界そのものだった。木が、岩が、土が、空が歪んで真っ白に――まるで流星が化したこの動物のように真っ白に、変わる。小さな清流を踏み越えるのと同時に世界が滲んで反転するのを感じて、きつく目を閉じた。
目を閉じたままでも黄金の鳥の輝きは知覚できたので、進むべき方向は分かった。夢遊病患者のようにふらふらと、けれども確かな足取りで金色を追いかける。
どのくらい進んだだろうか。目を閉じているからというだけではなく、山の様相が変わっているような気がして時間も距離感も曖昧に融けあい、世界に対する私の存在を不明にする。
ふと、金の輝きが動きを止めた。その場所で足を止め、目を開く。
そこには豪奢な館が建っていた。鉄の塀、銀の塀、金の塀が三重に母屋を取り囲み、壁に埋め込まれた螺鈿細工が金色の鳥の輝きを反射し綺羅と光る。屋根には磨きぬかれた漆黒の瓦が葺かれ、石畳には透けそうなほど白い石が敷いてある。まさに贅の限りを尽くした、といった趣だ。
本来、山の中にこんな屋敷は無かったはずだ。――なんて正常な思考はとっくに無くなってしまっていた。
腕にかかえた流星をぎゅっと抱きしめる。
「おじゃましまーす…?」
一応、声をかけて三つの門をくぐり家の中に入った。応えの声は何もない。人の気配すら、何もなかった。
迷路のように廊下の走る広い御殿でどちらに行こうかと迷っていると、流星が腕から飛び下り、廊下を奥へ駆けて行った。慌ててその後を追っていく。
やっと見つけた流星はこの屋敷を見てきた中で最も絢爛豪華に飾られた襖の前に座っていた。私と目が合うと、促すように鳴く。
動悸を鎮めるように深く息を吐いて、襖を開いた。
部屋の中は襖以上に煌びやかで目がチカチカするようだった。
天鵞絨張りの椅子の上に、それは座っていた。
人のようで人ではなく、鳥のようで鳥ではなく、犬のようで犬ではない。腕の中の動物と同じ白い体色だったが、翼は先程の鳥と同じく、金色に輝いていた。
彼は私を認めると威厳のある口調で告げた。
「それを返してくれないか」
言葉だけを聞くならそれは依頼であったのだけれど、彼の声音は私が否と答えるという選択肢を奪い去っていた。それでも黙って返すには色々と腑に落ちないことがありすぎる。
「どうして?」
「親が子を傍に置きたいと思う気持ちに理由が必要か?」
「…親? 貴方が? 全然違うのに」
「我々は流星として生れ落ち、成長して人に近い姿に変化し翼を得る。それは少し落ちる場所を間違えたようだ。迎えを遣わす前に主が連れ帰ってしまったのだ」
倣岸な態度からは少し想像できないが、意外と教えることが好きなようで彼は饒舌に喋った。
「よく分からないけど、どのみち返すつもりだったから」
お返しします、と言ってそのまま下がろうとしたのだけれど何故か流星の子は親のもとへ行こうとはしない。
背中を冷たい汗が伝う。
「まさかとは思うけど、刷り込みとか無いですよね?」
「無論だ」
此処に来るまでずっと抱きかかえていたのだし、よく見たら可愛らしく思えないでもなかったが、流星の子を育てる自信も能力も持ち合わせていない。それに、もし親に似るというのなら随分育て難そうだ。
「だったら、後は親子水入らずで話し合ってください。では」
去ろうとすると笑い声が邪魔をした。愉快そうな笑い方まで不遜に聞こえるだなんて、徹底している。
「此処に来ていて其処まで動じないとは、気に入った。息子を連れて来てくれた礼にこの館のものを何か土産に持っていくといい」
「……はぁ」
土産、と急に云われても何も思いつかない。だから、それを選んだのは単なる偶然で、強いて理由を挙げるなら「目についたから」だ。
「じゃあその、瑠璃色の盃で」
そう告げると彼は鷹揚に頷いて瑠璃の盃をこちらに移し、例の金色の鳥に送らせて山の麓まで帰してくれた。

奇妙な星は空に還った。
村も、私も、以前と何一つ変わらない。星が落ちたところで祟りも無ければ恵みも無かった。
変わったことといえば、食器棚にグラスが一つ増えた程度だ。
水不足になってもその盃からは溢れるほどの水が涌いた、なんてこともまるでなく、後に山を登ってもあの館には辿り着けなかった。
けれども、時折、考えることがある。

川は境界――なのだと云う。此岸と彼岸を、現実と異界を、生者と死者を隔つ、境目を示しているのだと。
だとすれば、三方を川で囲まれたこの村は、どちらなのだろうか。
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2010/09/20 (Mon) 創作物 TB() CM(0)
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